プロローグ
「海に行こう!」すべてはこの一言から始まった。
午後八時。ここは居酒屋の一室。猪狩康平、矢式奈美香、藤井基樹、新川怜奈が集まっていた。彼らはO大の二年生である。彼らが友人となった経緯は定かではない。ただ、暇があれば四人集まって飲んでいるわけである。
そして、ビールジョッキ片手に「海に行こう!」と言い出したのは藤井基樹である。
「どうせなら泊まりだ」誇らしげに藤井が言う。
「お、いいねえ」そう言ったのは矢式奈美香。焼き鳥に手を出す。
「いつ?」新川怜奈が聞く。
「いつでも。なんてったて夏休みだからな。」藤井が答える。
「どこに?」ビールを飲みながら聞いたのは猪狩康平。
「海」当たり前だといわんばかりに藤井が答える。
「いや、だからどこの?」呆れたように猪狩は聞く。
「うーん。どうすっかな」藤井は石焼ビビンバを皿に盛っている。
「あ、私いいところ知ってる」と怜奈。「伯父さんがやってるところなんだけど、浜辺が綺麗なんだって。安くしてくれると思うよ」
「おっし、それ!」奈美香が大声で言う。
「それでいいんじゃない?」猪狩も賛成する。
「うん、じゃあ聞いてみる」怜奈が答える。
「よし、じゃあ飲みましょ」奈美香がビールジョッキを高々と挙げる。
「今までも飲んでた」猪狩がボソッと言う。
「うるさい!あんたもっと飲みなさいよ!」奈美香はビールを猪狩の前に突き出す。
はじめまして。初小説です。文章的にもトリック的にもまだまだですが、どうかよろしくお願いします。