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HEAVY TRIGGGER  作者: salfare
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SHOT3: GAUNTLET

SHOT3: GAUNTLET


「まず貴様らにこれを渡しておこう」

火雲は改めて生徒全員を集めると右腕の袖をまくった。その腕には機械で出来たガントレットが装備されていた。右ひじから始まり、五本の指の半分くらいまでが黒い布のような物で覆われている。前腕の部分には光沢のある黒の機械がはめられてあり、その中央あたりに小さなモニタが設置されていて、淡く緑色に発光している。

「これはサモナーガントレットだ。まぁ、ガントレットでいい。貴様らが全員持っているサモナーをいったんMBQ状に分解し、ガントレットの形で再構成した物だ。従来と異なり、音声入力によるNAWMなどの召喚・格納が可能だ。その上、強度も増している。大幅にな。例えば、」

火雲はそこで一度言葉を切って、ガントレットを胸の前で構え、右手を軽く握り、

「フラッシュダガー、サモン!」

『SUMON: FLASH DAGER』

火雲の声にガントレットが答えると同時ガントレットの機械部から量子状態のMBQが吹き出した。緑色の光を放つ大量の量子は火雲の手の平に集中し、ものの0.5秒程度でダガーナイフを形作った。「おー」と低い歓声を聞いてにやりと笑うと、火雲はそのナイフを左手の方向に向かって軽く投げ、左の手のひらで一回転させるとそのままクナイ持ちにし、それをガントレットに突き立てた。ガキーン、という金属音が響く。そこでトオルは目を丸くした。ガントレットには傷一つついていない。一瞬火雲が力を抜いたのかと思ったが、ダガーの先端が量子状態に粉砕されているのを見てその考えは改めた。

「まぁ、見ての通りだ。ガントレットの利点は、指を使わずにサモナーの操作が出来ること、召喚にかかる時間が短いこと、そして強度が高いことだ。これからこれは一人に一つずつ配布する。と言ってもさっき言った通りこれの基盤は貴様ら自身のサモナーだ。現在この学校内のみの低範囲無線ネットワーク上でこのデータを配布しているから、早く受け取れ。受け取ったら展開させてみろ。ちなみに言っておくが、ガントレットの形状や色は元のサモナーによって変化する。個性が無いと詰まらないからな」

この人意外とかわいいこというな、と思いつつトオルはサモナーを学校のネットワークに接続し、ガントレットのデータを受け取った。

「これか」

待ち受け画面に追加された『ガントレット』と書かれたアイコンにタッチすると、画面が変化し、『VOICE ATTESTATION』と表示された。

「先生、これは」

「あぁ、貴様がいいやすいように言ってやれ。そっちが勝手に覚える」

「いいやすいように、か・・・」

トオルは少し考えてから、○○を相手に向けるように腕を構え、

「ガントレット、セットアップ!」

「ATTESTATION COMPLETE! GAUNTLET SET-UP!」

呼応したサモナーは一瞬にして量子に変貌し、トオルの腕を包む。そして光の霧が晴れるとその腕には赤いガントレットが装備されていた。V字を複数重ねたような、空力性能の良さそうなデザインをしていた。

「こ、これが、俺のガントレット!」

すぐにあちこちでも歓声が上がった。色や形状など、それぞれに個性豊かなガントレットを眺め、「すげー」「お前のもかっけーな」などと言い合っている。

「そいつは霧ヶ丘では生徒証としての役割もある。貴様らが校内に居る間は常に装備していろ。逆に校外では許可が無い限り装備するな。それの技術は霧ヶ丘の技術部が総力を挙げて作った特殊機構だ。外部に情報が漏洩することは許されん」

「技術部、ですか?」

聞き覚えの無い単語にいち早く反応したのはアランだった。

「あぁ、そうだ。この霧ヶ丘高校は、先ほども言った通り対テロ組織のための人材育成機関だ。だが無論、戦闘だけではテロには対抗できん。だから霧ヶ丘には複数の特科が存在するのだ」

「特科・・・」

「そうですよ〜、島崎ちゃん。一般の高校でいう学科みたいな物ですよ〜」

「学科ねー」

「霧ヶ丘の特科は大きく二種類にわかれる。機械に関する事柄を扱うバックアップチームの技術科と実際にNAWMを扱って戦闘を行う実戦科だ。これらはさらに細かく分けられ、技術科の中では情報の収集を行う捜査科(サーチ)、NAWMの開発やメンテナンスを行う整備科(メカニック)、実戦科のサポートを行う支援科(ナビ)、実戦科の中では、実際に突入しての近接戦闘を行う突撃科(アサルト)、遠距離からの攻撃を主体とした狙撃科(スナイプ)、前衛と後衛を行き来しながら臨機応変に対応する中継科(センター)、回復などの後方支援を行う補給科(ヒール)、以上七つだ。今日集まってもらった貴様らは実戦科の男子候補生、どの科に所属するかは今日のデュエルを見て検討させてもらう」


なるほど、とトオルは思う。いくら国家クラスのテロ対策組織のための人材育成施設とはいえ、こんな十数人を収容するためだけに国が資金提供をする必要などない。ここはもっとずっと大規模な組織だったのだ。いま、そのことを痛感した。

「準備は良いか?」

火雲の声にトオルは我に返った。そうだ、今はそんなことを考えていてもしょうがない。いまは、

「よっしゃー!デュエルだ!」


次回、ついにデュエル開始!

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