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ある意味怖い話  作者: 谷口由紀
13/17

猫の育児参加

 怖い話ではないです。


 うちの長男が生まれて少し経ったころのこと。

 我が家には当時六匹の猫がおりました。一番若くて17才(当時)、高齢な子で二十才というご長寿っぷり。

 猫というのは気まぐれでツンデレで、子供なんて好きじゃない! という子ばかりではないのです

、実は。

 六匹中三匹は育児にとても積極的に参加してくれました。そして二匹は傍観者となり、残る一匹は赤子を天敵扱いしていたものです。


 猫は長生きすると化け猫になる、とか尻尾が二又になるなどと言われていたので楽しみにしていたけれど、一番長生きをした二十四才十ヶ月の子でさえ尻尾は一本のままでした……残念。


 さてさて、赤ちゃんと動物が近くにいるなんて不潔!! とおっしゃる方は、申し訳ないのでここから先をおススメしません。


 


 よろしいでしょうか?




 では続きを書かせていただきます。

 我が家の猫たちのうち三匹は、どうやら長男を「弟分」と受け入れてくれたようで、猫たちなりに生き抜く知恵を伝授していたようでした。

 ハイハイしだした夏などは、長男を涼しい玄関の床に連れていってくれたものです。

 親としては、少し目を離した隙に息子がいない!!と本気でハラハラしました。

 しかしながら、そんな時は猫に「息子どこー」と聞くとちゃんと誘導してくれるんです。尻尾をぴんと立てて少し進んでは振り返り、私がついてきているかを確認するとまた進む。

 玄関の靴箱の下にあるスペースで、二匹と長男が涼んでいる姿は不思議な光景でした。


 猫たちの食事時間にも長男を呼んでくれたり、トイレの砂をかける姿も見せてくれたり。

 喃語を話し出した時には、隣でにゃおにゃおと鳴いてくれていたり。


 一緒にお腹をだして仰向けに昼寝をしている姿を見た時は、「姉弟」のようだと思わず笑ってしまいました。


 

 おかげで長男は動物好きの子どもに育ちました。

 そして赤ん坊の頃には無かったのですが、子供が幼稚園に入園する辺りから猫たちの育児方針も変化していきました。

 乳児のころは何をされてもぬいぐるみのように耐えていた猫たちが、「やりすぎ」のラインには教育的指導の軽い引っ掻きやガブリをするようになったのです。

 「意地悪はイヤ」という当たり前の事を、ちゃんと教えてくれました。


 そして猫たちが高齢だったこともあり、一匹、また一匹と亡くなっていきました。

 その時息子はもう幼稚園最年長になっており、今度は猫たちのお世話をするようになりました。


 亡くなる一週間前あたりからうまく歩けなくなり、トイレにも食事にも運んであげなくてはならなくなりました。

 長男は優しく抱えて運び、用が済むとまた寝場所に戻す……を繰り返していました。

 息を引き取る瞬間までも寄り添っていました。


 猫たちが、色々なことを教えていました。

 優しくされたら嬉しい事。

 嫌なことをされたら怒ること。

 言葉が通じなくても、なんとなく心が伝わること。

 そばに居たら幸せなこと。

 そして、別れがあるということ。


 お盆が近いせいか長男が不思議発言をしていたので、思い出して書いてしまいました。

 長男いわく「二階の電気、寂しいからつけておいてーって」言われたんだそうです。


 うちの兄と猫たちが、たまにはゆっくり遊びに来たのかな……と寂しくも懐かしい気持ちです。

 頼まれたなら、昼間はともかく三日三晩つけておきますとも!

余談ですが、長男は猫のトイレでしちゃったことがあります。ご丁寧に砂がかけられていて、掃除のときに発覚し驚愕したのも、今では良い思い出です。

……多分。

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