1話
田園中学の桜は満開・・・。
風がふくたびに、ピンク色の花びらが校庭に舞い降りる。
今日から中学三年生になる俺。
腰より少し下げた、制服のズボンや、二年生のときよりワイシャツのボタンを多く外していることや、通学鞄を片方だけ肩にかけたり。
一年生の時は、くだらないと言っていたけど
いざ、上学年になるとやってみたくなるものだ。
今年は、受験が控えていると言うけれど
いまいちまだ実感がわいてこない。
「さぁやまっ!!」
---------ドンッ
後ろから走ってきた勢いで背中を叩かれた反動で、大輝は前につんのめった。
「ゲホッ、ケホ、ケホッ
・・・。おい、中島ぁ。
殺す気かよ」
俺の背中を叩いた奴は、
中島 塔夜。出身小学校は違うものの、中学一年生、二年生と同じクラス。家も近いから仲がいい。
良い奴なんだけど、
見た目が軽い。軽すぎるだろう!!
ワイシャツの下から、なにやら銀色のチェーンが覗いているし、髪も染めてるだろう。焦げ茶色に染まっている。
それよりなにより、そのズボン!
「下げすぎだろ!」
「そうか?てか、佐山が上げすぎなんだよ」
「いやいや、一応腰パンしてます。これ以上下げるって。いや、脱げるだろ」
俺が言うなり爆笑する中島。
はあ・・・。こいつ、仮にも始業式があるっていうのに。
「脱げねぇよ!
てかさ、クラス替えどうなってるかな?またお前とだったりして!」
妙にニヤニヤしている中島。
怪しい。何か企んでやがるぞこいつ。
「中島。どうせ、女がどうのこうのだろ。妄想すんなよ、変態」
「もー酷いなぁ!佐山くん、変態だなんてさ!!」
「はいはい。図星じゃねぇかよ」
いったい何を期待しているのだろうか。
多分、中島の頭の中には
受験何ていう言葉は、微塵も入っていないのだろう。
「けどさ、佐山。彼女欲しくないのか?
お前、顔だって普通に良いし。興味無いわけ?」
「別に」
「相変わらずだねぇ。まっ!!今年もよろしく頼むぜ!」
「おう」
顔だって普通に良い、なんて。
お前の中の普通は何処だっつーの!!
大輝は、身長が182cmと高く水泳部のため日焼けしている。
一重で切れ長の目。
身長が高いのがコンプレックスだったりする。
ま、クラス替えは気になるけどなぁ。