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またまた猫又、以下潜り。  作者: ネコヌコニャンコ


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第五話

続きです。



 足元に散らばったお米をなるべく踏まないようにしつつ、彩奈のいるところへとかけよる。


「彩奈!大丈夫!?こいつになんか変なのかけられたりしてない!?」


「ダイジョブダイジョブ〜。靴にちょっとかかったくらいだから、洗えばなんとかなるよ〜。」


 ……確かに米のとぎ汁なら洗うだけで良いか。


 というか、こいつどうしようか……。依頼終わった後について聞いてなかったな。


 すると、アプリ内の通知に一件のメッセージが。


 開くと、何やら長文が書いてあった。要約するとこうだ。


『依頼の達成、確認いたしました。依頼の対象については放置で構いません。報酬は後日、口座への直接振り込みとなります。』


 まぁつまり、後片付けはこのアプリの管理者か、その関係する組織がやってるってことだよね?


 え、でもおじいちゃんは報告は済ませたとか言ってたし……


 しかも、多分アプリを通してか、もしくはそのほかのものを通してなのか分からないけど、ほぼリアルタイムでこの通知が来たということは、監視されてる状態ってことだよね?


 え………自分で言っててめっちゃ怖かったんだけど。流石に普段の生活も監視されてるとかないよね?


 依頼引き受けてから監視されるとかならまだ許せるけど。でもそれなら倒したのは私じゃなくて彩奈だから、私が達成したことになるのはおかしいし……どういうこと?ホントにどういう原理?


 辺りを見渡しても、もちろん監視しているような装置が、街中の監視カメラぐらいしかない。


 監視カメラ通したとしても、依頼を引き受ける人がもっといる以上、この様子を見ているというのは現実的ではないね。


 ……もう、考えないことにした。考えたところで誰かが答え合わせしてくれるわけでもないしね。


 それよりも確認しなきゃいけないこともあるし。


「彩奈、さっきいきなりこいつの後ろに出てきてたけど、あれどうやったの?」


「うん?簡単だよ〜。海莉ちゃんに注目してる時にこっそりとね。」


 ……それにしても私も気づかなかったんだけど。


「あんな一瞬で気づかれずには無理でしかないでしょ?」


「まぁ普通ならね〜。安心してよ、間違っても海莉ちゃんにそんなことはしないからさ。」


 タネを明かす気はないらしい。それは別に良いんだけど。


 今度、色々と妖怪について調べないとねぇ…。伝承通りの力を引き継いでるわけではないってことらしいけど、相手の使う力の基を辿ることができれば、何か手掛かりは掴めるはずだし。


 さっきの奴も、米を研いでたけど、何かを研ぐ妖怪といえば真っ先に小豆とぎが思い浮かぶ。


 詳しいことはわからないけど、多分そこの家系なんじゃないかな。


 詳しいことは調べないとわからないんだけど。


「海莉ちゃん〜行こっ?寄りたい店があるんだよね〜。」


 そう言って、彩奈は私の手を掴んで引っ張る。


 私もそれに引っ張られるまま着いて行くのだっ……


「ご主人様〜!ちょっとお待ちください〜!」


 どこからか、昨日からほぼずっと聞く声が。


 声の方向に目を向けると、駆け寄ってくる雪愛の姿が。猫耳と尻尾が出ている。周りの何人かがカメラを構えていたが、もうこの際気にしない。


 誤魔化す以前に天然物なんて考えないだろうし。


 そして、周囲の人の視線は私に集まる。当然だ。猫耳生やした中学生くらいの子がご主人様などと呼んでいたからだ。


 雪愛は私のお腹目掛けてタックルかました。


 しかし意外なことに、何をするわけでもなく勝手に雪愛が弾かれたように吹っ飛んだ。


 どういうこと…?


 振り向くと、私の背後にグレーから茶色の耳と尻尾に色が変化する彩奈の姿が。


 ええと、さっきと逆?振り向いた時に安全な色に変わった?つまり…どういうこと?


 わからないけど、とりあえず状況的に彩奈がやったことは確かで、雪愛が吹っ飛んだせいで私が突き飛ばしたみたいになってて、周りから白い目を向けられつつある。


 ……どうすればいいのこの状況。どう動いても悪い方向にしか転ばない気がする。


「んもぉ!猫ちゃん!いきなり海莉ちゃんに突っ込んできたら危ないでしょ!あのままだと海莉ちゃん、後ろに倒れて頭打ってたよ!?」


 ズカズカと雪愛の方へと歩いていって、説教を始める彩奈。


 雪愛は雪愛で、吹っ飛ばされて打ったお尻をさすっており、彩奈へと首を傾げながら視線を向けている。


「うぅ…あたし、何も悪いことしてないよぉ?ご主人様なら受け止めれるってわかってたし〜。」


「誰だっていきなり来られたら危ないの!しかもあんな全速力で。」


「別に…全速力じゃ……」


「関係ない!危ないからは次からはしないでね!」


「……わかったぁ〜。」


 しゅんとした様子で、耳もろとも項垂れる雪愛。おそらく、突き飛ばしたのは彩奈なのだが、そもそも2人とも突き飛ばす云々は気にしていない様子。何故。


 ギャラリーも散り散りになったので、若干の緊張状態が解けた。


 私も、2人の元へと駆け寄り、雪愛に傷がないかを確認する。幸い、怪我した様子は一切ない。


「あ、ご主人様〜。心配で来てくれたんですかぁ〜?ありがとうございます〜。それと、さっきはごめんなさい〜。」


 雪愛が頭を下げるので、特に何もしてない上に、何も被害のない私は慌てて顔を上げさせる。


「大丈夫だから!むしろ突き飛ばされた雪愛の方こそ大丈夫!?」


「大丈夫ですよ〜。あたしはそんなにやわじゃないですしぃ〜。」


 そう言って雪愛は笑って見せる。たしかに、普通に元気そう。


「………ご主人様って。」


 ふと、そんな声が聞こえ、ちょっと嫌な予感がする。


 見ると、グレーになりかけてる耳と尻尾をした彩奈がいた。


「あ、えぇと……この子はほら、そう言って慕ってくれてるだけ…だよ。別に何かをさせたとか、そんなわけじゃないし…。」


 若干目が怖くなってる彩奈に、言葉が詰まるも、なんとか言えた。


「えぇぇ…!ご主人様ぁ、昨日気持ちいいことして、背中も流しっこしたじゃないですかぁ〜。」


 少し残念そうに雪愛が言う。それを聞いて完全に色が染まる彩奈。


 彩奈がにっこりと笑った。


 雪愛ァァァァ!!余計…ってか、言い方を考えてよぉぉ!!というか空気読めぇぇ!!


「あ、いやだから…そのぉ、今のには…語弊があってね…?ちょっと?話聞いてる?」


「思い出したら、またぁ……!あぁ〜♪ご主人様〜、昨日の気持ちいいのまたやってくださいぃ〜。」


 そう言って、雪愛が私に文字通りすり寄る。こいつ、マイペースすぎんだろ。


 というかそこは重要じゃないどころか……


「海莉ちゃん?海莉ちゃんはボクだけのご主人になるんだよね?なのになんで…なんで……こんな……小さい子に手を出してまで…。ボクじゃ満足できないってことなの!?」


 だから、語弊…というか、相変わらずこうなった彩奈はめんどくさい。


「ふっふ〜ん♪ご主人様はぁ〜あたしのご主人様なので〜、君の居場所はどこにもありまっせ〜ん♪」


 勝ち誇ったかのような顔で彩奈を煽る雪愛。あのぉ…あんまり言いたくないんですけど、阿呆なんですか雪愛は。


 ……言動的には語弊はないかも。


「うん?ポッと出の子猫ちゃんに奪えるような愛じゃないよ、海莉ちゃんとの関係は。」


「へぇ〜、でもぉあたしは昨日、ご主人様と一緒に寝たしぃ〜。」


「き、昨日!?ボクでさえ最後に一緒に寝たのは小学生の時なのに!」


「ふっふ〜ん、最新の一夜を過ごしたのはあたし〜!

つまり、優先度的にはあたしの方が上なのだ〜!」


「ずっと仲良かったのに…やっぱり、海莉ちゃんはもう、ボクじゃ満足できなく……グスンッ…」


「あたしの勝ち〜♪」


 彩奈は泣き崩れ、膝を抱え、勝ち誇った顔でゆる〜くVサインを作って、彩奈の眼前で振る雪愛。


 側から見れば、私はこの2人と寝て、浮気かました最低な奴にしか見えないだろう。


 実際は、彩奈と寝たのは普通にお泊まり的な感じで、雪愛はシンプルに侵入されただけなのだが、何故こんな言い方をされなければいけないの…。


 あ、でも彩奈の毛の色が元に戻ってる。なるほど、怒りの感情か、さっきみたいになんかの能力を使う時だけグレーから色が戻るのか。ずっと興奮状態だからかと思ってた。


「グスンッ……海莉ちゃん、見捨てないで…?」


 捨てられそうな子犬のような表情で言われ、私は罪悪感を覚える。別に私のせいではないんだけどさ。


「はいはい、見捨てないから。こんな道端で泣いてないで、早く行こ?」


 つい、犬を撫でるように、彩奈の頭を撫でてしまったが、彩奈の顔が笑顔花咲いたので、とりあえずこの場は収まっ……


「えぇぇずるい〜!ご主人様ぁ〜!あたしのことも撫でて〜?」


 こちらはこちらで、構ってほしい子猫の表情をしてくるので、こちらもつい頭を撫でてしまう。


 ……。なんで私は道端でこの2人の頭を撫でているのだろうか。




 2人が満足するまで小十分ほど撫でていた。そして、そろそろ周りの人たちの視線がチクチク刺さる程度には気になってきた。


 このまま続けていても一生終わらないので、手を離そうと立ち上がると、2人の手が私の腕をガッと掴み、引き止める。


 先ほどからこの調子だ。どうやらもっとやって欲しい他に、一瞬でも相手より長く撫でてもらいたいそう。


 このままだと埒が開かないので、無理やりに2人の腕を引き剥がす。


 しかし、2人が剥がれないので、必然、2人が持ち上がることに。


 …っく、両手で2人持ち上げるのキツいんだけど。


 一瞬、雪愛が重くなったが、その瞬間に2人とも立ち上がって、ようやく手を離してくれたので、若干痛くなった腕を、水を払うように腕を振る。


 特に意味はない動きだが、なんとなく楽になった気がする。でも、肩が凝った感覚。


「はいはい、そろそろ人の目が痛いから離れようね〜。」


「はいぃ…。」


「…わかった…。」


 そして、ようやく2人は耳と尻尾をしまった。ご機嫌ではなくなったってことになるから、ちょっと申し訳ないけど。


 いやいや、なんで私が申し訳なくなってんの!2人のわがままに付き添った側だし……。もういいや。今目の前のことに集中しよう。


「ところで彩奈、行きたいところがあるって、どこに向かうつもりなの?」


「うん?ボクと海莉ちゃんのための首輪を買いにね〜。」


「じゃあ私のも〜!」


 雪愛が手を挙げる。


「えっ……えっ?」


「うそうそ。冗談。いつもこういうと信じるんだから。」


「いや、さっきまでマジに迫ってきてたこと考えなよ…?」


「なんだ〜嘘なんだぁ〜。」


 雪愛が少し肩を落とす。いや、こっちもこっちでマジになってるのが意味わからないんだけど。


「はぁ、で?ホントはどこに行くつもりなの?」


「腹ごしらえだよ。前から行きたかったハンバーグ屋さんがこの辺にあるんだって。食べ放題な上に中々本格的らしいからいってみようよ!」


 ハンバーグねぇ…。まぁ、正直今は無意識のうちに力出しちゃってお腹空いてるからちょうどいいかも。


 しかも、全員めちゃくちゃ食べるしなぁ……雪愛は昨日の見て通りだし、私と彩奈は力使ったからね。お腹が空いた。食べ放題はちょうどいいかも。


 値段を調べると、ランチとしてはやや割高だったが、元を取る勢いで食べれば良さそう。


 雪愛の方を見ると、よだれを垂らしていたので、雪愛もこれでいいってことだろう。


 とりあえずマップを見ながら向かうことにした。


前回の続きです。個人的に、米のとぎ汁ばら撒き野郎はまあまぁキモくて気に入ってます

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