シリアス(笑)な展開に飽きて、ついカッとなって書いた番外編(前編)
大陸西部エリア。そこは果てしなく広がる不毛の荒野。
およそ半年ほど前に、冒険者たちの手によってこの地の封印が解かれた後は、徐々にではあるが緑が戻ってきてはいるし、この地を本拠地とするギルド【C】の緑化政策もあって、ゆっくりとだが豊かな自然を取り戻しつつあった。
とは言っても永きにわたって荒野であった大地が、元の姿に戻るには時間がかかる。今はまだ、大陸西部は荒れ果てた大地が広がり、凶悪な魔物が徘徊する危険な場所であった。
そんな荒野を一人進む者あり。その人物はプレイヤーではなくNPCであり、年老いた男性であった。
老人の名はスミス。イグニスの街の郊外に居を構え、田畑を耕して日々の糧を得る農民である。
そんな彼が一体、何故このような危険な場所へ?その答えは彼が手にしている、とあるアイテムにあった。
小さな袋状のそれを大事そうに持って、スミス老人は街への帰路を辿る。
しかし、そんな彼へと迫る魔の手があった。それは荒野を彷徨う凶悪なモンスターか?いいや違う!その正体は人間である!
「ヒャッハー!」
「ヒャッハー!」
「ヒャッハアアアアアアア!」
奇声を上げながらバイクやジープを乗り回す、肩当てや刺々しい装飾のついた革ジャンを着た、ガラの悪い男達の姿がそこにあった。彼らは器用にバイクを操って、スミスの手前でドリフト停車する。
瞬く間に世紀末ファッションに身を包んだ悪漢達に囲まれたスミス老人、絶体絶命の危機である。
「な、なんじゃ、おぬし達は!?」
驚き怯えながら誰何するスミスに、彼らのリーダーは答えた。
「俺達は……ギルド【世威奇抹喪非漢頭】!!」
「なっ……世威奇抹喪非漢頭だと!?」
そう、その者の正体は巨大なバトルアックスを肩に担いだ、重力に逆らうようにそそり立つモヒカンヘッドの男……彼らのギルドマスター「モヒカン皇帝」その人であった!
「そ、それでその世威奇抹喪非漢頭とやらが、わしに何の用じゃ!?」
「ふっ……知れた事!」
スミスの問いに、ズバリと答えるモヒカン。彼はスミスを……否、正確には彼が大事に抱える小袋を指差して、こう叫ぶのであった。
「じじい!その種モミをこっちによこせぇーッ!!」
本編の筆のノリが今一つなので。
こういうのならあっさり書けるのになぁ。




