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6.愚かな歴史 「独白」

6話目。ここは別に省略しても読めるっちゃ、読めるんですが、筆者が書きたかったので書きました。

主人公は、戦争の記憶がフラッシュバックし、心を闇に封じ込める。心に蓋をする。

何度でも、何度でも、僕らは愚かな道を進む。人は過ちを犯す生き物で、人は神の失敗作であり、神は人の失敗作である。それでも彼らは必死に歩く。この過ちの中に希望を見出そうとするのはなぜだろうか。希望は存在しないのに、彼らはなかった篝火を灯していた篝火だと、幻覚、いや無理やりにでも思い込む。思い込んだ先に、幸福があると思い込む。人間はひたすら思い込んでいる。

この愚かで、最低で最悪な歴史の中で、僕は未だに藻掻いている。藻掻きこんでも意味はない。我々のところに意味はない。何一つ意味を持つものは存在しない。特に意味はない。意味はないけど、勝手に動く心臓。慟哭。呻き声。頭を抱え込む青年。そのこと自体に別に意味はない。

未来に希望はない。いや、過去、現在、未来全ての物について、意味はない。

生きることに対して、あるいは、全ての生きていることに対して。僕は、死んだ魚の目のような顔で見つめる。我々のいるところに永遠はない。自由はない。

全てが終わった。もはやあの頃、いや、元気に”何か”を探し回っていた頃は、まだこの世界が残酷であることを知らなかった。(何か?何だったんだろう。でも思い出せない。喪失感に囚われている。)

天井を見つめる。思い出す。失った軍人、消えた軍人、軍人の肉片。

飛び散った血。そのままであったことに気づかなかった。ああ、洗わなければ。ああ、もう何もかもが面倒臭い。面倒だ。何も聞こえない、何もしゃべれない、何も動かない。僕はただただ、存在している、ただそれだけ。

虚無感、喪失感、全てを失った。帰った後の記憶がない。悲しさで埋もれていたのか?ああ、それでも、なにもできない。何かする気力が奪われているみたいだ。よみがえる記憶は、いつも軍人だ。灰色の空で、飛び散る血、飛び散る肉片、心を壊されていく。跡形もなく壊す。前には思い出していたけど、もう忘れた。

もう思い出すことさえも、面倒臭くなった。何もかも気力がわかない。閉ざされた心。闇夜へと、闇は僕を誘った。ああ、終わった。

何かする気力がわかない。もうとっくに喉が渇いている。動けない。ああ。死にそうだ。


その時、誰かがドアをノックする音が聞こえた。



30話完結予定です。次回は第二章「なかった篝火」へと移行します。

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