俺といとこと指定位置
「どーん!」
「ぐえっ!……ちょっと梨香ちゃん乗るのはやめようよ~」
「やだ~」
俺の父さんの姉の娘、つまりいとこの梨香ちゃんは俺の二歳下の小学五年生。今日は家族の集まりで父さんの実家に来ている。
うちは家族仲がすごく良くて毎月一回はこうして集まっている。
年が近いのが俺と梨香ちゃんということもあって決まっていつも二人で遊んでいた。
梨香ちゃんは昔から何故か俺の上に乗るのが好きらしく寝転んでスマホゲームをしていると毎回上にのって来てそのままだらだらと過ごすのだ。
それが家族全員で集まると毎回起こっている。別に梨香ちゃんは思いって訳じゃなくむしろ軽いので全然問題なくて放置していた。
そこから二年がたち俺は中学三年に、梨香ちゃんは中学一年に、ちなみに近くにすんでいることもあって中学は一緒だ。
「お兄ちゃーん!」
「ぐえっ!」
とはいっても状況が変わるわけでもなく未だに俺たちは寿司のシャリとネタのような状態になりながら過ごしていた。
流石にいとことはいえ思春期だった俺はそれをいい加減やめようと普段は寝っ転がって待っているところを普通に座って待っていることにした。
しばらくして父姉家族が来て梨香ちゃんがこちらに向かってきて普段とは違う体勢でいる俺の様子を見て何故か急に蹴りを入れ始めてきた。
「ん~!」
「ちょっ!何々!?」
「んんん~!!」
その表情はみるからに不機嫌です!といわんばかりで声もそんな感じがとれた。
蹴り自体はそんなに力強くは無かったものの続いて体重をかけて押してきたりしたため俺はあっけなく倒れこんでしまった。
「えいっ!」
「おわっと!」
さらにそこから転がされてさらにあっけなくうつ伏せの状態にされてしまった。
ドスンと衝撃を感じて顔を後ろを振り向かせると予想通りか梨香ちゃんが俺の腰辺りに座り込んでいた。
その表情は先ほどとはうってかわって眩しいまでの笑顔だった。
何というか負けた感が半端ない。何かの動物は立場を示すときに上に乗るって聞いたことがあるけどそんな感じ、今までは感じたことなかったけど今回は無理矢理やられたからだろうか。
結局そのまま梨香ちゃんが俺に覆い被さるような形で寝そべりいつも通り過ごした。
ただ今日はいつもと違うことがあった。時間も経ちそろそろ帰宅する頃になってくる。この頃になると自然と梨香ちゃんは降りてくれるのだが今日は違った。
不審に思って後ろを振り返ろうとした瞬間梨香ちゃんの顔は俺のすぐよこにあって。
「お兄ちゃんのは私のものだから誰かに上げたり逃げたりしちゃダメだよ?」
「……え?」
それだけ囁くように言うとダッ!と効果音がつきそうな勢いで消えていった。
最後に見えた彼女の横顔はいたずらが成功した子供のように無邪気な、それでいてひどく魅惑的な表情だった。




