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謎のおっさんオンライン  作者: 焼月 豕
第二部 おっさん荒野を駆ける
26/140

6.謎のおっさん、指令を下す

 作業場に戻ったおっさんは、職人PC達と少し話をした後に生産活動を開始した。

 今回、おっさんが作ったのはアクセサリ類である。

 細工スキルの練習を兼ねて、おっさんは金属や宝石を使って指輪やネックレス、イヤリング等のアクセサリを作成した。


「麻痺防止か、有りだな」


 そのうちの一つが、「麻痺」の状態異常を防ぐ効果を得ていた。

 基本ソロのおっさんにとって、麻痺などの行動を阻害する状態異常は生死に関わる。そう簡単に状態異常攻撃などを食らうおっさんではないが、転ばぬ先のなんとやらだ。

 無骨なシルバーアクセサリで、新調した服との相性も良い。おっさんはそれを装備し、他のアクセサリ類はアイテムストレージに仕舞いこんだ。


 次におっさんが作ったのは携帯する道具類だ。こちらは弟子のユウにも手伝わせる。

 投擲用の投げナイフ。弾丸とマガジン、バレットケース。金属製の細いワイヤーの束と、それを束ねて作ったフック付きのワイヤーロープ。開錠用のピッキングツール。携帯調理道具。銃用の簡易修理・メンテナンスキット。対トラップ用の最終兵器たる十フィートの棒。おっさんは様々な道具を作っていった。


「こういった小道具は地味だが冒険の役に立つ。つまり需要が多い。生産に必要なコストもさほど多くねぇし、元々安いし消耗品だから値崩れも起こしにくい」

「ほほう」

「競争相手は多いが……こういった普段よく使う物こそ、他の連中より良い物を作れればそれだけよく売れるし、固定客も見込める。大量に作ればスキルの練習にもなるし、武器と違って大量に作っても売れ残る心配はさほど無い」

「なるほど……つまり練習にはうってつけって訳ですね」


 おっさんが説明して、ユウがメモを取りながら相槌を打つ。

 ユウがおっさんに弟子入りしてから数日。まだ未熟ながら、彼女はおっさんや他の職人達の技を見ながら学習を続けていた。


「というわけで、お前に指令を下す」


 そう言って、おっさんは指でウィンドウを操作する。そしてクエストを発行した。


 【クエスト】とは、街の住人からの依頼でモンスターを討伐したり、特定のアイテムを集めて納品する等の指定された行動を取り、課せられた課題を達成することで報酬を受け取るという、RPGでは定番のシステムである。

 このゲーム、アルカディアではプレイヤーも自らクエストを作成し、他のプレイヤーに依頼をする事が可能だ。特定の個人に対して依頼をする事も可能だし、酒場のNPCを通して依頼を出し、誰かが受注・達成するのを待つ事もできる。

 今回おっさんが行ったのは前者で、ユウ個人に対して依頼を出した。


――――――――――――――――――――――――――――――

 【ミッション1:道具の作成】


 学習の成果を確認する為に指令を下す。

 各種生産スキルを使用して生産を行なう事。

 なお、クエスト達成条件の対象は【道具】カテゴリのアイテムのみ。


 依頼内容

 【鍛冶】スキルを使用して道具を作成せよ

 【木工】スキルを使用して道具を作成せよ

 【魔法工学】スキルを使用して道具を作成せよ

 品質★×6以上の道具を作成せよ


 報酬 経験値2000、5000G、各種生産素材

 期限 一週間以内

 依頼主 謎のおっさん

――――――――――――――――――――――――――――――

 【ミッション2:道具の販売】


 作成した道具カテゴリのアイテムを販売せよ。

 達成条件の対象となるのは自分で作成したアイテムのみ。

 このクエストはミッション1達成後でなければ遂行不可能。


 依頼内容

 自分で作成した道具カテゴリのアイテムを他のPCに販売せよ。

 また、道具の販売で合計10000G以上稼ぐこと。


 報酬 経験値3000、5000G、各種生産用道具

 期限 一週間以内

 依頼主 謎のおっさん

―――――――――――――――――――――――――――――― 


 ちなみに、当然ながら支払われる報酬は依頼主が負担する必要がある。


「最初はちとキツく感じるかもしれねぇが、一週間もありゃ出来んだろ。それなりの報酬は準備したからやってみな」


 人を育てるのに、優しく教えるだけでは不十分だ。時には厳しい試練を課す事で鍛える必要もあるのだ。


「わかりました!頑張ります!」


 ユウは頷いて、元気よく答えた。

 おっさんは薄く笑うと、彼女に背中を向けて歩き出した。


「頑張りな。じゃあ俺は出かけてくるぜ」

「またですか。今度はどちらに?」


 おっさんは顔だけ振り向くと、弟子に向かってニヤリと笑った。


「ちょっとデートの約束があってな。しかも相手は二人で両手に花と来たもんだ」


「弟子に難題押し付けてそれですか。最悪ですね」

「なんだと……相手は誰だ」

「二人組って言ってたしナナちゃんとアーニャちゃんじゃねぇの?」

「忍者の子だけでも羨ましいというのに……」

「おっさんこの間、バイクの後ろに巫女さん乗せてたぞ」

「なぜ同じ中年男なのに奴だけがモテるんだ……」

「クソが、爆発しろ!」


 ユウや他の職人達のブーイングを背に受け、予想通りの反応にゲラゲラ笑いながらおっさんは作業場を出るのだった。

 余談だが待ち合わせの相手は彼らの予想通り、先ほど変態裁縫師の魔の手から救い出したナナとアーニャのコンビな訳だが、単に一緒に狩りをする約束をしただけである。

今週入ってからクソ忙しくて更新が滞っており、今回も短めで申し訳ない。


ただ今日は早めに仕事が終わったからなんとか執筆時間が取れました。

なんたって日付が変わる前に帰れたからね!やったね!マジでファッキンだね!

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