第二話
続き書きました。
「ただいま〜おじいちゃん、戻ったよ〜。」
「おうおかえり、飯できてるぞ。」
「やった、お腹空いてたんだよね。」
おじいちゃんの作るご飯はめっちゃ美味しい。もうすぐ夢だった料理屋さんを開くらしいけど、この味とジャンルの多さには……
「って、めちゃくちゃ量多いな!?」
テーブルにはびっしりと並べられた色とりどりの料理たち。このテーブル、大家族用くらいにはだいぶ大きめなんだけど。
「おじいちゃん、流石に作りすぎ。いくらなんでも食べきれないよ?」
「ハッハッハ!孫の初任務って聞いたら腕が鳴ってのぉ!いやはや作りすぎてしまったわい!」
豪快におじいちゃんは笑うけど、普通に笑えないくらいには量が多い。
パスタに寿司に唐揚げにハンバーグに……種類も豊富すぎるし、ビュッフェ形式の食べ放題かっての。
「笑い事じゃーなーい。余らせてどうするの。」
「そりゃ、お隣さんにでも渡せば良かろう?ほら、お主の親友の子じゃ。」
おじいちゃんは、私の友達にも世話を焼こうとする。でも、今は……
「……もう、毎日のように持って行ってたら迷惑でしょ。ほら、もうこの話はいいから早く食べよ。」
「そ、そうか…というか何かあったのか…?」
「なんでもない。ほら、今回の件、ちゃんと詳しく聞かせてもらうよ。」
「う、うむ、わかった。」
手洗いうがいをしに、洗面所へと向かうと、今更ながら、微かに私とおじいちゃん以外の気配を感じた。
しかし、周囲を見渡しても誰もいない。
なんとなくこの気配の正体は察せたが、姿も見えないし、多分今日の緊張状態がまだ続いてるだけだと思う。思いたい。
というか最悪。顔に切り傷できてる。
仕方なく、そのまま普通に手洗いうがいをして戻ると、そこには先に食卓につくおじいちゃんと、とんでもない勢いで料理を食べている、先ほどの猫又ちゃんがいた。人の姿で。
「………えっと、なんでいるの?」
その疑問の声は聞こえていないのか、変わらず料理にがっつく猫又ちゃん。
「どうやら、体を小さくして海莉についてきてたようじゃ。」
あ〜、そういう…たしかに途中から姿が見えなくなったけど、巻いたって思って安心しちゃってたな。
でもまあ、こんな美味しそうに料理を食べてるし、本来は悪い子じゃなさそう。付き纏いされたのは置いといて。
さて、私もご飯食べよ。まずは唐揚げから〜♪
食卓について箸を持って、いただきます。
唐揚げを取ろうと唐揚げの乗った皿を探すも、見当たらない。
「おじいちゃん、唐揚げさっきあったよね?どこにいったの?」
「ああ、それならこの子が全部食べてしまったぞ。ものすごい食べっぷりで作ったワシも気分がいいわい。」
おじいちゃんが笑顔で言う。いや、私が唐揚げ好きだってわかってるよね?なんで止めてくれなかった……
というより、なんでこの猫又は目の前にあるものから食べ尽くしてるの!
「猫又ちゃん、ちょっとストップ!私も食べたいからちょっと食べるペース落として!」
私がそう言うと、猫又の手が一瞬止まり、こちらを見る。
「はんへ?ほひひひほ?(なんで?美味しいよ?)」
そして食事再開。やっぱり話は聞いてくれないらしい。飼いはじめの子猫かよ。
仕方ない。こいつに食べきられる前に私も食べてやる。
料理を取れるだけ器に取ったのだった。
「うぅっぷ……ヤバい、限界もう無理吐きそう。」
全体の6割程度の皿が片付いたところで限界が来た。
対面に座る猫又は相変わらず食べ続けている。一体どんな胃袋してんのよ。
食べすぎてしんどい体を机に預け、突っ伏す。
はぁ、今日はもう疲れたな…体の傷はご飯を食べて治ったけど、やっぱりなぁ…切り傷のあった部分の痕が残らないか心配。
「そういえばおじいちゃん、私に任務って言ってたけど、なんのこと?」
新聞を読みながら、ニコニコと笑顔で私たちが食べるのを見守っていたおじいちゃん。その新聞、夕刊じゃなくて朝刊でしょ。もう夜だけど。
「おぉ、そうじゃな。教えるのを忘れておった。」
おじいちゃんはスプーンを手に取る。
「お前に託した任務というのは、妖家伝承家系の鎮圧じゃ。」
「待って、その妖家伝承家系って何。」
「妖家伝承家系とは、いわば妖怪の子孫の一家のことじゃ。それぞれの家系によって異なる妖怪の特徴を持っておる。」
「妖怪って、あの昔話とかに出てくる?」
「あぁ、人間社会に溶け込み、基本的には人間として暮らしている。ワシやお前のようにな。そして、伝承通りの力の引き継ぎ方をしていない場合の方が多い。幸い、そのような奴らは力が弱いのじゃ。」
私は、今は生えていないが、頭の耳の部分を触る。
「んで、その鎮圧って?」
「近年、妖家伝承家系の一部の若者が各地で暴れていてのぉ……街は壊すわ、森を破壊するわで、迷惑になっておるのじゃ。」
私はチラリと猫又ちゃんの方を見る。たしかに、コイツも訳のわからない動機で暴れてたね。
「そこで、まだ明かせないのだが、とある所から依頼として暴れてる奴らどもを制圧しに行くのだ。」
なるほどねぇ……え、じゃあ私はその任務を任されたってことよね?え、任務なら報酬とかは……
「安心せい。依頼主への報告は済ませたし、報酬も明日には海莉の口座に入ってるだろうよ。」
え?ホントに…?報酬が発生したの?
「おじいちゃん、それっていくら!?一件あたりどれくらい貰えるの!?」
「落ち着け落ち着け。一件当たりの報酬は難易度によって違うが、今回は三万だな。まぁ、あの街の破壊のされ方だと当然だが…」
さん…マン円…え?三万円!?猫又ちゃんの背中叩いただけだよ!?そんなにもらってもいいの!?
「あぁ、それとな、今回はワシを通して引き受けたが、これからはスマホのこのアプリから引き受けてくれ。」
そう言って、おじいちゃんは画面を見せてきた。
そこには、炎に包まれたキツネのようなアイコンのアプリがあった。
私もスマホを開くと、いつのまにか同じアプリが……
「おじいちゃん、もしかして私のスマホ勝手に開いた?」
若干ジト目でいうと、慌てたようにおじいちょんは視線を逸らし、
「い、いや、任務を受けた者の端末に必ず入るようになっておるのじゃ。そこで依頼の詳しい内容を見ることができる。」
…言動が明らかに嘘ついてるけど、他は触られてないみたいだし大丈夫かな。
試しにアプリを開くと、人魂みたいなのが画面の真ん中を回って、ネットで検索した時の検索画面みたいなのが出てきた。
試しに一つタップすると、件名とその詳細、住所、報酬についてが書かれていた。
どうやら全国的な問題のようで、表示されてるだけでも数百件以上はありそう。
試しに私の家周りの依頼を調べてみると、5件ほどヒットした。
う〜ん、報酬は今日のと比べるとあまり美味しくないけど…それでも高いし…困ってる人がいるなら助けたいしねぇ……
よし、明日この近くの依頼解決しに行こっ。
「おじいちゃん、私、これから依頼受けてみる!」
「おぉ、前向きに考えてくれたようでよかった。もしも依頼で遠出するときは、ワシが交通費を出すから安心せい。」
やったね!やっぱり、この仕事美味しいかも!少なくともバイトで稼ぐよりは楽だしね。
さてさて、明日はなんの依頼受けようかな〜。
詳細を読んでいると、食べ終わったのか、スプーンを置く、カランという音が響いた。
顔を上げると、満足そうな顔でお腹をさすっている猫又ちゃんの姿があり、テーブルの皿は全て綺麗さっぱり、まるで洗ったかのようにピカピカになってた。
いや、おかしいね?パスタとか色つかないはずないんだけど。
「ずいぶん綺麗に食ったなユノア。」
「だってぇ、全部美味しかったから〜。」
「食べ盛りのうちに食べときなさい。足りなければワシが作るからな?」
「やったぁ〜じゃあ、もっと食べたい〜。」
「い、いや、今日は勘弁してくれ…食材がもうないのじゃ。」
「んふ〜、じゃあ明日楽しみにしてる〜。」
そんな会話が繰り広げられていた。いや、やっぱ、皿についてた調味料とかソース全部舐めとってるよね?
というか、さっきおじいちゃん、この子の名前言ってたよね?
「おじいちゃん、さっき言ってたけど、この子の名前なんて言った?」
「うん?あぁ、この子は…」
「あたしはぁ…雪愛って言います〜。雪に愛って書いてユノア。よろしくねぇ〜ご主人様ぁ?」
雪に愛でユノアねぇ…中々洒落てる名前じゃないの。
じゃなくて、この子今、ご主人様とか言ってなかった?
「ねぇ、今私のご主人様って……」
「はい!海莉様はあたしのご主人様です〜!さっきあんなに厳しくお仕置きしてもらって、あたしわかったんですぅ。この方こそがあたしのご主人様にふさわしいなって〜。あんなに愛のあるお仕置き初めてでした〜。できたらこの後もしてくださいねぇ〜?」
……いや、お仕置きも何も、なんとかして勝つことしか考えてなかったけど。
それに、愛も何もないわ!あったのは止めたいって思ってたぐらいだわ。これ以上被害が出ないように。
というか雪愛、変態じゃん。背中バシバシするのをもっとしてほしいって。
「あ、もしかして〜、あれじゃお仕置きじゃありませんでした〜?じゃぁ〜、もっと強くしてください。ご主人様からならいくらでも〜、うぇるかむですのでぇ〜。」
……………うん、さっきこの子をいい子そうだと思ったけど前言撤回。
やっぱりこの子はただのヤバいやつだ。
「おじいちゃんも、雪愛がこう言ってるけど何も思わないの!?」
「うむうむ、孫が百合して百合しようとしておるのか…とても良き方向に向かっておる……」
なんだが召されそうな表情していた。洒落になるからいいんだけど。そういやおじいちゃん、百合好きじゃん。いっつもニヤニヤしながらそう言う系統の作品見てるよ。
え、待って、じゃあこの盤面完全に詰みじゃん。私が雪愛を受け入れるしかない流れじゃん。
え、でも雪愛のご主人様にはなりたくないよ?そもそも誰かが下につくとか無理だし。普通に裏切られそう。
「ご主人様〜?もしも受け入れてもらえないのなら〜…」
雪愛がとある写真を見せる。それは、私の黒歴史……
天然の猫耳(これは別にいい。)を使ったメイド服を着た文化祭の写真だった。
「ちょっ、それ一体どこで……」
「この写真、ご主人様のあらゆるコミュニティにバラきますね〜。」
雪愛がニヤリと笑う。どうやら拒否権はないらしい。
どことなく主従逆転した気がしながら、項垂れる。
仕方ない……か。受け入れる以外に私が生き残る道はない。
「わかった、私があんたのご主人様になってあげる。ただし!私のいうことは絶対聞くこと!いいね?」
雪愛の表情がパァっと明るくなる。不服ながら少し可愛いと思ってしまった。
「それではよろしくお願いしますね!ご主人様〜!」
とびきりの笑顔で雪愛が言うのだった。
というか、マジで写真はどこで手に入れた?
前回の続き書きました。投稿は不定期なので、早い時もあれば遅い時もあります。遅くても気長にお待ちください〜。




