21.謎解きしよう
彼らは物語を知る。小説を読む。
うーむ、これって、なぜだ?
僕の頭にはこれが残っていた。なぜ、一人で死んだ、つまり家族がいなかったのに、なぜ「意味を与えよ青年よ」と書いているのだろうか。殺人鬼には友人がいたのだろうか。それとも、犯罪の共犯であったのだろうか。
いや、共犯程度なら、そこまでの想いはなかっただろう。そして、あることに気付いた。
その時、明治時代で、落書きはされていなかったとして、もうとっくに死んでいたはずだ。では、あの落書きとは、関係ないのか。まあ、少し無茶だったからか。ただ、面白い発想だと、思った。
では、落書きは何だったのだろうか。すると、この殺人鬼の家に、何かが追いてあった。当時の指名手配犯であった。一つしか書かれていなかった。
「向山 幸喜」
何かが、繋がるような予感がした。
「光を見つけよ青年よ」という意味深な落書き。そして、博物館にあった、大悪人の二つの手帳、だがこの二つの手帳には、違いがあることに気付いた。
・一つ目の手帳には、日記らしきものがあり、「家族がいない。」などと、世界に絶望している記述があった。日記には、当然、時間などが書いてあった。
・二つ目の手帳には、ただ、「世界を信仰するべきだ」と主張していた。時間は書いていなかった。
そして、テーブルには、「意味を与えよ青年よ」という文字が記されていた。
一つ目の手帳と、二つ目の手帳はまったくの別物だと考えるべきだ。
つまり、一つ目の手帳は、殺人鬼のものであり、二つ目の手帳は、一人しかいない。
向山幸喜のものだったのである。
推理しよう。人生を追ってみよう。
語っている。過去が、未来が。過去が未来が、語っている。そのことに、我々は心が躍る。人生とはそういうものだと。