01 遠征狩猟
『リヴァイス 68 遠征狩人と迷い無き迷子たち』の続きで、
『(普通の)狩人』フォリスのお話しです。
お楽しみいただければ幸いです。
先日の魔灸の森南部への遠征狩猟、
あれからいろいろと考えている、フォリスです。
いえ、しちめんどくさい方向にではなく。
新しい狩り場とか、新しい魔導弓とか、
単純に目新しいことへのチャレンジが凄く楽しかったので、
これを機に、もっとあちこち遠征狩猟してみようかなって。
もちろん、事前準備がとても大事なのです。
特に、狩人は。
狩猟民ごとのナワバリとか、その狩り場ならではのルールとか、
そこで暮らしている狩人さんたちの流儀や仁儀ってモノもありますので、
新参者は無計画に、ほいほいよそ様の狩り場におじゃましてはいけないのです。
というわけで、まずは皆さんにご相談、ってか、お願いしてみようかなと。
狩り場となるような広くて自然豊かな土地にお住まいで、
僕なんかにも問題無く狩りのご許可をいただけそうな方……
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そして、おじゃましたのは、
エルサニア王都から北へ徒歩にて小一時間、
自然豊かで風光明媚な小さな湖、ヒメ湖。
こちらにお住まいのシナギさんご家族に、
この周辺での狩りのご許可をいただきに。
このヒメ湖、エルサニア王都から徒歩で小一時間という近場にあるのですが、
風光明媚なのに観光に訪れる人は無く、
森に草原に湖と、豊かな自然は狩り場や漁場に最適なのに狩人も漁師もおらず、
いつ来ても人影全く無しの静かで落ち着いた場所。
実は、理由があるのです。
湖畔に建てられた、こじんまりした一軒家、
通称"ヒメ湖ハウス"に、お住まいのヒメルミネアさん。
優しくて、見目麗しくて、のんびりやさん、
という素敵な大人のお姉さんなのですが、
実はこの湖を司る"精霊"さん。
とても素敵な方ですので、男女問わず皆から愛されております。
そしてどうやら、精霊界隈でも愛されキャラみたいでして。
で、人気があり過ぎて、過保護にされちゃってるようなのです。
つまり、ヒメルミネアさんファンの高位の精霊さんたちが、
この辺り一帯に大規模な守護結界を張って、ヒメさまの平穏な暮らしをがっちり保護しているのです。
何せ、国をどうこうできるクラスの大精霊さまたちが掛けた強力な結界ですので、
悪意を持った連中は言うに及ばず、
善良な一般の方々ですら、
ここにたどり着ける人は滅多にいない。
つまりは、ヒメ湖一帯は強固に保護されまくっているので、人の手によって荒らされていない良質な狩り場、というわけです。