始まり
私の名前は高騰 麗華十七歳よ。
私の家系は昔からの財閥でそこらへんの庶民とは格が違うのよ。
「おはようございます。麗華様」
今日もいつもの朝がはじまる。
大きな窓からキラキラと朝日が差し込む。大きなベッドに私ひとりだけが眠る。
使用人の由子がコップに水を注ぎながら笑顔で挨拶をする。
由子は私が小さいころからつえてくれていてとてもいい人なの。
私がお屋敷の外に一人で出かけたときも、お父様とお母様には言わないでいてくれた。
私は由子のことが好きだ。
別途から起き上がり、(いつもどおりね。つまらない。)
私はそう思いながら、学校に行くために着替えの支度をしてもらう。
着替えて朝ごはんを食べていると、珍しくお父様も食べていた。
(珍しい。家にいるだけでも珍しいのに。朝ごはんを私と食べるとは。なにかあったのかしら。いつもと違う。)私はそんなことを考えていた。
私はこのいつもと同じ日常に飽き飽きしている。
いつも非日常を探している。
「麗華。変わったことはなにかあったか?
お母さんの様子はどうだ。」
(お父様が私に話しかけている。何年ぶりかしら)
「はい。なにも変わっていませんわ。いつも通りですわ。お母様は最近、落ち着いていますがそう長くはないとのことです。」
言い終えると私はサラダを口に運ぶ。
お父様は、ため息をつき一言「そうか」と言い、席を立つ。
私も食べ終え、鞄を持ち車に乗る。
窓の外を眺めつつ、
(お父様何が知りたかったのかしら。私とお母様のことはどうでもいいはず。所詮偽りの家族なのだから。何かあったのかしら。今日は何かありそう。わくわくするわ。)
そんなことを考えていると学校に着き、校舎に入ろうと歩き出したその時、
「死ね。家族の仇!!!」
その言葉を聞くと同時に、胸に激痛が稲妻のごとくはしった。私は地面に倒れこむ。周りからは生徒の叫び声。
私の意識はそこでなくなった。
・・・・「・・・がふってきたんだ」
「おい!君大丈夫か?」「そんなまさか。カイリーが空から降ってくるわけないだろう」
(なに、、騒がしいわね。)
「っ!ここはどこ?!」
周りを見渡すと、たくさんの人?だかりが。
動物の顔をしており、体は人間と同じ。
(どうなってるの?私は死んだんじゃないの?ここは天国?それとも地獄?人の形をしているけど顔が動物、、、 どうなってるの)
「目を覚ましたみたいだな。お前さん何処から来たんだ?」
犬の頭をした人?が聞いてきた。
「ここは何処ですか?私は死んだんですか?」
私が体を起こしながら聞くと、今度は猫の頭をしている人が答えた。
「ここは、ナルテイよ。あなたはカイリーよね?どうしてこんなところに、、かわいそうに」
「カイリーはこっちでそういうだけだ。多分人間だ。そうだろう?君は人間だろ?」
ふくろう頭の人そう聞く。
「えぇ、私は人間よ。私は何故ここにいるのですか??」
私がそう答えると、周りがどよめいた。
みんな口々に“かわいそうに”や“まだ若いのに”他には泣き出す人までいた。
(何がかわいそうなの?なにをいっているの)
私が困っているのを見かねた犬の頭をしている人が
「こんなことを言うのはあれなんだか、、、お前さん死んでいるんだよ。ここにお前さんみたいに死んだやつが迷い込むんだ。」
周りの人たちが静まり返り涙を流す。
私はそれを見つつ、
「私が死んでいるのは分かったわ。どうして死んだかも分かっているわ。迷いこむってことは別に行かないといけない場所があるのよね?どうやってそこにいくの?」
私がそういうと、犬の顔の人が驚いた。ゆっくり口をひらき
「お、お前さん。自分がどうやって死んだか分かっているのか?」
私は、死ぬ間際の最後の記憶を思い出しながら「えぇ。分かっているわ。私は刺されて死んだの。」淡々と答えると、犬の顔の人が、「そうだったのか。」すごく悲しそうな顔をして言った。周りの人も同じ顔をしている。
「どうやって。。。」私がそう言いかけると、ラッパの音とともに、「王様のお通りだ!ほれ!そこの下民どもそこを退け!お王様のお通りだぞ!」
私の周りを囲んでいる人たちが急いで道をあけた。私も引きずられつつ脇につれていかれた。頭を押さえつけられ、土下座する形になった。
「おい。とまれ。」
頭を押さえつけられ、見えないが、私の少し前で何かが止まった。
「おい。そこの人間。顔を上げろ」
私を押さえていた手が頭から離され、私はゆっくりと顔を上げた。
そこには、人間の姿をした男の子がいた。
鋭いが綺麗な目で星のように輝く黄色い目をしている。背が190㎝くらいでスラッときれいな体系をしている。足元近くまである白色のマントを羽織、腰には剣をさしている。
(普通の人間の姿だ。)
「人がまた迷い込んだのか。おい。こいつを城に連れて行け。」
王様がそういうと、家来が私の腕をつかみ立たせた。私の近くに家来が来る前に隣の人が、「気をつけて」とすごく小さな声で囁いたのだ。(気をつける?さっきの態度やみんなの様子からするとかなり怖いみたい。)
私は、そのまま家来に連れられた。
しばらく歩くと、目の前には、大きなお城が。
(私の屋敷より大きいわ。)
綺麗な純白の外観に手入れがいきとどいているバラ庭園。いつまでもつづく中庭。
またしばらく歩くと玄関が見えてきた。
(やっとついたわ。車もないし、歩きは不便ね)
玄関の中に入る前に私はなぜか目隠しをされた。