表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

9.朝日 「独白」

主人公は万引きをし、許されない殺人をした。そして、いつものように、憂鬱な夜を過ごす。

それでも、朝日は必ず昇る。憂鬱な自分を鼓舞するように。

罪の意識は拭えない、いつまでも。生きることに対して、僕は罪悪感を感じる。山で寝転ぶ。そしてひたすら上を見つめる。もうだめだろうか。自分はもうあの時、あの頃、あの時には、もうすでに終わっていた。もうだめだ。

ひたすら虚無感に怯えていて、僕はひたすら上を見つめる。その時、雨が降り積もった。顔が雨に濡れても、僕は上を見つめる。運命だろうな。運命だ。

僕はひたすら上を見つめる。そしていつの間にか僕は塩辛い涙を吐き出すように流れている。

なぜだろうか。この世が最低で最悪だと、わかっているのに。わかっているのに。この世は最低で最悪で、生きている意味がわからない、神もいない、でも、死にたくないと嘆く。

死にたくない、死にたくない、死にたくないなんて嘆く。

いつも何で生きているんだろうと、問く。僕は答えず冷たい顔のまま。なんで死にたくないの?と、問く。僕は答えず冷たい顔のまま。

もう自殺してもいいんじゃないか。もうだめだろう。

僕は嫌だなんて答える。

僕は人を殺したのに、のうのうと生きている。僕は人を殺した。もう何も考えられない。ずっと答える。ずっと、ずっと何も変わらず、考えられない。この独白は、僕の精神だ。

もう何も考えられない。びっしょり濡れたぼろい服。万引きして手に入れた、落ちていた赤いリンゴは鮮やかに濡れた。

僕の顔は汚く濡れた。鮮やかに濡れることはできないんだなって、気づいた。

もう駄目なんだろうな。僕は汚れた。赤いリンゴは今も輝いて見える。僕は赤いリンゴを見つめる。倒れたまま。ずっと見つめる。

気付くと夜になっていて、熊が怖いので、人里へ向かった。そして人里の道の端っこで眠る。

それでも眠れない夜が続いている。そして眠れないまま、夜を迎える。


でも、朝日はかならず昇る。人生に希望を見出せるように。


朝日は昇る。


9話目で山場ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ