6話
「ただいま」
まだ、お昼前。
俺の家族も、家にいた。
「あら。早いじゃない」
母が、新聞を片手に玄関にでてきた。
「今日は、始業式だけだから」
そう言って、俺は自分の部屋に駆け込む。
部屋な扉の鍵を閉めて、ベッドに飛び込む。
はぁ。なんか疲れ・・・
「おかえり」
おい!ここ、俺の部屋。
高二の姉貴が床に、本を積み上げて読んでいる。
「姉貴・・・ここ、俺の部屋なんだけど」
「え。別によくない」
駄目だって・・・。思春期の弟の部屋に勝手に入るなんて。
「大輝、そういえばクラス替えどうだったの?」
「ちぐと同じクラスだった」
「えっ!本当?千雲と同じなの?よかったね」
「別に」
なぜか俺の姉貴、佐山 里美はちぐと仲がいい。
メールとか、電話を俺の目の前で普通にする。
「本当は嬉しいんでしょ?照れちゃって。顔あかいぞ」
反射的に顔を手で触る。
姉貴、爆笑。
「素直でよろしい!」
こんな姉貴。こんな奴だけど、俺にとって、結構頼りになる姉貴だったりする。
「あのさ、クラス奴が、ちぐが小学生の時から変わったって言ってたんだけど。本当?」
姉貴が急に静かになった。
「千雲は、変わってなんかないよ。あんたと関わってない間にいろいろあったけど。千雲は変わってない。
千雲の事、変わったって言ってた子は千雲の面だけ見てたんだよ」
俺の姉貴。たまに、難しい事を言う。
「いろいろ?」
「それは、あんたが千雲に聞けば?ついでに、里美がよろしく言ってたって言っといてよ!」
「できたらな」
俺は、ぎゃあぎゃあ騒ぐ姉貴を無理矢理追い出した。