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閑話 side神様



 天界にて。


「いや~、しかしさっきの子は面白い子だったなぁ」


 命の神、レーヴェンは先ほど転生した少年のことを思い出し、普段は無表情な顔に溢れんばかりの笑みを浮かべる。


「いや~本当に面白い子だったね。最近じゃあ命を大切にしない人が多すぎて困る。聞くところによると、鶴と電気、どっちが大切かを聞いたらほとんどの人が電気というそうじゃないか。全く、命を何だと思っているんだ」


 最近の子は命の重みが薄れてきている。自分たちの命ばかりを大切にし、虫とか他の小さな命何て全くかえりみない。人身事故があっても、電車の遅れにいら立つだけ。


 ――でもまぁまだ大量虐殺とかがないだけましか。


 命の神、レーヴェン。彼が嘆くのは命の軽さ。いついかなる時代、何処の世界でも、命は軽く、それ本来が持つ尊さが時とともに薄れゆく。少しづつ少しづつ。時偶に回復するが、それでもなお、確実に。

 文明が進むにつれ、かつての命への感謝の気持ちをなくしていく。山で山菜を取り、森で狩りをする。魚を捕り、精霊や神を信仰し、命に感謝の言葉を紡ぐ。

 今の日本では、本物の牛や豚を、テレビで見ることはあっても直接見たことのある人は少ないだろう。もちろん、それらをお肉にするところなんてもってのほか。


 はぁ、と小さく溜息を吐くレーヴェン。


「ま、こんなところで嘆いていても仕方がない。それに、優君も他の人に比べたらってだけで、やっぱり昔の人に比べれば命への意識は小さい。この転生で彼の考えがどう変わるのか、ちょっと楽しみだな。変わらずか、それとも命の重さに気づくか、軽く考えるようになるか…。ま、彼次第だね」


 ん~、と伸びをして、思考を切り替える。


「そう言えば優君。無事に転生できたかな? ちょっと確認してみよう」


 レーヴェンが指をパチンと鳴らす。するとレーヴェンの目の前に輪っかがどこからともなく現れ、その輪っかは転生したばかりのユウを映した。

 そして、魔法を試し打ちするユウの姿も……。


「………え? 何か、…強くない? あれ? 何で水魔法があんな高火力を叩きだしてんの? いや、氷魔法ならまだ分かるよ? それでも高火力過ぎる気がしなくもないけど、それならまだわかるよ? でもあれ水だよね? 前世の高度すぎる知識消したはずなのに、何であの子高圧水流とか出してんの? あれ? もしかしなくても消し忘れた?」


 あっれ~? と言いながら記憶を漁ってみるが…うん。確かに高度すぎる記憶は消したはずだ。

 ならなぜ? よく分からない。


「う~ん。召喚魔法を使わなかったら、今の優君の魔力は人族にしてはかなり多くあるからな…あの水魔法、かなり高度で結構魔力消費するはずなのにまだ半分以上もある。あれにさらに水の状態変化までできるんだから……あれ? 優君強すぎない? あれ? あの世界の平均的な強さってどんなだっけ?」


 パララララと、机の上にあった優君がいった世界の紙束を取って調べる。


「……うん。優君かなり強いね。何とか修正入れたいけど…いくら神様でもさすがにもうどうすることもできない…か。まぁ強いと言っても、優君より強い人も結構いるし大丈夫かな。冒険者ランクで言うとAランクくらい…かな? 魔法がなかったら、それこそその辺の村人と一緒だし、まぁそれぐらいならいいか」


 引き続き優を観察していると、優が一通り魔法の試射を終え、村へ向かい始めた。


「…氷に水蒸気を使って霧まで発生させたのに、まだ魔力半分以上あるよ…。ちょっとあげすぎたかな。ていうか、そんなに水魔法が強力になるんだったら、チート一つでよかったじゃん!」


 なんて、いまさら言っても仕方がない。それに確かに優は魔法では強いが、それ以外では本当に村人レベル。これからどんどん強くなっていくかもだけど、今の段階ではバランスは取れてる……かな?


「うん。バランスが取れていることにしておこう! 今更どうすることもできないし」


 はははははと笑うレーヴェン。



 レーヴェンが一人笑っていると、不意に背後から光が輝きだし、小さな気配を感じた。


「やれやれ、もう次の転生者が来たか。…さて、今度のお客さんは誰かな?」


 そういい、後ろを振り向き転生者と面会する。


「……おや? ふむふむ。随分と小さな転生者だ。どうして君が僕のところに来たのかよく分からないけど…まぁいいか。何となく予想はつくし。それで君は、転生したいのかい?」


 レーヴェンが聞くと、小さな訪問者は静かに、しかし力強く頷く。


「どこか希望はあるかい?」


 コク。


「ふむ……やっぱり”彼”のところかい?」


 コクコク。


「ははは、やっぱりね。うん、この僕に任せなさい! さて、転生に当たって、君の名前を聞いてもいいかな?」


「ーーーー」


「オッケイ。それにしても……ククク。これは彼の反応が楽しみになってきた。それじゃあ話を詰めていこうか? 小さな転生者さん?」






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