夜景と首 ※
※免許をとったばかりの頃、六人で夜景を見に行きました……
「Y面山」
A知県N市にある夜景スポットです。
そして一方で心霊スポット、だったそうです。
私の友人たちは本当にこういうところが大好きで、人をだまし討ちのような形で連れてくるのが正直嫌いです。
ちなみに本人たちにも面と向かって「あんたらのそういうとこは大っ嫌い!」と伝えてあるので陰口ではなく友人らに対する素直な気持ちです。
さて、その日は夏で友人Rの家に全員が泊まるから……という理由で夜遊び万歳状態でした。不良……ではなく、どちらかというと全員真面目なタイプだったのですが、夜のテンション……でしょうか。
それはともかく、男女三人ずつの六人が集まり、一人が大きな車を出してくれたので、流れでドライブが始まりました。
私は心霊スポットに詳しくなく、地名を言われても全くピンとこないのです。そのせいか「○○行こう」と連れ出された先が、実は心霊スポットだったと後で聞かされることが多くありました。
そして今回言った「Y面山」も、詳しい人ならすぐ気づく場所だそうです。
「夜景がきれい」
かつ、メンバーの中に少し気になる異性がいる……となれば、テンションもあがるものです。しかし、着いた先は山。夜景を楽しめる……ということはほとんど明かりもなく真っ暗でした。
とりあえず携帯電話の明かりをたよりに展望台に進みます。
そして階段を上っているあたりで、妙な感覚がありました。
首回りに髪の毛がまとわりつくような不快感、といえば想像しやすいかもしれません。その不快感がずっと続いていたのです。
当時の私の髪型はショートカットで、首に届くほど長さはありません。服装も、夏らしく首回りはかなり広く開いていました。
にもかかわらず、首回りが不快なのです。
階段を上りながら、ずっと首を触っている私にMが言いました。
「首、絞められてるの?」と。
なぜそんな事を聞くのか、嫌な予感がしつつも尋ねました。
「何か隠してる?」
「ここで亡くなった人がいるんだって、自分で首を……」
そう聞いた瞬間、イラッとしました。
そして前を歩くN(黒歴史)に向かい、首から「何か」を外しては投げつけ、外しては投げつけ……という動作を繰り返しました。
「絞めるなら、コイツ(N)絞めとけ!」
その怒りとともに何回も繰り返していたら、何度目かにすっきり爽快になったのです!
Nは、帰りの車で「なんか首変かもー」と呑気に言っていたので、私の行動は成功したらしい。
だまし討ちはいくら友人でもダメだと思うのです!
首の気持ち悪さが不快だった出来事でした。
あ、あの日……夜景みてないことに、今……気づきました。