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ある意味怖い話  作者: 谷口由紀
8/17

黒い夢 ※

※見た事ある人がいたら、教えて欲しいです。


 


 その夢は今でも覚えている。

 

 私は夢の中で六匹ほどの色んな種類の犬を散歩させていた。

 そのうちの一匹は、実際に昔飼っていた白い大型犬(雑種)だった。他の犬も大きさは中型~大型で、六匹とも縄をつけずに夜の雑木林を散歩させていた。


 実際の風景とは全く違うのだけれど、雑木林を抜けると実家の傍に実在する公園が見えた。

 その公園は毎年お盆には(やぐら)がたち、町内の人間が集まって盆踊りをする程度には広かった。そして、夢の中で立っている場所の反対側にはブランコがある。


 そのブランコが、ゆら……ゆら、と揺れていた。

 そこに真っ黒な「男性」が煙草をくわえて座っているのがわかった。

 

 しかし、真っ黒なのだ。


 月明かりもあるしブランコの傍には街灯もある。にもかかわらず、その「男性」は真っ黒だ。

 

 月明かりの下を歩いたことがある人ならばわかると思うが、夜道といえど完全な闇ではない。

 月明かりというものは、目が慣れてしまえばかなり明るく感じるし、照らされていれば相手の性別や服くらいは何となくわかるものである。


 しかし、その「男性」は、煙草の火以外はすべてが真っ黒だったのだ。


 服も黒。顔も黒。身体も、煙草をもつ指さえも黒。

 離れているから身長も「大人か、そうでないか」程度にしかわからない。

 それなのに自分はそれを「大人」で「男性」だと認識していた。



 夢の中の私は、公園の端に白いワゴン車(実際には持っていない)を停めていたので、六匹の犬たちを何とか男性が気づく前に乗せなければ――そう思っていた。

 

 気づかれたらダメだ。

 気づかれたら怖いことが起きる。


 ただそれだけを考えていた。


 飼っていた白い犬に話しかけた。

「みんなを静かにさせてね。車に乗らなきゃ……」

 犬は忠実に耳を傾けてくれた。


 犬とともに、そろりそろりと車へ近寄った。

 男はブランコで煙草をふかしたままだった。


 ワゴン車のドアをスライドさせたとき、思いのほか大きな音が鳴ってしまった。


 男性は口から煙草を離し、車を見ている――どこを向いているかもわからない真っ黒な姿なのに、そう思った。


 気づかれてしまったなら急がないと! その一心で犬たちを後部座席に乗せた。

 そして急いで運転席に乗り、車のドアをロックした。



 男性は、運転席の真横に立っていた。

 顔は相変わらずどちらが前かもわからないくらい真っ黒なのに、こちらをのぞき込んでいるのがわかった……。

 

 

 その時、夢から覚めた。

 心臓の鼓動は、煩いくらいばくばく言っていた。


 ――怖い夢をみた、そう思った時のぞき込まれていた右側から妙な圧迫感を感じて首をそちらにむけようとした。


 しかし身体は固まっていて、ぴくりとも動かなかった。

 

 右側の圧迫感が近づいてきた。

 視界の端に、真っ黒いものが入ったとき、私は眠ってしまったらしい。



 現実逃避万歳!

 どんな時でも眠れる能力に感謝した。


 あのまま意識を保っていたら何が起きたのか……と多少は思う。

 その後も数回は黒い存在に遭遇しかけるのだけれど、結局は一度もコミュニケーションできなかった。


 あれはいったい何なのか……謎です。

 


 



夢占い、してみるべきだったのかもしれません。

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