謎のおっさん、導く
VRMMO「アルカディア」の正式サービスが開始してから一週間ほどが経過した。今日も理想郷には多くのゲーマー達が集っている。
城塞都市ダナン。全てのプレイヤーにとっての出発点であり、現時点における活動拠点でもある、円形の城壁に囲まれた都市。そこを一人の男が歩いていた。
その男は、ろくに手入れされていない黒髪と無精ひげが特徴的な、見た目は三十代半ばほどの中年男性だ。
目つきは鋭く、口に煙草を咥えており、白いツナギを着たガラの悪い男である。
その男の頭上を注視すれば、そこには彼のキャラクターネームが表示されているのが見えるであろう。その名もズバリ、【謎のおっさん】である。
彼は今日、二人の少女達と待ち合わせをしていた。
彼女らの名前は、ナナとアーニャ。昨日、森でフィールドボスに襲われていた彼女達を、おっさんが助けたのは記憶に新しい。
そんな彼女達とお互いに自己紹介をして、街まで送り届けたのが昨日の夜のこと。
二人はおっさんに色々と聞きたい事があるようだったが、既に結構いい時間であった為に、その場はお互いにフレンド登録を行ない、別れた。次の日に待ち合わせる約束をして。
そして一夜明けた今日。そろそろ待ち合わせの時間である。
おっさんがフレンドリストを開くと、ナナとアーニャの二人に、β時代からの友人達の名前がズラリと並んでおり、全員揃ってログインしていた。
それを確認し、おっさんはウィンドウを閉じる。そして集合場所である広場へと、のんびりと歩いていった。
集合時間のきっちり五分前に、おっさんは集合場所へとたどり着いた。五分前行動は社会人の基本であり、疎かにしてはいけない。それはおっさんのようなアウトローとて同様だ。
すると、何やら言い争う声がおっさんの耳に届くではないか。おっさんが声の主を探してそちらを見ると、待ち合わせをしていた二人の少女、ナナとアーニャの姿があった。そして、二人の美少女を囲む男達の姿も。
見るにどうやら男達が、見目麗しい乙女である二人に絡んでいる様子である。アーニャは怯え、ナナは強気な表情を浮かべて男達を罵っている。
男達は、そんな二人をニヤニヤと下卑た笑いを浮かべながら囲んでいた。
「よう……先に来てたか。待たせちまったかい」
おっさんは彼らに近付くと、男達を無視して二人の少女に声をかけた。彼の姿と、何事も無いようなおっさんの態度に、少女達はほっとした表情を見せる。
逆に男達は、突然あらわれた闖入者へと振り向き、怒鳴りつける。
「あぁ!?なんだテメエは!?」
「今は俺達がこの子達と話してんだよォ!」
「あ?やんのかコラ?あぁ?」
振り向き、おっさんを恫喝する男達だったが、彼らはおっさんの凶悪な目と目が合うと、それまでの勢いとはうってかわって凍りついた。
「ゲェッ、あの時のおっさん!?」
「うげっ!」
「ヒェッ……」
男達はおっさんの事を知っており、またおっさんも、彼らに見覚えがあった。そう、サービス開始初日に、おっさんに軽くノされたモヒカンとその一味であった。
その時の恐怖を思い出したのか、一転して彼らは怯えだす。
「またてめえらかクソガキ共。何だ?今度は集団で女に絡んでんのかい。ったく、ダセェなオイ」
口に咥えた煙草を吸いながら、おっさんがヤレヤレ、と肩をすくめる。
「ううう、うるせえな!あんたには関係ねえだろ!」
「関係だぁ?その二人は俺の友達で、今日の待ち合わせ相手よ。関係大アリだぜ。つー訳で、この嬢ちゃん達に用があるなら代わりにこの俺が聞いてやろうじゃねえか」
咄嗟に反論するモヒカンだが、おっさんの言葉と視線に怯む。おっさんは、そんなモヒカンへと目をやった。
「つーかオメー……まーた随分とボロい装備してんな。最初に支給される初心者用装備よりも酷ぇんじゃねえか?」
モヒカンの装備は、低品質な店売り装備の中でも、特に安くて低品質の物だ。
おっさんは【眼力】スキルに属するアビリティの一つである【鑑定】の効果を使用し、そのアイテム情報を瞬時に読み取った。
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【錆びたカッパーアックス】
種別 斧
品質 ★×1(粗悪品)
素材 銅
耐久度 3/8
【装備効果】
攻撃力:切断+2 衝撃+7
【解説】
銅で作られた扱いやすい片手斧。
ただし刃は錆びており、状態は非常に悪い。
無いよりはマシという程度の出来である。
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これは酷い。
おっさんの使う武器とは雲泥の差なのは言うまでもなく、一般プレイヤー達が使う装備と比較しても、かなり見劣りする性能だろう。
「うるせえな!アンタに負けて装備盗られたせいだろうが!つーか俺の装備返せよ!」
涙目で訴えるモヒカン。
おっさんにデュエルで負けた結果、失ったブロンズアックス。
あれは彼がサービス開始初日に、初心者用の斧や最初に支給されたポーション等を売って、なけなしの財産を使って購入した物だったのだ。
それを失った事によって武器は無くなり、回復薬などの消耗品も無くなった。僅かに残ったお金と経験値も、おっさんとの決闘でのデスペナルティによって失った。
かろうじて最も安い、産廃同然の斧は買えたものの、最弱モンスターを狩るのがやっとの貧弱っぷりで、最早モヒカンは詰みかけていた。
そんな状況下に置かれて鬱屈し、苛立っていたところで、珍しい美少女の二人組を発見したモヒカン達は、自棄になって少々強引なナンパをしていた。
だが、そんな所にあの恐ろしいおっさんが再びあらわれたのだ。モヒカンが涙目になるのも仕方なかろう。
「あー……悪りぃな、あの斧ならとっくに売っ払っちまったわ。つーか、元々俺に喧嘩売ったおめぇの自業自得だろうが」
そして、事も無げにそう言い放つおっさん。
反論のしようが無い正論であり、その冷たい言葉にモヒカンの心が折れかける。
「うっうっ……どうして俺ばかりがこんな目に……うおおおおおおおん!」
地面に手をつき、orzの姿勢でモヒカンが咽び泣き、仲間達が彼の背中をポンポンと叩いて彼を慰める。
そんな彼らの様子を見て、ナナとアーニャは呆気に取られていた。
はぁ……と、おっさんは溜め息をひとつ吐いた。そしてガシガシと頭を掻いて、仕方ねぇな、と呟いた。
「ついでだ。お前らもついて来い」
「えっ?」
おっさんはモヒカンの腕を掴み、立ち上がらせる。そして有無を言わさず、彼を引きずって歩き出した。
ナナとアーニャ、そしてモヒカンの仲間達が慌てて後を付いていった。
◆
「ここが作業場だ。生産職人達は大抵ここで物を作っている」
おっさんがやってきたのは、生産スキルを行使するための設備がある作業場だ。既に何人もの職人達が思い思いに生産を行なっており、彼らは入ってきたおっさんを見つけると集まり、声をかけてきた。
「おっさんチーッス!」
「おっさんお疲れー」
「おーい皆ー、おっさんが来たぞー」
「おっさん今日は何作んの?」
そんな彼らに、おっさんはぶっきらぼうに「おう」と答え、振り返ってナナ達に言う。
「こいつらがさっき言った職人共だ。たまに調子に乗って妙なモン作り出したりするが、生産の邪魔さえしなけりゃ無害な連中だ。とりあえず挨拶しとけ」
「ナナでーす!今日はおっちゃんに武器作りに貰いに来ました!よろしくお願いします!」
「あ、アーニャ……です。ナナちゃんの付き添い……です。よろしくお願いします」
「……押忍」
ナナが元気よく、アーニャがおどおどとそれぞれ挨拶をして、その後ろでモヒカン達がバツの悪そうな表情を浮かべながら、軽く頭を下げた。
「かわいい!」
「美少女キタコレ!」
「おっさんが可愛い女の子を連れてきたぞ!」
「しかも二人も!」
「【悲報】おっさんが両手に華【事案】」
二人の少女の姿を見て、ノリの良い職人達が騒ぎ出した。おっさんは最後の一人にアルゼンチン・バックブリーカーをかけながら、彼らを追い払う。
「うるせえぞアホ共、さっさと散れ」
「背骨があああああ!ギブ!ギバーップ!すいません許して下さいなんでもしますから!」
おっさんは彼を作業場の隅に放り投げると、作業場の奥へと向かった。それにナナ達も追従する。
今日、おっさんはナナの為に新しい剣を作ってやる予定だった。
ちなみにフレンド登録した相手ではあっても、依頼された以上は多少割安ではあるが代金はしっかり受け取る。職人としては当然の事だ。
「まずは本来の目的、ナナの方から作ってやるとするか」
おっさんは、アイテムストレージから事前に準備していた素材を取り出し、それらを【鍛冶】スキルを使用して加工していった。
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【アイアンツインソード】
種別 双剣
品質 ★×6
素材 鉄
耐久度 15/15
製作者 謎のおっさん
【装備効果】
攻撃力:切断+16 刺突+12
AGI+8
【付与効果】
[風刃3]攻撃時、疾風属性の追加ダメージを与える。
[連撃2]装備中、コンボボーナスが上昇する。
【解説】
初心者向けの、扱いやすい鉄製の双剣。
良質の鉄を使い、丁寧に鍛えられた良品だ。
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まあまあの出来、といった所か。
初心者用に、扱いやすさを重視して基本に忠実に作成した。
双剣は軽く、小型の武器のため攻撃力自体は控えめだが、それは手数やスピードで補える。双剣使いには必須のAGIに+補正が付いており、コンボボーナス上昇効果の付いた、理想的な双剣が出来上がったと言えるだろう。
「よーし出来たぜ。こんなもんでどうだ」
「おっちゃんありがと!……って何これ!店売りのより凄く強いじゃん!」
「当ったりめーだバーロー!誰が作ったと思ってやがる!」
出来上がった双剣を受け取り、驚くナナ。
ちなみにNPCの店に並ぶ装備は、大半が銅や青銅製、良くて鉄製まで。品質もせいぜい、3や4が上限であり、中には品質1や2の粗悪品も混ざっている。
そのくせ値段はそれなりに高いため、良質な装備品を製造できる職人は、このゲームでは非常に重要な存在だった。
「これが3000ゴールドでいいの?」
「おう、正直儲けは少ねえが、元は取れてるし構わねえよ。おっさん昨日あのでっけえ熊倒して、がっぽり稼いだからサービスしとくぜ」
そう笑って言い、太っ腹なところを見せたおっさんは、次にモヒカン達のほうを向いた
「じゃあ次はお前らか……おめーは両手斧だったな」
「えっ……?」
生産スキルに縁のなかったモヒカン達は、おっさんや他の生産者たちの作業を物珍しそうに見ていたが、そう声をかけられて一様に驚く。
「って、俺達にも……作ってくれんのか……?」
モヒカンの質問に、「おう」と頷き、彼等に背を向けて作業を始めるおっさん。
「何でだよ……アンタが俺達にそんな事してやる義理なんか、ねえだろ」
丁寧に鉄を叩きながら、おっさんは答える。
「まあ喧嘩売られたとは言え、俺もガキ相手にちぃっとばかし大人気なかったしなァ。それにおめーら、ろくな武器も無ぇと楽しめねえだろ?」
「楽しむ……?」
「おうよ。これは遊びなんだぜ?なら、楽しまなきゃダメだろうよ……っと、ほれ。出来たぜ」
そう言って笑いながら、おっさんは出来上がった武器を取り出す。
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【アイアンバトルアックス】
種別:斧
品質:★×7
素材:鉄
耐久度:20/20
製作者:謎のおっさん
【装備効果】
攻撃力:切断+35 衝撃+42
防御力:物理+5
STR +18 AGI -2 DEX -2
【付与効果】
[重撃2]攻撃時、敵の物理防御力を10%貫通する
[弾き返し1]武器防御・鍔迫り合い時に有利補正
[両手持ち1]両手で装備時、ダメージがより上昇する
【解説】
重厚な刃を備えた、鉄製の斧。
重く、取り回しが難しいためAGIとDEXが少し低下するが、
そのデメリットを補って余りある高い攻撃力を誇る。
片手で使えなくもないが、両手で扱う事を推奨する。
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「うおっ、こいつぁ良いのが出来たな……ほれ、使いな!」
おっさんから手渡された斧を見て、モヒカンと仲間達が目を見開く。間違いなく現時点でサーバー最強の斧である。
「ちょっ……おい、何だよこの性能!?」
「高品質な装備って、こんな色々と効果が付くのか!?しかもSTRが18も上がるぜ!」
「すげえ……生産スキルってこんなの作れんのかよ……」
すっかり出来上がった斧に夢中になって、ワイワイと騒ぐモヒカン達。その姿は無邪気な少年そのものであった。
「……で、他のお前らの使う武器は何だ?」
そこにかけられたおっさんの声に、驚くモヒカンの仲間達。
「あの……もしかして俺達の分も作って貰える……んですか?」
「おうよ。どうせついでだ。てめえらの武器、全員分面倒見てやらぁ」
おっさんの言葉に、彼らの目が輝いた。
「それでリーゼント、おめぇの武器は?」
「あっ、はい!両手槍っス!」
「アフロとチョンマゲ!お前らは!?」
「大剣だぜ!」
「ハンマーです!」
「どいつもこいつも両手武器?脳筋だらけか!じゃあ最後、そっちの頭悪そうな逆毛は何だ!?」
「サー!ライフル型の魔導銃でありますサー!」
「ほーう、良い選択じゃねえか!よし、良い物見せてやろう。昨日フィールドボスから入手した中級魔石だ。こいつでとびっきりのを作ってやる!」
「ちょっ、マジっすか!?マジあざっす!!」
「あっ、ずるいぞてめえばっかり!」
ギャーギャー騒ぎながら、おっさんは少年達のために、次々に武器を作っていった。それらはいずれも、現時点で作れる最高クラスの武器たちであった。
◆
「なぁオッサン……本当にいいのか?こんなのタダで貰っちまって……」
リーゼントが遠慮がちに訊ねる。
それに対しておっさんはヘラヘラと笑う。
「どうせてめえら、大して金なんか持ってねえだろ?くれてやるから有難く貰っときな。ま、タダで貰うのが嫌だってんなら、貸しにしといてやるからその内、何か素材になりそうなもん拾ったら持って来いよ」
「……わかった。今は甘えとくぜ」
モヒカンは頷き、そして少し迷ってから口を開く。
「なあオッサン……あんたさっき、ゲームを楽しめって言ったけどよ……それってつまり、PKとか喧嘩しねえで普通に遊べって事か?」
モヒカンは、先ほどのおっさんの言葉の真意を知りたかった。
おっさんはモヒカンの問いに対して、少し考えた後にこう答えた。
「いいや?別にいいじゃねえか、PK。そりゃあ勿論嫌う奴も居るがよ。システム的に許されてるし、やった側もそれなりのリスクを背負うワケだしな。やりたいってんなら好きにやりゃあ良いじゃねえの?それが楽しい、やりたい事なら、迷わずにやりゃあ良いさ。だが……」
おっさんはそこで言葉を止め、モヒカンに目を合わせて続ける。
「それで誰彼構わず、他人に迷惑ばっか掛けるのも良くねぇがな。それに第一、自分より弱ぇ奴だけ狙っていじめんのは、ちょっとダセェんじゃねえか?」
モヒカン達は、真剣な顔つきでおっさんの言葉を聞いていた。
「そうだな……PKやりたいってんならいっその事……トッププレイヤーとかのクッソ強い奴等でも狙ってみたらどうでい?実際、βテスターの上位陣にも凶悪なPKとか、そのPKを狙って殺すPKKも居るしな。そいつらと派手にドンパチやるのとか、弱い者イジメなんかより、よっぽど刺激的だと思うぜ?」
おっさんの言葉を聞きながら、楽しそうに目を輝かせるモヒカン達。
トッププレイヤーとして名を轟かせる猛者達に挑み、それを打ち倒す自分達を想像しているのだろうか。
「強い奴ねぇ……例えば、アンタとか?」
モヒカンがそう言って、おっさんを指差す。
ほう、俺かい?と少し驚き、おっさんはニヤリと楽しそうな笑みを浮かべた。
「ほーう、少しは面白ぇ事を言えるようになったじゃねえか。確かに俺ぁこのゲームの中で自分が一番強いと思ってるし、喧嘩してえならいつでも受けて立つぜ?……だがまあ、俺が恵んでやった武器に世話になってるようじゃあ、まだまだ俺の相手をするには早ぇんじゃねーかな?」
ニヤニヤ笑いながら、おっさんは挑発するようにそう言った。
それを受け、モヒカン達も一斉にニヤリと笑った。
「ハッ、上等だぜ!そのうち挑ませて貰うから覚悟してやがれ!おう、お前ら狩りに行くぞ!さっそく試し斬りと経験値稼ぎだ!」
「おうよ!またなオッサン!」
「武器サンキュー!遠慮無く使わせて貰うぜ!」
「強くなってアンタを倒すためにな!ありがとよ!」
「ヒャッハー!モンスターは消毒だァー!」
騒ぎながら作業場を出ていくモヒカン達。彼等は実に楽しそうだった。
それを見て、おっさんは満足そうにガハハと笑う。
ガラが悪いのも、馬鹿なのも、PKをするのも大いに結構。
これは遊びなのだ。ならば最大限やりたい事をやって楽しんで、ついでに周りの人間も楽しませる。
それでいい。それだけでいい。ただそれだけが大切な事だ。
失敗したり、馬鹿やって痛い目見たり、他人に迷惑をかけるのも良い。本気で遊べば、それもきっと後から思い返せば楽しかったと思えるだろう。
おっさんは、そんな事を考えながら呟いた。
「やれやれ、騒がしいクソガキ共だぜ、ったく」
そして、そんなおっさんを、ナナとアーニャが優しく見守っていた。
「やっぱり、実はいい人……?」
「おっちゃん、何気に結構ツンデレ……?」
◆
ちなみに、余談ではあるが。
後にこのゲームにギルドシステムが実装され、その際にモヒカン達は、とあるギルドを結成する。その名も、
【世威奇抹喪非漢頭】
である。
PKギルドでありながら、遂にトップギルドの一角へと名を連ねた彼らは、同じくトップクラスのプレイヤー達の首のみを狙い続けた。
逆に弱者や初心者、戦う力を持たない生産職人達に対しては、ガラは悪いがとても親切であり、また初心者や格下プレイヤーを執拗に狙うような悪質なPKに対しては、PKK以上に厳しかった。
他のプレイヤー達から見た彼らの評価は概ね、
「ガラは悪いけど初心者とか困ってる人には優しい」
「PKなのにゲーム攻略に凄く貢献してる憎めない奴ら」
「トップギルドとか最強のPKKとよく喧嘩してる。すげえ」
といった感じであったそうな。
~もうしばらく後のアルカディアにて~
「ヒャッハー!おっさん覚悟しなァ!今日こそ狩らせて貰うぜ!」
「ハッ、来やがったなクソガキ共!今日も返り討ちにしてやらあ!」
彼らは今日もこの世界を、本気で遊んでいる。
サブタイトル見て、おっさんが導く対象がナナとアーニャだと、思わせられたならしめた物。
どういう訳か、ちょっぴり良い話みたいになってしまいました。
少々無理矢理な展開ではあったかもしれませんが、こういう人情話もアリかな?と思ったり。
シリアス方向に行かないように、説教臭くなりすぎないようにと気を配ったつもりではありますが……どうでしたかね。
モヒカン達に関しては、当初ただの出オチ担当のやられ役の予定でした。
ですが1話を読み返した後、なんだか可愛く思えて来たのと、
「こいつらこの後どうするのかなー……」と思ってしまった結果、再度出演と相成りました。
彼らもまたアルカディアで遊ぶプレイヤーの一人ですので、彼らにもこのゲームで遊ぶ楽しみを見つけて欲しいと思い、それがきっかけでこの話が出来上がりました。
かと言って安易に改心して善人になるというのも違うだろう、と思ったのでこのような形に。
そんな訳で蛇足という名の後書きでした。長文失礼。
(2015/2/24 加筆修正)
(2017/3/22 加筆修正)