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異世界召喚による日本人拉致に自衛隊が立ち向かうようです  作者: 七十八十
第1章 ひとつめの世界 ~はじめての異世界~
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1-4 自衛官、状況開始

増援のおかげで火力の心配はなくなったので、襲撃場所を選定する必要が出てきた。

拉致被害者を乗せたと思われる馬車を含む隊列は、重騎兵20を先頭に槍兵100が後続し、指揮官らしき騎士と少数の騎士、拉致被害者の馬車と周囲に重装歩兵20、その後ろに弩兵50、荷馬車が10、軽騎兵60という隊列である。

完全に行軍隊形で、街道に沿って細長く伸びている。


若干拉致被害者が乗っているらしき馬車を固めてはいるが、荷馬車の側面は無防備で襲撃を受けるとは思っていないようである。

事前偵察隊小隊長あらため佐々木二尉は周辺の地形図をすでに作成していた。


「敵の移動手段と連絡手段が基本的には徒歩か馬に限られることを考えると、王都から数キロ離れてしまえば増援は考慮する必要はないと思います」

「報告では飛竜騎兵がいるとのことだったが」

敵戦力の評価の中に、唯一の航空戦力として馬程度の大きさのワイバーンに乗る飛竜騎兵の存在が記されていた。

「見た通りこの隊列にはいないようですから無視でよいかと。ただ問題は魔法使いですかね」

「我々はその魔法とやらを見たことはないが、報告を見た限りでは詠唱中に狙撃できれば問題ないのでは?」


ジャネット少尉が同行している狙撃手を見やりながら疑問を口にした。


「直接火力を行使しようとしてくるならいいですが、後方に隠れられて信号弾のように上に魔法を打ち上げられると厄介かと」

「そんな使い方もあるか・・・」


増援を呼ばれるのは厄介といえば厄介だが、増援が来るまでの時間にUHで離脱できれば問題ない気もする。


「魔法使いをAHのミサイルで吹っ飛ばすのはどうだ」


実にアメリカンな提案である。


「いるとしたら要救助者の馬車付近の重装歩兵の中かと思われますが・・・」


そんなところにミサイル打ち込むわけにはいかんだろ・・・。


「隊列両側に狙撃手を配置して詠唱を行う奴がいたら狙撃するしかなさそうだな」


参加兵力はAH-1Zが2機にUH-1Yが4機、米海兵隊武装偵察隊4名、事前偵察隊24名(原隊富士教導団)、そして俺の指揮下の情報分隊12名(原隊特殊作戦群)。

なんとかなりそうな気がしてきた。

海兵隊、事前偵察隊、情報分隊それぞれに狙撃手がいるので三方向から狙撃できる。

あとは待ち伏せに良い場所を探すだけだが。


「このまま隊列が街道沿いに進むなら5キロほど先に街道両側の視界が悪い場所があります」


すでに数日活動しているだけあって佐々木二尉は地形をある程度把握できているようだ。

とはいえ


「そんな場所なら警戒してないか?」

「そうだ、その場所を警戒するための斥候だったんじゃないのか」


当然思った疑問にジャネット少尉も便乗する。


「自国内のそれも中心に近い場所で敵襲の警戒はしないでしょう。ちなみにあの斥候はあの隊列のものではなく、王都警備隊のものですから戻らないのがばれるのは夕方です」


言われてみればその通りだが、魔王とかいる世界なら魔物とかいないんだろうか。それとも王都近辺だから駆除されているのか。


「とりあえずそこまで先回りか」

「街道はまっすぐというわけではなく3キロほど先からゆるやかに曲がってますので、森の中をつっきっていきましょう。フル装備で5キロ森の中を5キロダッシュです!レンジャー訓練を思い出しますね!」


何が嬉しいのか知らないが、佐々木二尉は俺とジャネット少尉を見て嬉しそうにしている。

お互い何を言うでもなく顔を見合わせた俺とジャネット少尉は声を揃えた。


「「そうか、頑張れよ」」


そうして我が分隊と海兵隊4名は乗ってきたUHに乗り込んだ。




結局、先回りと隠蔽の問題で待ち伏せ地点は8キロ先の地点が選定された。

しかも陸自の1機も含めてUHが全て投入されることになったので、ヘリで移動し、ヘリで撤収することになった。

若干1名が不満そうだったが、どうでもいい。


UH-1Yが2機ずつで隊列前後を攻撃、混乱したところでAH-1Z2機と狙撃班、MINIMIの援護のもと突撃して拉致被害者を確保してUHで離脱。

単純かつ火力優位にものを言わせた作戦だが、これくらい単純な方がうまくいくものだ。

街道脇の森の茂みに隠れている隊員がきちんと隠蔽できているか確認し、自分も伏せる。

街道の監視と作戦開始の合図は狙撃班に任せてある。

茂みで伏せながらじっと無線の合図を待つ。


≪隊列が見えた≫


傍受の恐れがないし時間もなかったのでコードは決めずに平文である。


≪予定地点まであと200≫


狙撃班の状況報告を聞き、無線手に声をかける。


「航空隊の状況は」

「ハンター01、06、07所定の空域で待機中。ハンター02から05、攻撃隊形で急行中、現着まであと60。アタッカー01、02、現着まで同じく60」

「ちとヘリが早すぎるな。待機させろ」

「わかりました」


無線手が無線機に向かい呼びかけ始める。

ちなみにハンター06、07が乗ってきたUH-1Yで、ハンター01は陸自のUH-1Jである。予備機扱いのもう1機のUH-1Jはハンター08ということになっているが、基本的に連隊本部でカバーをかけられている。


≪敵隊列、予定地点到達。襲撃可能地点通過まで予想120≫

「ヘリ部隊に連絡、状況開始」

「アナグマより全部隊、状況開始、繰り返す状況開始」


無線手が広域無線機に状況開始を告げている。

それにしてもうちの部隊のコールサインはなんでアナグマなんだろうか。

戻ったら変えてもらおう、などと呑気に考えていると隊列前後にAHの対戦車ミサイル(ヘルファイア)が着弾した。

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