10 心痛
ぐったりうなだれているローガンフージュさんを、居間のソファーに寝かせる。
すごく落ち込んでるし、この様子だと、もう何かしでかすことは無い、と思う。
たぶん……
見張りましょうかと言ってくれたシナギさんに、
お礼を言って、『ゲートルーム』までお見送り。
本当に、ありがとうございました。
寝室で眠るシュレディーケさんたちの様子は……
起きてた。
ルルナさんは、まだ熟睡中。
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「……済まない、迷惑を掛けた」
迷惑じゃなかったけど、すごく悲しいです。
「……」
シュレディーケさんは冒険者だから危険に飛び込むのがお仕事かもしれないけど、
何も分からず、ここでずっとひとりで待ってたのは、すごく……悲しかったです。
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シュレディーケさんは、『エル女会』にハマったのでは無く、
実はツァイシャ女王様からの極秘の依頼だったそうです。
ルルナさんから誘われて『エル女会』を覗いてみたが、
執拗にツァイシャ女王様との関係を知りたがる幹部たち、
自分への態度の、嫌な違和感。
女王様に相談したシュレディーケさん、
逆に、女王様から相談を受ける。
女王様の私的組織『平和を願う乙女たちの集い』に接触してきて内部に入り込もうとする、謎の存在。
最近様子がおかしい『エルサニア城下街勤労女子婦人会』が絡んでいる様子。
できれば、このまま『エル女会』と接触して、内情を探って欲しい。
その後、組織内での信用を得て、トップのローガンフージュと会ったシュレディーケさん。
アイツは"魅了"で操ろうとしたが、ご存知の通り意志の強さは筋金入り。
そして、思い通りにならないと分かると、拉致監禁されてしまう。
「ルルナさんは、あの会に好意で誘ってくれたのだ」
「ずっと私の事を心配してくれていて、そのせいで一緒に捕らえられた」
「本当に申し訳ない事をした……」
目が覚めたら、ふたりでごめんなさいしましょうね。
「ごめんなさい、フォリス……」
……今回、僕って何の役にも立ってないです。
何も考えずに『エル女会』に突っ込んで行って、
アイツの前でも何もできなくて、
シナギさんが来てくれなかったら、今ごろは捕まっていました。
だから、ごめんなさいするのは、僕の方です。
ごめんなさい……
『……(泣)』
……!?
うぇっ、こんな夜中に、どこからかすすり泣くような声がっ。
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お布団かぶって泣いていたルルナさんを、
ふたりで一生懸命になぐさめて。
ようやく眠ってくれたルルナさん、
シュレディーケさんと繋いだ手を離そうとせず。
そのままベッドに寄りかかって座り込んだシュレディーケさんの、
手を握っていた僕もいっしょに座り込んで。
無言のまま、ふたりで肩を寄せ合っていたら、
いつの間にか、朝。




