表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/29

ニッポン人、魔王城前総力戦



 夜明けと共に、魔王城の尖塔が朝日に黒く浮かび上がった。

 その前には、黒鉄の鎧を纏った魔族兵と、魔方陣から現れた異形の戦士たちが整然と並ぶ。

 彼らは人の形をしているが、眼は血のように赤く、肌は灰色に干からびていた。

 古の戦場で神々に封じられたという、“古き戦士”――死を恐れぬ兵の化身である。


「突撃準備!」

 特攻兵の号令と共に、人族連合軍の旗が翻る。

 太鼓が鳴り響き、地面が震える。


 先陣を切ったのは占守島の守将だった。

 槍の突きで古き戦士の喉を貫くが、奴は血を噴きながらも倒れず、腕で槍を掴んだ。

「……本当に死なねぇのか」


 硫黄島の将が背後から火薬瓶を叩きつけ、爆炎が戦士を包む。

 黒焦げになってようやく地に伏した。

「手間のかかる奴らだ……だが倒せないわけじゃない」


 アッツ島の男は刀を振り抜き、二体を同時に斬り捨てる。

 古き戦士の首が飛び、今度は動かなくなった。

「要は首か心臓だな」


 特攻兵は前線を突破しながら怒鳴る。

「心臓を狙え! それ以外は時間の無駄だ!」


 連合軍が呼応し、戦場は次第に押し返していく。

 だが、魔族の号令で城門上から矢の雨が降り注いだ。

 負傷兵の叫びが響く。


「全軍、城門まで突き進め!」

 特攻兵が叫び、4人が先頭に立つ。

 巨大な古き戦士が道を塞ぐが、硫黄島の将が爆薬で吹き飛ばし、占守島とアッツ島が左右から斬り裂く。


 ついに城門が視界に入ったその時――

 轟音と共に城門が内側から開かれ、漆黒のマントを翻した魔王が姿を現した。

「ようやく来たか、ニッポン人……」


 戦場の喧騒が、一瞬にして凍りついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ