第二話
こんにちは。
のろのろ更新のゆるもわ近未来ファンタジー第二話です。
【あらすじ】
魔法と科学の融合による奇跡の結晶、アンドロイド。
なんでも出来る完璧なアンドロイドには、人の魔法に当てられると感情が暴走し、故障___“夢”を持ってしまうという弱点があった。
“夢喰い”の店主は、その“夢”を食べることで故障を治す能力で、結木のアンドロイド、ソータを治したが___?
第二話
「・・・もう、この状態では、リセットしか方法は・・・。」
「そんな!嫌よ!私は絶対に嫌!リンナは私の友達なのに、忘れるなんて嫌!」
「っ、こら!真凜、わがまま言わないの!」
ママに叱られるけれど、私は絶対に嫌なの。アンドロイドのリンナは私の親友。故障してリセットなんて、そんなの酷すぎるもの。
こんな事になったのは、たった数日前の事だった。
「わタシは・・・、あノ子と、家族ニ、ナりタイの。家族ニ・・・!家族ニ・・・!」
ある日突然、私の親友リンナは、“あの子”と家族になりたいと言い出した。それまでは何もおかしいところはなかったのに。一体何がそうさせたのかも、そもそも“あの子”が誰なのかも分からない。
研究所の先生はどこも「リセットしか無い。」というのだ。
私が産まれて十三年たって、リンナはずっと一緒だった。だから、リセットだなんて、絶対にしたくないのに。
思わず涙がこぼれてきた。
「うっ、リンナ・・・、うわぁっ・・・!」
「真凜!・・・もう、仕方ないのよ。覚悟を決めなさい。」
「でもっ、でも、嫌だよぉ・・・!」
すると。
「・・・まだ、希望はあるかもしれません。」
と、先生はぼそりと呟いた。
「え・・・?」
「宮守研究所です。彼のところはリセットの記録がここ数年ほとんどありません。もしかすると、何かいい方法を知っているかも・・・。」
「いっ、行きます!宮守研究所!どこですか!」
食い気味に答える私に先生は笑って、紹介状を書いてくれた。
宮守研究所・・・。絶対、助けるからね、リンナ・・・!
「ああ、うん。分かったよ。紹介するから、な、泣き止んでくれたまえ。」
「うっ、うっ・・・。」
宮守研究所に早速、その日のうちに向かった私は、宮守先生が「治せる」と言ってくれたことで、思わず涙が洪水のようになってしまっていた。
「まあ、治すのは僕じゃなくて、今から紹介状を書く所。」
____“夢喰い”というお店だ。
「すみませーん。」
おれは丁度見るのは二度目となるその木の扉を開く。居るかな、と緊張してきた。
少しすると、前と同じ様に寝間着姿のその人が降りてきた。
「・・・おまたせしましたぁ・・・、って、きみ、前に来たひとですよね?」
「はっ、はい。結木です。先日はどうも、ありがとうございました。今日伺ったのは・・・。」
と、そこまで言うと、店主さんは、目を擦って、
「あの、まあ、とりあえず入ってください。雨ですし・・・。」
と言った。そういえば、今日は雨だった。確かに、傘をさしても横殴りで、肩が濡れていた。店主さんの気遣いに感謝しつつ、上がらせてもらった。
「えっ、そんな。わざわざすみません。」
「いえ、やっぱりソータを助けてもらいましたから。」
手渡したのは菓子折。
先日おれのアンドロイドのソータを助けてもらっていた。家族同然の存在だった彼が故障した時は絶望すら覚えた。
しかし、彼女は、人口の半分ほどの魔法使いのうち、特に希少である固有技能の持ち主であり、その力でソータを助けたのだ。
感謝してもしきれない。
遠慮する店主さんに、半ば無理矢理であるがそれを渡す。
「・・・ふ、ふ。ありがとうございます。」
相変わらずの酷い隈に縁取られたその目を彼女は優しく細める。
「・・・では。これでおれは・・・。」
その時だった。
からんからん。
「あの、“夢喰い”って、ここですか?」
……To be continued
こてぽと申します。
のんびり亀更新ですね。見てくださる方に申し訳ないです。・・・・・・新参者がおこがましいでしょうか。
1話はどうしても切りたくなくて長くなりましたが、2話以降は1000字前後で少しずつ書こうと思います。
夢喰いへようこそ を見てくださった方、本当にありがとうございました!
こてぽ