ニッポン人、処刑部隊を撃破す
湿地の泥に義足の戦士が足を取られた。
その瞬間、特攻兵の号令が戦場に響く。
「今だッ!」
硫黄島の将が槍を突き込み、義足の戦士の膝関節を砕く。
金属音と共に片足が完全に機能を失い、巨体が泥に沈んだ。
その隙を逃さず、現地兵が縄で絡め取り、動きを封じる。
一方、占守島とアッツ島の二人は巨人の周囲を回り込み、絶え間ない攻撃で注意を引きつける。
巨人は大剣を振るい続けるが、その指揮の声が他の隊員に届かなくなった。
「……指示が途切れた!」
義手の戦士二人の動きが目に見えて鈍る。
特攻兵が地を蹴り、片方の義手を肘から斬り飛ばした。
アッツ島の男はもう一人を背後から抱え込み、首を一撃で断つ。
残ったのは巨人ただ一人。
しかし、もはや部下は倒れ、包囲は狭まっていた。
「……見事だ。だが、俺は倒れん!」
巨人が雄叫びを上げ、大剣を振り下ろす。
その刃を、特攻兵と占守島の槍が同時に受け止め、アッツ島が脇腹に渾身の一撃を叩き込む。
硫黄島の将が追い打ちの槍突きを胸板に貫いた。
巨人はしばらく立っていたが、やがて大剣を地面に落とし、ゆっくりと膝をつく。
「……ニッポン人……その名……忘れぬ……」
そう呟き、崩れ落ちた。
森に静寂が戻る。
現地兵たちは歓声を上げたが、4人は静かに敵の亡骸を見下ろしていた。
「……強かったな」
「米兵と同じだ。敵でなければ、共に戦いたかった」
その言葉は、戦士としての純粋な敬意だった。