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4.僕らは絶望的なニヒリスト 「独白」

※この作品には、戦争・死・鬱的表現・絶望を描写するシーンが含まれています。

読者によっては不快に感じる可能性がありますのでご注意ください。

光のない世界で、それでも生き続けるとはどういうことか――それを描こうとした記録です。


4話目で暗さをクライマックスにしています。暗さのギア上げすぎたか?それでもーーー彼らは光を求めねばならない。

狂乱はいつまでも続く。いつまでも。いつまでも。変わらない運命の延長線上にある僕は、この世界に涙を流した。僕はいつまでも変わらないまま、

ー地獄だった。

消える人々、殺す人々が入り混じる。銃弾が少しずつこの世の残酷さを物語っていて、銃弾が僕の心に深く突き刺さる。そんな感覚のまま、戦争は続いている。

「あああ!くそ野郎!あああ!」

僕らはそれでも進む。狂っていたからだ。死んでいく。それでも前線が少しずつ前へ進んでいることに気づかなかった。旅順での攻略は、日本側の勝勢に傾いてきている。

でも、目の前の光景にそんなことはどうでもよかった。死ぬ恐怖は常に隣り合わせだったからだ。

見知らむ一人が、

「くそおおおおおお!」

と魂の慟哭を上げた。銃弾が切れたし、大分前に行っていたからだろうか。一人は剣を振りかざし、ロシア軍に突っ込んだ。そして最後、

「ああ、光だ!光が見えるぞ!」

と、万歳して剣を捨て、大いなる勝利をもたらしたかのように、歓喜した。

そしてあっさりと、ロシア兵に銃弾を全身に食らって死んでいった。

光か・・・などと思った。僕は、いや全員が思ったかもしれない。光なんて、ないのになあ。でも人間って最後くらいは、そういうものを信じたくなるんだ。光とか希望とか、最初は皆持っていたし、世界に希望を抱いた。でも、世界の残酷さに気づいた。ああ、おしまいだ。生きることは藻掻くことなんだと気付いた、僕は猶更そうだ。どれだけ失っただろうか、数えきれないくらいあって、もう忘れた、そういうことにしたこともあった。生きることは藻掻くことだ。生きるのには意味がないんだって事に気づいたのは、もう、だいぶ前だったことを思い出す。

そして、僕はひたすらに進み続けている。僕は確実に死を求めている。だけど、自分で自殺できないことに驚く。いやただ虚無感に支配されていて、僕は何もできないのかもしれない。水たまりを見ると、僕は、死んだ魚の目をしていた。死んだ魚か、早く無になりたい。

消えろ、消えろ、思い出もすべて。何の意味もない。僕は大嫌い。

僕は世界が大嫌い。みんな大嫌い。大嫌い。

そろそろ終わりにしたいけどできない。だから嫌い。

終わり。もう僕の物語を終わりにしてくれよ。


それからしばらくがたった。旅順以外での戦闘も派遣されて、僕は人が死ぬ光景になれた。僕が食糧を取りに戻ると、すれ違う様に、

「お前なんていらない。」

「消えてしまえ。」

「人殺し!」

と言われる。その言葉は幻のように、空気の中に溶けていった。もしかしたら、誰も何も言っていなかったのかもしれない。

その一言が少しずつ心に刺さる。耳鳴り。心に刺さる。心が蝕まれる。そして、心はいつしか死んでいくのがわかる。まだ心臓は動いているけど、僕の心は死んでいく。無に脅かされる。僕の心は闇へと誘う。

闇は、僕をひたすらにいじめる。いじめつづける。


いつの間にか戦争は終わっていたようだった。でも闇は、まだ消えてくれないのか。


小説家になろうで削除されたら、

・カクヨム

にて連載します。

過激すぎたか。まあ明るい作品はここで投稿しますが。

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