ニッポン人、処刑部隊の急所を看破す
剣と槍、金属と肉体が交錯する激しい戦いが続いていた。
処刑部隊の動きは、まるで精密な機械のようだ。
一人が攻めれば、二人が援護し、残りが必ず退路を塞ぐ。
米兵とは違い、臨機応変な判断力と士気が備わっていた。
「……やっぱり正面突破は無理だな」
硫黄島の将が血を拭いながら呟く。
「だが、必ず綻びはある」
占守島の守将は視線を鋭くし、相手の動きを凝視する。
そのとき、アッツ島の男が低く声をあげた。
「おい……奴ら、巨人の視線が届く範囲しか動いてねぇぞ」
特攻兵が短く頷く。
「指揮は巨人が一括でやってる。あいつの指示が届かなきゃ連携が鈍る」
実際、巨人が大剣を振り回して距離を取った瞬間、義手の戦士の攻撃が一瞬遅れた。
その隙を突いて、アッツ島の男が浅く肩を切り裂く。
「ほぉ……効くな」
さらに観察を続けると、もう一つの弱点が見えた。
義足の戦士は地面の柔らかい場所では踏み込みが鈍る。
森の湿地帯に誘導すれば、速度を殺せるだろう。
「よし、二つ見つけた」
特攻兵は短く指示を出す。
「占守島とアッツ島は巨人を引き付けろ。硫黄島は煙幕で湿地に誘導だ。
俺が合図したら一斉に潰す」
全員が頷き、再び陣形を組み直す。
敵はそれに気づかず、いつもの連携で押し込んでくる。
森の奥、湿地の泥に義足の戦士が足を取られた瞬間――
特攻兵の目が鋭く光った。
「今だッ!」
次の瞬間、戦場は一気に動き出す――。