最終話 偽りの恋、本当の恋
「キスからはじまる偽りの恋」は、今回を持ちまして最終話となります。
最終話は、戦いの中で好きな人を想う、それぞれの心の中の葛藤を描きました。
それでは、最終話の始まりです。
優斗は、なみ、リオン、ゆうを引き連れ、【彼ら】(恋に破れ、悲しみや憎しみを持つ人々)の集まりそうな、人気の無い場所へ向かった。
【彼ら】を見つけるには、生気のない顔付きの人を見つける事だった。
海岸に出る前の淀んだ川の一角に【彼ら】は、集結していた。
優斗は、それを発見した。
優斗は、なみ達に様子を見る様に話をした。
集結した集団は、徐々に増え続け、もう50人以上の人になっている。
その集団が100人を超えた頃、空に暗雲が立ち込める。
そして、稲妻が走り、重い空気が当たりを漂わせる。
空から竜巻が現れる。次の瞬間、集まった人々を稲妻と共に一気に呑み込んでしまう。
そして、暗雲の大きさが一回り大きくなる。
優斗「あの暗雲が更に大きくなり、空全体を覆った時、奴(実体化した怨念の塊)が出現する。」
優斗「奴は、もう1,000人は、喰らっただろう」
優斗「もう、奴は、生まれる」
なみ「どうすればいいの?」
優斗「もう、ここまで大きくなってしまうと手が付けれない」
優斗「悔しいがどうにもならない」
なみ「諦めないで!」
リオン「ロン(優斗)、翡翠(ひすい)の青き光。それとなみの持つネックレス」
リオン「その二つが重なり反応した時、爆発的に青き光が大きくなる。」
優斗「そんな事をしたら、なみの体が持たない」
なみ「私は、一人じゃない!優斗、大丈夫だよ」
なみ「青き光の持ち主は、私だけじゃない!」
なみ「リオンちゃんもいる」
なみ「ゆうだって、私の妹、同じ力を出せるはずだよ」
なみ「他の人に見えないリオンちゃんが見えるでしょ」
ゆう「私にお姉ちゃんと同じ力があるって思えない!」
なみ「じゃ、試してみようか」
なみ「優斗、手を繋いで!それからゆうも手を繋いで!、リオンちゃんは、私達の中心に居て欲しい」
三人は、手を繋ぎ、円を描く。その中心にリオンがいる。
なみ「私は、優斗が好き!」
優斗「俺は、なみが好き!」
ゆう「私は、お姉ちゃんが好き!」
リオン「私は、なみが好き!」
青き光が辺り一面に現れる。
なみ「思いよ!!届け!!」
ネックレスが眩しく光る。
なみが叫ぶと青き光が三人の真ん中に一気に集まる。
そして、リオン「空に舞え!!」
そう言うと、青き光は、一気に空にかけ上がる。
しかし、空に上がった瞬間に光は、消滅してしまった。
優斗「翡翠の青き光があれば、対抗出来るかもしれない」
優斗「翡翠の青き光の持ち主は、ゆうちゃんだよ」
ゆう「えっ!!私なの?」
リオン「私も感じた!!」
なみ「ゆう、好きな人のことをもっと、もっと思って!!」
もう一度…
その時、大きな地震が起こった。
優斗「みんな、俺に捕まれ!!」
三人共、優斗に捕まる。
暫くして地震は、収まった。
優斗「奴等が押し寄せてくる!!」
優斗「あの地震は、普通の地震と違う!!」
なみ「青き光を放った時、気付かれたみたい!」
空に暗雲が立ち込めてくる。
さっきとは、桁外れの暗雲だ。
暗雲は、空を覆い尽くす。
稲妻は、強く、激しく地上に落ちてくる。
強い魂の叫びと共に、何千の【彼ら】が襲い掛かってきた。
なみ「もう一度やるよ!」
なみ「私は、優斗が好き!」
優斗「俺は、なみが好き!」
ゆう「私は、お姉ちゃんが好き!」
リオン「私は、なみが好き!」
青き光は、【彼ら】を正気に戻す。
しかし、きりが無いほど【彼ら】が涌いて出て来る。
もう一度…。
なみ「ゆう!もう、嘘は、言わないで!!」
ゆう「嘘なんて言ってない。」
なみ「偽らないで!」
なみ「恋してる。ゆうは!!」
なみ「ゆうは、優斗が好きなんでしょ!」
ゆう「それは…」
なみ「ゆうが優斗の事が好きなら、好きで自分に正直になるの!!」
なみ「ゆうが優斗の事が好きでも私は、ゆうを恨んだりしない!」
なみ「もう一度やるよ!!」
なみ「私は、優斗が好き!」
優斗「俺は、なみが好き!」
ゆう「私は、私は、…」
ゆう「私は、優斗さんが好きっ!!」
ゆうの体から淡い光に包まれた翡翠の青き光がゆうの胸に現れた。
リオン「ゆうちゃん!凄い、凄ーい」
その時、凄まじい稲妻が四人を直撃する。
その時、ゆうの持つ翡翠の青き光が四人を包む。
なみ「最後だよ!!もうこれが最後!!」
四人は、お互いを見つめ合う。
なみ「私は、優斗が好き!」
優斗「俺は、なみも、ゆうも好き!」
ゆう「私は、優斗が好き!」
リオン「私は、なみが好き!」
青き光が三人の中に一気に集まる。
そして、ゆうの持つ翡翠の青き光に同調する。
リオン「行っけー!!」
リオン「天に舞え!!青き光よ!!」
優斗、なみ、ゆう、
「届け!!私たちの思い!!」
青き光は、天を貫き全ての世界を覆う。
人々は、その光を見つめる。
暗雲は、晴れていく。
リオン「やったね。なみ」
なみ「うん…」
優斗は、空を見上げる。悲しい目をしている。
優斗「すまない。俺は、なみの心の破片」
優斗「なみの心の中に戻らなくては、いけない」
優斗「俺が人間と同じ大きさになれたのは、なみの心と同化した結果だから…」
優斗「このままだと、なみ自身が消えてしまう」
ゆう「お姉ちゃん、知っていたの?」
なみ「うん…」
なみ「ゆうの気持ちも解ってた」
なみ「みんな、ごめんなさい。」
沈黙の時間が過ぎる。
ゆう「私は、嫌!」
ゆう「そんなの、絶対に嫌!」
ゆうが泣き出す。
ゆう「私は、優斗が好き!」
ゆう「お姉ちゃんに負けない位に好きなの!」
なみ「私達の恋は、偽りの恋なの?」
優斗「俺は、なみも、ゆうも好きだ!」
優斗「一人しか愛せないなんておかしい!」
なみ「だったら…、ゆう、こっちにおいで!!」
なみ「ゆう!もう一度だけ、手伝って!」
なみ「私の持つネックレスと、ゆうの持つ翡翠に願いを込めるの!」
なみ「優斗を連れてかないで!優斗を人のままで居させてって強く願うの!」
なみ「行っくよー」
なみ、ゆう「私は、優斗が好きっ!!」
優斗「俺は、なみも、ゆうも好き!」
青き光が三人の中に次々と流れ込む。
それをリオンが受け止める。一気に天に向かって放つ。
天を超え、神の世界まで飛んでいく。
なみ「もう、大丈夫!」
なみ「優斗も、私も!」
優斗「俺は、もう、消えなくて、大丈夫そうだ。」
優斗「お前達には、かなわない!!」
リオン「やったね!」
なみ「うん… でも、恋して幸せになる人も、恋に破れ悲しみに落ちる人もこれからも必ずある」
ゆう「私たちの強い絆と、愛する気持ちがあれば、きっと、みんな幸せになれる」
優斗「この気持ちをいつまでも忘れないようにすれば世界中の人が幸せになれる」
リオンが空を舞う。
幸せな世界を祈り…
想いを翼に載せて…
いつまでも、いつまでも…
完
今まで「キスからはじまる偽りの恋 ライトノベル」にお付き合い頂きありがとうございました。
「キスからはじまる偽りの恋 ライトノベルは、今回で終了になりますが、これからも、執筆活動は、続けていきます。」
もっと楽しく見て戴ける作品作りに取り組んでいきたいと思っています。
ありがとうございました。
作者 石田 ねこ