Scene1
引っ張るつもりはありません。
なるたけ簡潔に終わらせます。
それでは、お楽しみあれ。
キーンコーンカーンコーン・・・・
チャイムが鳴り、授業の終わりを告げる。
「あー終わった終わったっと」
欠伸を交えながら、どこにでもいる中学1年生・・・桜井一騎は声を上げた。
この少年は取り立てて特徴があるというわけではないが、茶髪のぼさぼさの髪とはいえルックスはそれなりに良かったし、勉強だってそれなりにはできる。そんな彼にも少々たしなみはあったりする。
それが写真撮影というものだった。別に盗撮に使うわけではない。もちろん本気でやってるわけでもない。
ただ、何かを撮影する。思い出を切り取るという行為が好きなのだ。だからちょくちょく小旅行と称してはその辺の近場の観光地に繰り出したりする。
そう言ったしょうもない行為に付き合ってくれるのはただ2人。
「おっす、お疲れだな一騎」
「今日は真面目に起きていたね?」
「ああ?俺でも真面目にするときはするっつーの」
一騎は悪態をつきながらも立ち上がって親友の声に反応する。
声の主は神前往人と赤石輝夜。往人は一見不良に見えなくもない荒い髪型だが実際はそんなことはない。むしろ若干変態っ気のあるキャラとして確立している。
もうひとりの少女、輝夜はツリ目にポニーテールという何とも活動的な少女であった。ちなみにこの二人恋人だったりする。ことの始まりは小さいころに一騎が往人の女嫌いを解消するために輝夜と仲良くすることを進めたのが始まりだったがいつの間にか恋人同士になっていた。
それでもこの友達同士の距離は変わることなく、こうして楽しく過ごしている。もっとも一騎が輝夜のことを何とも思っていないのがそもそものアレではある。
「で?今度はどこにいくんだ?」
「そうだな・・・」
一騎は考え込むように顔をしかめた。この周辺はあらかた行きつくしたし、かといってまたそこらを歩き回るわけにも行かないし。しばらくして一騎は考えたことを口にした。
「悪い。今のとこ何にも考えてないんだ。だから金曜までに何も思いつかなかったら久々に二人でどっか行ってきたらいいよ」
「はぁ?珍しいな、お前が何も考えていないなんてな」
往人は写真の事ばかりだと思っていたので若干驚いてしまった。思えばこの頃で結構な行き場を行きつくした感もある。それにこの時期は梅雨だし、おいそれといい被写体を見つけられないのだろう。そもそも、一騎は雨が近い日には出たがらない。
「そっかぁ。じゃあ、一騎のお言葉に甘えて久々にデートする?」
「そうだな。たまには二人っきりもいいな」
「まぁ嬉しそうにするのはいいがチンピラに絡まれるなよ?」
「冗談。俺らがやられるとでも?」
「まさか」
そう言って三人は笑いあう。
いつまでも続いていたこの輪。
これからも変わらず続くと思っていた。
だが、一騎は一人の少女と出会う。
その少女の出会いが、一騎の運命を悉く変えてしまうということは誰も知るよしがなかった。
これは、梅雨から夏にかけての小さな恋の物語。