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TRE~宝を奪われた能力者~  作者: ニコニコ大元帥
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プロローグ4~策略・本性・決意~

 翌日、私達は再び会議室に呼ばれ会議が開かれた。


「皆おはよう」

「おはようございます真王」

「それで真王? 今日はどのような議題ですか?」


 会議室には私と兄さんに真王。そして新しい方も参加している。一体誰だろうか?


「ああ。メタスターシ殿とアンティズメンノ殿は初顔合わせか。私の右にいるこいつは、もう会っているだろうが改めて紹介しよう。こいつは私の息子でこの王宮の親衛隊の隊長だ。左にいるのは私の孫でこの国の法律を作り裁判している。よろしく頼むぞ」


 紹介を受け2人は立ち上がる。息子と名乗る男は以前も会った近衛隊の隊長だった。頭の兜を外すと精悍な顔つきに口元には蓄えられた髭があり、右目には何者かに受けたような斬り傷が一線掛かっていた。

 孫という子はまだ幼さの残る青年だが、しっかりとしたたたずまいをしており、切れ長の目でこちらを観察していた。その後2人はこちらに一礼してきたので、それに返すように私と兄さんも立ち上がり2人に一礼をする。その後、皆が着席し再び会議が開始される。


「さて、今回の会議の内容だが、まずはお二方に聞きたいことがある」

「はいなんでしょうか?」

「つい先日の夫妻の事なのだが……彼らの能力の強さは御二人が今まで見た9万を超える星の種族の誰よりも強かったのだな?」

「はい。今までの星の戦士達の力はせいぜい火を出したり氷を生み出したり、土の中に入ったり、怪力だったり。比較的強力な能力者と言ってもこの星で最初に能力者になった放火魔よりも少し低いくらいです」

「そうか……それほどまでに強かったのか」 


 兄さんの説明を聞き真王は自分の予想通りの返答だったのか、どこか嬉しそうな顔をしている。


「それでは次の質問だ。御二方から見て、夫妻のような能力者が何万人といた場合、『奴』とやらを倒せると思うか?」


 真王のそんな質問に私は少し違和感を覚える。なぜそんな事を聞くのだろうか? だが今は単純に知りたいだけなのだろうと大して気にすることなく私は真王の質問に答える。


「『奴』の力は強大ですのでそれはまだわかりません。ただ……」

「ただ……なんです?」

「もしも夫妻並みの強力な能力者……しかも彼らとは違い攻撃的な能力者が、真王様が仰るように何万人もいれば、おそらく『奴』を倒せるかもしれません」

「……そうか」


 再び真王は少し笑みを浮かべる。いや、先程とは違い体を小刻みに震わせている。一体何を考えているのだろう? 質問の真意を聞こうかと思った矢先、真王は口を開いた。


「メタスターシ殿、アンティズメンノ殿。あなた方にお願いがあります」

「なんでしょう?」

「私を能力者にしてもらえないだろうか?」

「「え?」」


 真王の言葉に驚きを隠せない私と兄さんは顔を見合わせる。真王自ら能力者になることを望むなんて……。確かに今まで行った何個かの星では族長や王自ら能力者になった者もいるので、前例がないわけではないが極めて稀な例だし、この王がそんな事を言い出すなんてとてもじゃないが何かありそうだ。


「ダメですかな?」

「いえ、駄目というわけでは……ただ、何故そのような事をお考えになったのかお聞かせください」


 真王は自分の髭を上から下にゆっくりと数回なぞり、天井を見上げながら考え込む。


「ふむ……理由か。それはだな、この先能力者を生み出す活動が本格的になるだろう。そうなったときに皆にだけ能力者になれと言うなど、上に立つものとしては無責任だろう? まずはこの世界の王として能力者になろうと思ったのだ」


 真王のその言葉を聞いて私と兄さんは黙り込む。真王……そこまで思っていたなんて。だけど私は彼が夫妻にやった事、夫妻に言った事……それらを私は許すことができない。正直どんな理由だろうと、この真王を能力者にする事には抵抗がある。私は横目で隣にいる兄さんを見るが沈黙を貫いたまま話そうとしない。なら私は私の意見を言うまでだ。


「わかりました真王。あなたの願いを聞き入れましょう」

「おお! それは誠か!」

「ただし条件があります」


 条件という言葉を聞いて疑問符を浮かべる真王だが、そんな真王を無視して私は発言を続ける。


「今後あのような無謀な事はしないでいただきたいです。人質を取り、自由を奪い、そして命を奪うなどという行動をしないでいただきたい」

「………………」


 真王は黙り込み、再び髭を撫でながら背もたれに寄りかかり、天を見上げ目を閉じ、何かを考えている。それから数分の時が経過し、大きくひとつため息を吐きながら真王は目を開く。目の前に置かれている湯気の上がったコーヒーと呼ばれる黒い飲み物を軽く含み、口の中を潤した後、こちらを見直した。


「承知した。貴殿の言葉、この真王しかと聞き入れた」


 真王は静かに立ち上がり私の方に歩み寄る。そして私の目の前に来ると静かに跪き、目を閉じた。その行動を見て真王は能力者になる事を望み、決心したのだろうと汲み取る。私は真王の頭に手を伸ばし能力を発動。真王に能力を授け始めた。


「うおおおおおおおおお!!!」


 真王の体は輝き始め、眩い閃光に包まれる。この光の強さ……それにこの光の色は夫妻程ではないにしてもなかなかの黒さを孕んでいる。ということは何か特別な能力か、強力な能力を発現する前兆だろう。一体何の思いでこれ程の光を生み出しているのか。本当に人々の為に率先して能力を得るため? この真王が、あの真王が本当にそんな理由でこれ程の光を生み出しているのか? 私はそんな疑問を浮かべながら能力を授け続けた。そして能力を授け終わり、真王はついに能力者となった。


「ふう……これで本当に能力者となったのだな?」

「はい。そのはずですが」

「どれ……」


 真王は手を広げ能力を発動するが、特に何も起こる気配がない。


「む? アンティズメンノ殿? これは一体どういうことだ?」

「能力者と言っても火を出したり、物を動かしたりするだけではありません。凄い怪力だったり、何か物質を生成したりを様々です」

「ふむ……そうか」

「ただ規則性はあります」

「? それは一体どういった規則性だ?」

「例えば火が好きな者、火を奪われた者は火を扱う能力者に。力が欲しい者、力に自信がある者は怪力の能力者に。何かを守りたい者などは守護系の能力者になるといった規則性があります」

「成程。その者にあった能力、欲した能力になるということか。ということは、私は……」


 真王は黙り込んで考える。きっと自分がどのような思いで能力者になったのか考えているのだろう。私も真王同様一体どのような気持ちで能力者になったのだろうかと考えてみる。本当に民を守るためと強く思いながら能力を発現したのならば守護系の能力だろうか?


「まあ良い。それは後々検証していこう。それとアンティズメンノ殿。もう1つ良いか?」

「もう1つ……? なんでしょうか?」

「アンティズメンノ殿の能力はどの範囲まで広げられる? 例えばこの星全体に能力開花の能力を広げられるとか、そういった事はできないだろうか?」

「星全体に……ですか?」


 突拍子もない言葉に思わず聞き返してしまう。星全体に能力を……か。できないことはないが、かなりの体力を消費するだろう。それに……


「それは一体どういった理由からです?」

「いやな? 志願兵や国民達一人一人にアンティズメンノ殿が能力を授けていては時間がかかり過ぎてしまう。だから星全体にそういった能力をかけてくれれば、いちいち出向かなくても各地で志願兵を募ることでより効率よく能力者を生み出せるし、その分訓練などの時間に当てられるだろう?」


 確かに真王の言っていることは一理ある。この星の人口はざっと70億人だと聞いた。そこから仮に1億人が能力者になると言って私が能力を授けようとしても、とてつもない時間がかかる。更にはこの星は地形を変えてしまい、兄さんの能力で飛び回ることは今現在不可能になってしまった。『奴』がいつ来るかわからない状態で時間をかけるわけにはいかない。確かにその通りだ……


「兄さん? いかがいたしましょう?」


 これ程の大規模な事を私1人で決めるには少し荷が重すぎる。私はこれまで沈黙を貫き、黙って聞きこんでいた兄さんに助言を求めた。


「ふむ……。確かに『奴』がいつわからない状態で時間をかけているわけにはいかない。今回の過去へのテレポートで僕の力は弱まり、前回のような「星の存在感をテレポートで消す」ということができない以上、真王の言った通りにした方がよいかもしれないな」


 兄さんはそこから更に言葉を続ける。


「後戻りはできない。それにここで立ち止まって『奴』の襲撃に間に合わずに『奴』を倒すことが出来なければ今までの犠牲が……いや、あの夫妻の犠牲も全て無駄になってしまうしね」

「兄さん……」


 兄さんの意見は変わっていはいない。『奴』を倒すことに全力を注いでいる。それはこの宇宙を救うためだ。だが今は少し違う。いや、元の冷静に物事を考えられる兄さんに戻ったというべきか。ここで立ち止まるわけにはいかない。ここで立ち止まって『奴』を倒さなければ犠牲になった夫妻の死が無駄になってしまう。私と兄さんはお互いに首を縦に振り真王に向き直す。


「わかりました。真王の言う通り能力をこの星全体にかけます」


 私は椅子から立ち上がり、床に正座し、手を組んで目を閉じ意識を集中させる。そして能力を発動しこの星全体に能力をかけ始める。


「はあああああああああああああああああ!!」


 夫妻のような派手な振動も派手な音もない。だが確実に私の能力は星全体を覆い始める。そしてどれくらいの時間が経っただろうか。先程まで湯気の上がっていたコーヒーと呼ばれる飲み物から湯気が消え、ぬるく冷まさった状態になる位の時間が過ぎた。私の能力は地球を覆いつくし、私は疲労のそのまま後ろに倒れこむ。


「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」

「アンティズメンノ! 大丈夫か!?」

「ええ……大丈夫です兄さん……」


 兄さんは私に駆け寄り、抱きかかえながら飲み物を飲ませて介抱してくれる。そんな中イマイチ実感のない真王達は辺りを見渡しながら話しかけてくる。


「アンティズメンノ殿? 成功したのか?」

「はい真王様……。これでこの地球上の全ての生物は能力者になれます……。本人が強く能力者になりたいと願ったり、強い思いを抱いた時にその者は能力を発動できます……」


 その言葉を聞いた真王は大層満足し喜びの声を上げ、両隣の息子と孫と顔を見合わせながら握手を交わした後、私達を見る。


「よくぞやってくれたアンティズメンノ殿。大変ご苦労であった。さてと……息子よ。やってくれ」

「は! 皆の者! 突入しろ!」

『動くな!』

『手を上げてその場に跪け!』

「「!?」」


 近衛隊長である息子の声を合図に数千もの重武装した近衛兵が会議室になだれ込み、私達2人に銃を突き付けてきた。


「真王! これはどういうつもりだ!」

「ふふふ……もう貴様らに用はないということだ」

「何……!」

「貴様らには感謝しておるよ。これ程の事をしてくれたのだからな」


 真王の訳の分からない言葉に戸惑いを隠せない。そんな様子を見た真王は不敵な笑みを浮かべて説明を開始する。


「お前らが教えてくれたのだ。この宇宙には何万という生命が住む星がいるのだとな。私はこの星だけでは満足できない。全宇宙の王となるのだ! はっはっはっはっ!」

「なんと傲慢な……! だが『奴』と会ったらどうするつもりだ!」

「そんな者など殺してしまえば良いのだ。何せこちらには星そのものをどうにかしてしまうほどの能力者が何十億といるのだからな!」

「何十億……? まさかまた夫妻のような事をして作るつもり……!?」

「その通りだ『妹』よ。これからこの世界では宝物狩りを開始し、強力な能力者を生み出す!」

「宝物狩り……ですって……?」

「音楽家からは音楽を! 学者からは学問を! 武術家からは武術を! それ以外にも家や家族! あらゆる者の宝を奪い尽くし、あの夫妻のような強力な能力者を生成してやる!」

「そんな……! さっきそんな事はしないと約束したはず……!」

「ふふ。貴様らが今までたどり着いた星の住人達は嘘もつかない馬鹿正直な者共が多かったのだな。これはさぞかし良い奴隷になるだろう」

「良い奴隷……だと……?」


 今までの9万4891星の住人たちの顔が一瞬でフラッシュバックする。彼らが皆この外道の奴隷になってしまうのか? そんな事は許されない。いや許さない!


「真王! 悪いが死んでもらうぞ!」


 いち早く兄さんは能力を発動すべく真王に手をかざす。ケリは一瞬で着く。真王をどこか有害な星などにテレポートさせるのだ。だがそれと同時に真王の息子が前に立ちはだかる。


「父には指一本触らせぬぞ!」

「っ!? なんだ!? 能力が発動しない!?」


 息子の体が激しく光り出したと思った瞬間、息子の体からドーム状に謎の空間が部屋中に展開され、兄さんのテレポートは失敗に終わる。まさか……!


「ほう……我が息子は私を守るために能力者となったのか。しかも察するに能力無効化の能力と言ったところか」


 おそらく父親を守る子の強い思いが強力な能力を開花させたのだろう。流石の正義感だ。伊達に近衛隊の隊長を務めていないというところか。考察するに兄さんのテレポートさせないために能力を無効化にする能力が開花したのか。これはまずいことになった。


「さてと。新たな法を作らなければな。専業職業の者はその専業を禁止する法……。または宝物を無条件で差し出すなどな」

「そんなバカげた法を認めさせるわけにはいかない!」

「バカげただと……?」


 その発言に眉を潜ませたのは真王の孫だった。孫の体は眩い閃光、それも黒い渦に包まれる。


「あ~……私の孫は法や約束事に人一倍敏感でな。そんな事を言うから孫が激情してしまったではないか。ま、私にはありがたいことだがな」


 まずい……! 真王の親族が皆強力な能力者となってしまった! 息子は能力無効化の能力者。孫はおそらく法に関する「相手を縛り付ける能力」や「強制的に言うことを聞かせる洗脳系能力」と考えておいた方がよいだろう。それに真王の能力はいまだに未知数だ。


「さてと今息子がいる限りこいつらは能力が使えない状態だな。『彼』の方は捕らえておくのは難しいな。今この場で殺してしまおうか。『妹』の方は死なれては困るし利用価値があるから牢屋に監禁しておくか」

「何……!」

「皆の者! 銃を構えよ! 『彼』を殺すぞ!」

『「「承知いたしました!」」』


 近衛兵達は銃を構え兄さんに銃口を向ける。私は何とかして兄さんを守ろうとしたが、疲労で動くことができなった。無情にも銃の引き金に指をかけ撃たれる……


『ぐわぁ!』

『な、なんだぁ!?』

『邪魔するぜぇ!』

『ぎゃはははは!』


 直後会議室の床が崩れ陥没し近衛兵が何人か下の階に落下する。穴の中で兵の悲鳴がしたと思った矢先、間欠泉のように能力者が穴からあふれ、会議室になだれ込んできた。


「ちっ! 死刑囚のごみ共か!」


 真王の息子が歯ぎしりし構えをとる。彼らは皆死刑囚で投獄されていたのだが、皆私の能力のせいで能力が開花し、牢屋を破って出てきたようだ。


『はっはっは! 牢屋から出てった奴らが能力者にさせられるってんで俺も能力者になりたいって思ってたら本当に能力者になれたぜ!』

『しかも俺の願望をかなえてくれるとは最高だぜ!』

『今まで牢屋に閉じ込めていた礼はたっぷりさせてもらうぜ!』

『真王を殺してやる! ぎゃはははは!』


 全員が能力者となったようで一斉に近衛兵達に襲いかかる。


『くそ! 殺されてたまるか!』

『真王を守れ!』

『奴らが能力者になれたということは、我々も能力者になれるはずだ!』


 近衛兵達も能力者になり始め、能力者同士の戦闘が開始し、会議室は大混乱となった。


『おい兄ちゃん達! あんたらが俺らに能力をくれたんだろ!』

『王に協力したのに殺されるとは相変わらずクズな王だぜ!』

『牢屋から出して能力をくれた礼だ! 俺達が隙を作ってやるよ! 逃げな!』

「皆さん……ありがとうございます!」

『ぎゃははは! ありがとうだってよ!』

『俺らみたいな社会のゴミにそんな事言ってくれる奴がまだいるとはな!』

『ありがとよ姉ちゃん! そしてあばよ!』


 囚人達は私達の前に壁になるよう立ちはだかり近衛兵に襲いかかる。


「くっ! いかん! 何が何でも逃すな!」


 真王は私達を逃がすまいと近衛兵に命令し銃撃が始まる。囚人達も負けじと能力を乱用し矢鱈滅多ら攻撃しまくる。


「父上危ない!」


 囚人の攻撃が真王に当たる直前、息子が真王を守るように能力を発動し防ぐ。だが今度は部屋全体ではなく人2人分の大きさしか展開していない。やはり発動したばかりで上手く能力のオン・オフや範囲の調整が出来ないのだろう。


「よし! 能力が使える! テレポートするぞ! 皆さん! ありがとうございます! 必ず助けに来ます!」


兄さんはその隙を見逃さず私を抱きかかえ会議室から走り去る。


「くそ! 待て貴様ら……」


 真王の言葉は途切れ私達は王宮の外にテレポートした。そして兄さんはその後も前方にテレポートし続け、王宮から少し離れた城下町に到着した。


「ふう……ここまでくれば一安心か……?」


 城下町で人目に付くところを避け、裏通りに入る。そこに立っていた酒場を見つけ、裏口のゴミ捨て場の陰に身を隠す。


「大丈夫かアンティズメンノ? 少々汚いが我慢してくれ」

「ええ……私は大丈夫です……それより、大変な事になってしまいましたね……」

「ああ……」


 私を壁に寄りかからせ、兄さんも壁に寄りかかりながら天を仰ぐ。


「すまないアンティズメンノ」

「え?」


 急に言われたそんな発言に間の抜けた声を出してしまう。


「お前の言う通りもっと冷静に行けばよかった。『奴』を倒すことに気を取られ自分を見失い、真王などという私利私欲の塊のような人間に加担してしまうとは……」

「兄さん……」


 兄さんは瞼から涙を流し、自分がこの星でやってしまった行動を後悔している。


「兄さんだけのせいではありません」

「え?」

「私の方こそ真王の言葉を鵜呑みにし過ぎましたし、何より兄さんの暴走を何もせずに放ってしまったのも原因でした。流れに身を流しすぎて自己を放棄していました」

「……だが、それでも僕のせいだ。さっさと負けを認めていればこんな……真王という『奴』と同格の危険人物を作り出してしまった」

「兄さん……なら、ここで立ち止まりますか?」

「………………」

「ここで立ち止まって『奴』が勝ち全宇宙の生物が死ぬか、真王が勝って全宇宙が彼の前にひれ伏すのをこのまま見るか……。今まで会った種族がどちらの運命に堕ちるか指をくわえて待っていますか?」


 兄さんは私の発言をしっかりと聞き、思考を駆け巡らせる。そしてゆっくりとはっきりと声を出す。


「そんな運命に……させてなるものか」


 震える声だがはっきりとした意思を持ったその言葉に、私は思わず泣いてしまう。いつもの心無い言葉や、何かにとりつかれているような言葉ではなく、しっかりした意思を持っている兄さんのその言葉に。


「ここで立ち止まって何もせずに『奴』や真王にこの星や今までの星を壊させてなるものか! ……アンティズメンノ。もう少しこのバカな兄に協力してくれるかい?」

「はい兄さん! やりましょう!」

「ああ! まずは真王からだ!」

「はい!」


 私と兄さんは立ち上がり新たな決意を胸に王宮の方角を睨みつける。必ず……あなたの野望を阻止してみせる。


 どうも! ニコニコ大元帥です! 

 ここまで全4話にも及ぶプロローグを観てくださりありがとうございます! 次回から遂に本編、第一話の開始となります! そしてここまで見てくださった方々に設定公開をします! 

 アルダポース兄妹ですが、アルダポースとはギリシャ語で、「宇宙人」という意味です! そしてそれぞれ「メタスターシ」はギリシャ語で「転移」。アンティズメンノはギリシャ語で「開花」という意味です! なので兄はテレポートの能力、アンティズメンノは能力を開花させる能力。ということになりました! 

 次回からもちょくちょくそういう設定や裏話などを入れていきたいと思います!

 それでは次回もよろしくお願いいたします!

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