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謎のおっさんオンライン  作者: 焼月 豕
第三部 おっさん戦場に舞う
122/140

27.謎のおっさん、クエストを受ける(2)

「……おっかしいなぁ?」


 おっさんは首を傾げ、疑問を口にした。

 おっさんは十数件の生産クエストを受注し、その全てを完璧にこなしてみせた。その仕事ぶりたるや、クエストを発行したプレイヤー達が一人残らず、完成した品を見て悲鳴を上げたほどだ。

 だが、だと言うのにおっさんの所持金は大して増えていなかった。具体的には七万と少しだった所持金が、十五万ゴールド程度まで増えた程度である。解せぬ。


「クエスト終わらせたのに大して金が増えてねえぞ」

「そら(あれだけ派手に素材使えば)そう(赤字にならないだけで御の字)よ」

「残念だが当然。生産テロリストらしい最後と言える」


 おっさんのぼやきに、ギルドメンバー達から冷たいツッコミが入った。おっさんはそんな彼らに向かって、ギルドチャットで話しかける。


「仕方ねぇな。誰か仕事こっちに回せよ」

「お断りだって言ってんだろハゲ!」

「ハゲてねえっつってんだろカス。てめえの工房に大魔弾ブチ込むぞ」


 あと二ヶ月ほどで四十歳の誕生日を迎え、生え際が微妙に気になり始めているおっさんが部屋の窓を開け、怒りと共に右腕の義手から大魔弾【ミョルニル】を発射した。落雷で城の一角が爆発し、煙が上がる。


「ちょっ、マジで撃ってきやがったああああああ!」

「南無」

「一応断ってから撃っただけ(おっさんにしては)有情」


 着弾を確認し、満足そうにおっさんはピシャリと窓を閉めた。だがその直後、おっさんにメールが届く。


――――――――――――――――――――――――――――――

 【修繕費の徴収】


 ギルドマスターより連絡。

 おっさんが破壊した設備の修繕費および罰金を徴収します。

 本日中にギルド金庫に200万ゴールドを振り込んで下さい。


 クックより

――――――――――――――――――――――――――――――


 おっさんはメールを閉じた後にアイテムストレージを開き、所持金の欄を確認した。そこに記されていた内容は以下の通り。


 所持金:152,550ゴールド


 どう考えても大幅に不足している。


「しゃーねえ。ちょっと真面目に金稼いでくるわ」


 おっさんはギルドメンバー達に言い残すと、【転移の羽】を使用して城塞都市ダナンへと転移し、酒場へと足を向けた。


「邪魔するぜ」


 バンッ!と派手な音を立てて扉を開くと、酒場内に居たプレイヤー達が一斉に入ってきた者へと顔を向けた。

 彼らはいきなりデカい音をたてて入ってきた闖入者を睨みつけようとして、その正体がおっさんであった事を認めるとギョッと驚き、一斉に目を逸らした。

 おっさんはクエストボード(依頼書が貼り付けられている掲示板の事だ)の前に立つと、クエストボードを丸ごと壁から引っ剥がし、全ての依頼書を持ち去った。

 しかる後に再び【転移の羽】を使用し、ギルドキャッスルの自室へと戻るのであった。


 そんな一幕があった少し後、酒場へとやってきたフリーの職人プレイヤーが、何もない壁を見て首を傾げた。


「……あれ?おかしいな、ここにあったクエストボード何処行った?」


 酒場のプレイヤー達は皆、目を逸らして知らんぷりを決め込んだ。



 その日、魔導バイクで大陸中を走り回りながら、通り魔のように次々とモンスターを薙ぎ倒すおっさんの姿が各所で目撃された事が伝わっている。

 数あるおっさんの伝説の一つ、後に言う【おっさんの大陸横断ソロ狩りタイムアタック】である。

 大陸中をバイクで高速移動しながら銃弾を乱射し、万を超えるモンスターと十数匹のフィールドボスを殺し尽くしたおっさんが、なぜ突然そのような行為に出たかは、いまだ謎に包まれたままである。

天丼ネタって使いやすいように見えて意外と難しいと思った(小並感)

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