表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Punishment  作者: トバリ
1/1

時系列不明の日

赤く滲む空とは反対に、昼には熱されたフライパンのようだったアスファルトは温度が下がりはじめる。そよ風に吹かれて溶け始めたアイスキャンディーの雫が指に流れた。ああ、夏だなあ。


高校生になって、最後の夏休み。帰宅部にだけ課せられた使命。ボランティア活動を終えて、コンビニに寄った友人を待つこと早十分。公園のブランコに座ってからの時間でもある。


「小春」


風が吹いた。


「待たせたかな」


待っていた人が来た様だ。ブランコから降りて私は立ち上がる。


「さっきから全然時間経ってないよ」


彼の黒い髪は沈んで行く太陽の光を背に、艶やかな天使の輪を際立たせる。


「そうか。じゃあ、本当に一緒に行くのか?」


心配そうに、複雑そうに彼の瞳が揺れている。


「行くよ。約束したよね」


「あんな所に自ら行きたがるなんてさ、馬鹿だよお前」


「一人なら行かないよ!湊が行くって言うから一緒に行くわけだからね」


私の決意を舐めないでほしいものだ、と彼、桃瀬湊(ももせ みなと)を睨む。


…………これは私、桜庭小春(さくらば こはる)のゆるっと夏休みのんびり生活のお話。


ではなく。


残酷で、非道な、生命を失う様なとても怖ろしい体験をしたあり得ない夏休み恐怖体験のお話だ。


しかし憐れで、痛ましく切ない、私と彼の、いろんな思い出をかき混ぜた、沢山の愛のお話でもある。


「行こう。二人で」


手を握って、離れない様に。離れ離れにならない様に、寄り添いあって赤い光に照らされる道を二人は進む。

きっと、大丈夫。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ