オリハルコンと月明かり
薄暗いスラムで育った僕には君が聡明すぎて
信用したことなんてない僕には君が信用出来なくて
汚い金しか触れたことのない僕には君からの情を金と天秤にかけることしか出来なくて
君を知らない僕は君を知りすぎていて
真っ暗な夜道に濃いピンクの眼が光る。
真っ暗な夜道に長い群青の髪がなびく。
手のひらにあるオリハルコンの冷たさ。
雲から月が姿を見せ、目の前にいる友達を照らす。
冷めた黄色と水色の眼は僕を捕らえて放さなかった。
獲物を狩るドラゴンの眼だ。
「キアン」
僕じゃない、それは、その名は僕のじゃない。呼ばないでくれクーガー。お願いだ。許してくれ。
涙が溢れた。
「自分を滅ぼし、君を亡ぼしたのは僕自身なんだ」
「そうか」
立ちすくむ僕から君は冷たいような鋭い目線を外そうとしない。
君は呟いた。
「心臓を返してやってくれないか」
無理だ。もう遅い。オリハルコンは月光を反射し光っている。このオリハルコンがあの少女の物だと知っていながら僕は手から離そうとしない。
「キアン…お前は本当にーー」
「友達じゃないんだな」




