美咲の空の日常
「ねーなー」
美咲はいつものように理由のわからないことを言う。
「だーなー」
そしてソラはわからないままわからないことを言う。
それが友だちであり、親友であり、心の友であったりする。
「昨日、女の子のバッグにぶらさがってるマスコットがマスカットだった」
「どんな味したんだ?」
「するわけねーだろ。おもちゃだぞ」
「さいきんのおもちゃは香りがするんだ」
「そーだったのか」
「ウソに感心してくれる、そんな美咲が好きだ」
「ウソと知らないで、真に受けているあたしもあたしが好きだ」
「両想いと言うな」
「そーともいう」
「そんなわけで」
「どんなわけだ」
「転がる・九官鳥・懲らしめる」
「あたしには簡単な三語だな」
「まとめるの、わたしだけどな」
「転がる都々逸の 九官鳥が挟まるサンドイッチ お昼ご飯が懲らしめる」
転がる都々逸の 九官鳥が挟まるサンドイッチ お昼ご飯が懲らしめる
ドイツの逆立ちに 声真似する英会話 授業時間の給食当番のエプロンを締めて
わたしは お玉を振り回す 演奏家たちの前の下 そこは観客席でフィルハーモニーなプライバシー
「いつもながら何をいいたいかは知らん」
「知らんほうがいいこともあるしないこともない」
「わかったふうなソラがいい」
「そんなわたしもわたしでいい」
学校からの帰り道。
それは誰もが通る道。
そしてだれもがもう通れない道なのだ。




