2話 決断しました
(歩クン!起きて!到着ついたよ!)
(⁉……あ?僕寝ちゃってた?)
(うん、よく寝てたよ。無理もないね。)
ハザマの世界と呼ばれるところから僕は韋駄天神ピノ様に救助された。ただし、元の世界に戻れば魂にまでリセットされるので悩んでしまった。そこでピノ様からある提案をされ僕はそれを受け入れたんだ。そしてすぐに今後のことについて打ち合わせして、あらかた方針が決定したのでピノ様が天界に向けて移動を開始して、それから……僕は意識を失った、要するに寝ちゃったんだね。僕が寝ている間にピノ様の天界での仕事は終わったようで、約束していた遊戯世界ノーアの登録所に到着したから起こしてくれたらしい。
(さあここから入るよ。話した注意点をもう一度おさらいするね……)
(はい!)
元の世界に戻れば僕は魂の状態までリセットされてしまうらしく、元の世界に戻る選択肢は僕にはあり得ない。そのために、これからこの”ノーア”に行くことにした。”ノーア”は天界の中に作られた小さな世界で、銀河系1個分ほどのおおきさしかないんだとか……コレを小さいとかいうのこどうかはわからないが。
僕の向かう”ノーア”は神々の、あるゲームで使うキャラクターを生成する場所なのだそうだ。正直、最初は意味がわからなかったけど、
(キミの知識で近いものは……強さを競うネットゲームってやつかな?それも課金制の。お金をかければ賭けるほど強いキャラを手に入れる確率が高くなるってやつだよ。ノーアでは、お金の代わりが”自分の世界の人間”になるんだ。)
ピノ様の説明によると、舞台は中世ヨーロッパのようなところらしい。そこで僕が活躍するとそれにみあった強さ・能力を持つ僕ベースのゲームキャラクターをピノ様が手に入れることができるらしい。ここでの僕の一生はキャラクターを作る作成期間ともいえる。
(まあ、前の世界より危険だけど、直ぐには死なないよう運営がサポートしてくれるみたいだし、注意を払えば無難な人生ができると思うから。それなりに頑張って。)
本来は自分の世界の強かったり、賢かったりする、いわゆる”活躍しそうな人”を勧誘して連れてくるらしい。
だから無能な中学生の僕では初めから”ゴミキャラ”ができるのが確定しているようなものだ。歩として生きる機会をくださったピノ様には本当に申し訳ないが、そこは気にするなと言ってくれた。
この世界ノーアに入ると、僕は1人の冒険者として人生をスタートするらしい。
僕にとって重要なのは、歩としての人生を送ることが出来る事なのだ。戦闘は避けたいがこれしか道がないならやるしかない。
(さあ歩クン!行くよ!)
(はい!)
僕は新しい人生を送る世界ノーアに飛び込んだ。