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謎のおっさんオンライン  作者: 焼月 豕
第2.5部 短編・番外編集
87/140

謎のおっさんとFPS(後編)

取材のため、久しぶりにFPSをやったらうっかりドハマりしてしまったり、体調崩したりして遅くなりました。

「俺が貴様らの教育を担当するレイヴン先任軍曹だ。貴様らウジ虫共を立派なキリングマシーンに生まれ変わらせるのが俺の使命であり、その為には一切の容赦はしない。それが嫌な奴は今すぐログアウトボタンを押し、布団に潜って小便を漏らしながらガタガタ震えていればいい」


 レイヴンという名の、黒い軍服を着た中年男性プレイヤーが、まるで恫喝するような大声で話しかけていた。

 その前に居るのは数人の青年プレイヤー達。彼らは直立不動で、レイヴンの話を聞いている。


「どうやら敵前逃亡をしたい臆病者は居ないようで何よりだ。では改めて、貴様らにはこれから俺の教育を受けて貰う。拒否権は先ほど失われたため、もう無い」


 レイヴンは青年達の正面に立ち、彼らを鋭い目で見据えながら宣言する。


「俺が許可した時と、話しかけた時以外に口を開くな。それと口でクソを垂れる前と後にサーを付けろ。わかったかウジ虫共!」

「「「「「「サー、イエッサー!」」」」」」

「声が小せえぞメス豚共!」

「「「「「「サー!イエッサーッ!!!」」」」」」

「いいだろう!では訓練を開始する」


 レイヴンに怒鳴られ、腹から大声を出す青年達。

 そんな彼らの前で、レイヴンは腰のホルスターから拳銃――バントラインスペシャルを取り出し……そしてその銃口を、突然彼らのうちの一人へと向けた。


 突然レイヴンに銃口を向けられ、怪訝な顔をする新兵達。

 そんな彼らを無視し、レイヴンは躊躇う事なくトリガーを引いた。

 当然のように至近距離で銃弾が放たれ、青年の額に命中。ライフが0となり、倒れる青年。


「なっ、何を……!?」


 死に際にそう言い残す青年だったが、レイヴンはそんな彼に呆れた顔で言う。


「何を、じゃねえよマヌケ共。銃口向けられといて何で棒立ちしてやがるんだ」


 そして、残った青年達――皆、一様に困惑している様子だ――を見回して言う。


「てめぇらもだ。目の前に仲間をブッ殺した敵が居るぜ。何で殺さねえ?」


 レイヴンの言葉に、弾かれたように動きだす新兵達。銃を取り出し、レイヴンへと向けようとする。だがまだ混乱から立ち直れていないのか、その動作はレイヴンの目から見ればあまりにも遅く、未熟。


「遅ぇッ!!」


 レイヴンは新兵達の一人をバントラインスペシャルで射殺すると、一瞬で彼らの後ろへと回り込んだ。そして、無防備な背中へと向かってナイフを振り下ろしていく。

 電光石火の素早さで全員を殺害したレイヴンは、彼らの死体に向かって叫んだ。


「いいか、これが戦闘だ!敵が貴様らが動きだすのを律儀に待ってくれると思うな!いつ、どんな状況でも敵が出てきたらすぐにブチ殺せるように備えておけ!わかったらさっさと復活リスポーンして集合しろ!」


 レイヴンの命令に、すぐに復活リスポーンし、復活場所から全力疾走してくる青年達。

 再度整列した彼らに、レイヴンは指示を出す。


「では改めて実戦形式での訓練を行なう。

 貴様らは全部で六人か……なら、まずは五対一だ!一人を残して五人でチームを組め!」


 レイヴンの命令に、一人の新兵が手を挙げる。


「軍曹殿、質問よろしいでしょうか!?」

「許可する。何だ?」

「なぜ五対一なのでしょうか!?あまりにも人数の偏りが大きすぎると思われます!普通は六人居るならば三対三で行なう物だと愚考しますが」

「貴様は戦場で、一人の時に大量の敵に囲まれた時にも同じ事を言うつもりか?そういった状況で生き残る為の訓練だ!わかったかウジ虫!」

「よく理解できました!ありがとうございます!」

「よろしい。逆に五人組の方は、有利な状況の時に確実かつ迅速に敵を仕留められるように訓練を行なう。人数が多いからといって気を抜くな!いいな!?」

「「「「「「サー、イエッサー!」」」」」」

「聞こえんぞ、大声出せ!タマ落としたか!」

「「「「「「サー!イエッサアアアア!!!」」」」」」

「よし、では訓練開始だ!さっさと動け!」



 そして、レイヴンによる新兵教育が始まった。

 その内容は、前述のように極端に偏った人数編成による戦闘が中心だった。

 ある時は、弾薬が残り僅か、消耗品も無いというギリギリの状態での、補給地点までの撤退戦を強いた事もあった。

 またある時は、散開した状態でレイヴンが用意したトラップ警戒網をくぐり抜けて合流地点まで到達する訓練であったり、屋内戦闘で片方のチームのみにレーダーを支給し、奇襲とそれに対応する訓練を行なったりもした。

 また、訓練中でも気を抜くと、すぐにレイヴンが自ら奇襲をかけてくるために、新兵達は片時も気を抜けなかった。


 レイヴンが新兵達に施した訓練は、とても実戦的な物であった。

 銃の扱い方や撃ち方などといった物は、わざわざ練習などする物ではなく実戦の中で磨けば良い。レイヴンはそのように考えており、何よりも優先したのは、あらゆる状況に対応できる判断力と経験。


 実際の戦闘において、向かい合った状態で、互いに同じ条件で始まる戦闘などという物は、まず存在しない。

 装備・人数・練度などの様々な項目による戦力差。地形や天候による有利不利。情報の有無。奇襲や騙し討ちといった要素もある。

 また当然の事ながら、そういった状況は常に変化するし、一つ一つの戦いが、同じ条件で始まる事はまず無いだろう。


 そのためレイヴンは、いつ、どんな状況でも戦えるように彼らを鍛え上げた。

 有利な条件下においては、素早く確実に敵を仕留められるように。

 また劣勢の時は、それをいかに凌いで有利な状況に持ち込めるか。

 過酷な訓練の中で、新兵達はそれを体に叩き込まれた。


 そして、一週間が経過した。



  ◆



 直立不動で「休め」の姿勢を取る六人の男達が居た。

 彼らの着用する軍服は一週間前には新品同様であったが、今はみな汚れ、擦り切れてボロボロになっている。

 また彼らの顔つきも、一週間前とはまるで別人のようだ。穏やかな顔つきと、少年らしい純朴さが残っていた目は、もはやその面影すら残っていない。そこには戦士の顔と、野獣のごとき鋭い眼光があった。


 六人の前にレイヴンが立つと、彼らは一糸乱れぬ動きで敬礼をした。


「これで訓練の全課程が終了した。どうだ、楽しかったか新兵共」

「「「「「「サー!イエッサー!!」」」」」」


 レイヴンの問いに、揃って腹の底から声を張り上げる新兵達。

 そんな彼らに、初めてレイヴンは笑顔を見せた。ニヤリと笑い、レイヴンは言う。


「よろしい。では今日この時をもって、貴様らはウジ虫を卒業する。この俺には遠く及ばねえし、まだ未熟な部分はあるが、俺が伝えられる事は全て貴様らの体に叩き込んでやった。貴様らは一人一人が戦場を自在に舞い、死を撒き散らす小鴉リトル・レイヴンとなった。どうだ、嬉しいか」


「「「「「「サー!イエッサー!!」」」」」」


「よろしい。ならば着替えと戦闘準備を済ませた後に、すみやかに敵軍を急襲する。五分以内に済ませろ」


 レイヴンはそう言うと、新品の軍服を男達に手渡した。

 黒く染められた、レイヴンの装備している物と似たデザインのそれは、左胸に黒い羽の勲章が飾られていた。

 男達はそれを着ると、銃や弾薬、その他備品のチェックを開始した。



  ◆



 廃墟にてクラン【ウォードッグ】に所属する男の一人が、苛ついた様子で舌打ちした。

 彼ら【ウォードッグ】の先遣隊は街の外にある無制限攻撃・殺害可能な中立フィールドにて、襲撃対象となる一般プレイヤーを見繕うのが役目である。

 可能ならばそのまま襲撃・殺害し、彼らのみでは厳しい相手であれば本隊に連絡する。


 彼らが最近よくカモにしていたのは、二十歳前後ほどの青年が六人の弱小クランであった。

 一週間ほど前までは、それこそ中立フィールドに出てくればすぐに殺しに行っていたものだったが、ここ一週間は奴らを狩れていない状態が続いている。


 最初は、ビビッて街に引き籠っているものだと考えていたが、それもどうやら違うようだ。

 エリア内に居るプレイヤーを検索すると、そいつらの名前は全て存在している。居場所も高性能レーダーによって特定できている。


 ……にも関わらず、奴等を殺せていない。何故か?

 その理由は、どういう訳か奴等の居る所に近付いた者が、突然どこからか狙撃されてしまう為だ。


 無論、その狙撃手の正体はレイヴンである。

 レイヴンは青年達に厳しい訓練を課しつつ、邪魔が入らないように一定範囲内に近付くプレイヤーを無差別に狙撃、あるいは暗殺していた。


 何をやっているのかは知らないが、毎日ログインするたびに同じ場所に集まり、ログアウトするまで一切移動しない彼らを不審に思った【ウォードッグ】の先遣隊は、何度も偵察を出した。

 が、結果は当然のように全て失敗。偵察に赴いたプレイヤーは、全て敵の正体すらわからないままに、物言わぬ死体となった。


 事が上手く運ばない苛立ちを隠そうともせず、再度舌打ちをする男。

 その時である。そんな彼の目の前に、放物線を描いて小さな、丸い物体が落ちてきたのは。


「あ……!?」


 怪訝に思ったのは一瞬。すぐにその目が驚きに見開かれる。目の前に転がり落ちてきた物体は、男にとっても見慣れた……一個の手榴弾!


「て……敵襲ーーーー!!」


 せめて仲間達へとそれを伝えようと、声を張り上げる。その声を最後に、彼は爆発に巻き込まれて死亡した。

 そして、その直後に六人の男達がその場に殺到する。


「クリアー!」

「クリアー!」

「よし、突撃!」

「Gung-Ho!Gung-Ho!Gung-Ho!」


 手榴弾による不意打ちで見張りの男を倒した青年達は速やかに散開し、敵が潜む廃墟へと突入していった。

 そんな彼らの所持する無線機が、彼らの教官の声を伝えたのはその時だ。


「こちらレイヴンだ。俺は少しばかり野暮用があるから留守にするが、俺が居ねぇからといって気を抜くんじゃねえぞ。教えた通りにキッチリとブチ殺してきな」

「サー、イエッサー!」


 レイヴンの命令に元気よく答えた青年達は、敵を狩りつくさんと気炎を上げるのであった。




 ……そして、彼らが廃墟に突入してから数十分が経過した。


「ハァーッ、ハァーッ!ファック!ファッキンシット!一体どうなってやがる!」


 クラン【ウォードッグ】のメンバーの一人、彫りの深い顔立ちの白人男性が、物陰に隠れながら悪態をついている。

 無謀なアホ勇者共の敵襲があり、それをカウンター・キルしてやる恒例行事が始まったのは少し前の事だが、今回はいつもとは勝手が違った。

 普段カモにしていた相手が一週間ぶりに顔を見せたかと思ったら、奴らの戦いぶりが以前とは比べ物にならない程に進化していたのだ。


 以前の奴らは一方的に狩られるだけの子猫だったが、今の奴らはまるで虎だ。

 身のこなしや狙いの付け方にはまだ甘い部分も見られるが、それを補って余りある判断力と連携。こちらも相手に被害を与えてはいるものの、人数で勝っているにも関わらず、明らかにこちらのほうが被害が大きい。


「クソっ!またやられた!早くスナイパーを排除しろ!一方的に狙撃されているぞ!」

「ダメだ、ショットガン使いが待ち伏せしていた。しかも裏道にはトラップが山積みだ!」

「深追いはするな、誘われてるぞ!瀕死の奴を追いかけていたら囲まれた!」


 無線機からは仲間達の怒鳴り声や悲鳴。

 だがその時、その無線機から聞き覚えの無い声が聞こえた。

 そう、それは仲間の声ではなく。


「今からお前を殺しに行く」

「……!?」


 侵入者に回線を乗っ取られたのか、無線機からは敵の声。

 地獄から響くようなおぞましい声に、思わず体がビクッと跳ねる。

 そして、彼の恐怖を煽るように再び無線機から声が。


「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの(野太い声)」

「!?」


 その声に男は思わず、勢いよく背後を振り返ってしまう。

 彼が振り返った時、背後には誰の姿もなかった。それを確認し、男は一瞬だが気を緩めてしまう。

 無理もない事だが、この状況でそれはあまりにも致命的!

 その一瞬の隙を見逃さず、天井をブチ抜いて目の前に一人の兵士が現れる。そして、驚きのあまり硬直した男の眉間にナイフを突き刺し殺害した。



 また一方、別の場所では仲間の死体に紛れて、死んだフリをして待ち伏せを慣行する者の姿。

 そんな彼の横を、敵の兵士が二人、通過しようとする。


(よし……そのまま通り過ぎて行け……後ろからハチの巣にしてやる)


 彼の擬態は完璧であった。

 まるで本物の死体のように微動だにせず、獲物が油断して通り過ぎるのをじっと待つ。彼はこういったアンブッシュを得意としていた。

 だが、その時。


「あっ、ここ進○ゼミでやった所だ!」


 そんな声を上げた敵兵が、死体に擬態していた彼に向ってサブマシンガンを乱射する。


「ぎゃあああああっ!?なっ、何故わかったあああ!?」


 そんな断末魔と共に死亡する、死体に擬態していた男。


「一発目から当たりか。ツイてたな」

「ああ。まだ居るかもしれん。全部撃っておこう」

「死体撃ちは基本。軍曹殿の言う通りだったな」


 青年達はそう言葉を交わし、残りの死体にも容赦無く銃弾を浴びせていった。まさに死体に鞭打つ行為であるが、彼らは一切躊躇せずにそれを行なった。


 実のところ彼らは、敵の擬態を見破っていた訳ではない。単純にレイヴンが、このような場面を想定して彼らに訓練をつけており、青年達はその教えを忠実に守ったに過ぎない。


 このようにして、青年達は【ウォードッグ】の先遣隊を追いつめていった。

 そして、開戦から一時間が経過した頃。

 クラン【ウォードッグ】の先遣隊は、彼らの手によって半壊していた。



  ◆



 六人の青年達が、先遣隊の指揮官へと銃口を向けている。

 彼らの殺気と銃口を向けながらも、指揮官は不適な顔で笑っていた。


「クソ餓鬼共……何があったのかは知らねえが、随分と強くなったじゃねえか」

「………………」

「だんまりか……まあいい。確かにこの場はお前達の勝ちだろうよ。だがこうなった以上、クラン【ウォードッグ】は本腰を入れて、お前らを潰しにかかるぜ。既に本隊には連絡済みだ。もう、すぐにでも援軍が駆けつけるだろうよ」


 その言葉を受けても、青年達は顔色一つ変えずに敵に銃口を向けつつ、油断なく警戒を続けていた。

 一体どうやったら、あの雑魚共がここまで変わるのか。興味を持つ指揮官だったが、彼は続けて言葉を発する。


「言っておくが、本隊の方々は俺達とは格が違うぞ……何せ元々リアルでベテランの軍人や傭兵だった人達だ。特に幹部の方々には、E1戦争の激戦区を戦い抜いた猛者が何人もいらっしゃる。お前らのようなガキ共なんぞ、あの人達にかかれば一捻りだろうよ」


 他人の力を自慢げに語る小物めいた指揮官であったが、丁度良いタイミングで彼の持つ無線機が音を鳴らし、声が聞こえてくる。


「おっ……?言ってるそばから援軍の到着かなァ?」


 それを援軍到着の知らせと見たか、喜色満面で青年達を煽る指揮官。だが、無線機から聞こえてきた会話の内容は、彼の期待する物ではなかった。


『こちら本部……援軍に向かっていた本隊が……壊滅した……』


 ぼそぼそと、蚊の鳴くような声で報告がされる。そして無線の相手は、まるでうわ言のように、ぶつぶつと独り言を言う。


『なんで……どうしてヤツがこんな所に居るんだ……悪夢だ……』

「本隊が壊滅!?一体何があったのですか!?あ、相手はどこのクランですか!?」


 思わぬ報告に泡を食って叫ぶ指揮官。その問いに、無線の相手はこう答えた。


『……相手は、一人だ』

「ひと……り……?冗談はよして下さい!たった一人に本隊が壊滅させられたァ!?そんな事があり得る訳が無いでしょう!本当の事を……」

『冗談などではない!!』

「……ッ」


 問い詰める指揮官に、悲鳴のような声で反論する相手。


『ヤツだ……ヤツが来たんだ……あの時と全く変わらない姿で……!まるで亡霊のようだった……!』

「ヤツ!?ヤツとは一体誰なのですか!?」

『戦場の悪魔……黒い死神……!人喰い鴉(レイヴン)……!ああ、間違いない……!奴はレイヴンだ……間違いない……!恐ろしい……!神よ……!』


 その声を最後に、無線がぶつりと切れた。


「……どういう……ことだ……」


 まるで狐につままれたような顔で、指揮官は呆然と呟いた。

 その時、そんな指揮官と対峙する青年達の持つ無線機が、入れ替わるように鳴った。


『こちらレイヴンだ。パーティーを楽しんでいるかクソ共』

「「「「「「サー、イエッサー!!」」」」」」


 先程聞いた【レイヴン】という名前が、敵の無線から聞こえた事に、指揮官の体がビクッと震えた。


『余計な世話かと思ったが……ちょいと横槍が入りそうだったんでな。軽くどついて脅かしてやったぜ。つーわけで増援の心配は無ぇから、思う存分暴れてきな。それと一番多くブッ殺した奴には、後で俺から褒美をやろう。では、健闘を祈る』


 無線が切れる。

 その内容を聞き、理解できないと言わんばかりに口をあんぐりと開ける指揮官。

 そして、そんな彼とは逆に、青年達の戦意は天を衝かんばかりに上がりまくった。


「う……うおおおおおおお!軍曹殿が派手にブチかましてくれたぞおおおお!野郎共、俺達も続けえええええ!!」

「教官に恥ずかしい戦果を見せる訳にはいかねえぞ!進め!突撃!」

「おう、褒美は俺がいただくぜ!撃て撃てーい!」

「オラ、来いよウォードッグ!怖いのか!?銃なんか捨ててかかってこい!」


 咆哮を上げながら突撃し、壊乱する敵を一方的に掃討していく青年達。

 もはや純朴な青年の姿はそこには無く、この場に居るのは立派に成長した兵であった。

 それが良い事か悪い事かはさておいて、こうして戦いの決着はついた。


 また、この日をもって大手クラン【ウォードッグ】は壊滅。

 そして新たに発足したクラン【Raven's Children】が一躍、トップクランの一角に名乗り出るなどと、War Age Onlineの戦力図が大きく変わる事となったが、それはまた別のお話。


 こうして無事に仕事を終えたレイヴンこと不破恭志郎は、VRMMORPG「アルカディア」に復帰した。

 そしてその後、二度とWAOを起動する事はなかったという。



 【プレイヤーデータ】


 キャラクターネーム Raven


 通算Kill数 1000

 通算Dead数 0

 Kill/Dead 分母が0のため計算不可

 殿堂入り

ちなみにレイヴンは本隊にカチコミをかける際、FoWを発動して若い頃の姿になっていました。元軍人達のトラウマ発生装置。


FoWはアルカディアに限らず、VR空間内ならばどこでも発動可能です。効果はアルカディア内とは少々異なりますが、本質は同じ。

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