20.想い
完結するまで頑張ります!
なるほど。ようやく掴めてきた。多分だが、「意味を与えよ青年よ」と、「光を見つけよ青年よ」は、同一人物であるはず。すると、お尻の辺りに違和感があった。なんと、あの悪人の手帳の全ページのコピーである。館長がいれたのだろうか。何のために?
ただ、手帳には、それしか書いていない。なぜ、手帳には、あの文しかないのだ。
さらに物色を進めると、また新たな手帳があった。そこには日記があって、なんとも、うつ病のような背景をえがいていた。(引用になります。)
5月7日
人は孤独のまま突き進む。私には、最初から、生きる権利がなかった。貧乏人だった。どうやら、この世界はそういうルールでできていて、それもごく自然と進んでいる。
心の痛みだ。私は人を殺した。
この世界に私は睨みつける、その目は疑いと、憎しみであふれていた。
でも世界は何も言わない。なぜだろうか。
5月13日
私はなぜ生きているのだろうか。もはや誰からも必要とされなくなったときに、私は問い直す。
心の痛みは途絶えずに。
私は失望した。
5月23日
今日は誕生日。でも誕生日なんて見せかけにすぎず、孤独な夜と眠れない夜を過ごす。
家族がいない。とっくに捨てられていた。
5月27日
久しぶりに人里に出た。眩しい。目が焼かれるような痛さに耐え凌ぎながらも、私は人の顔を見た。
自分もそうでありたかった、と自分はどこかで叫んでた。ああ、悲しい。(手帳には、涙の汚れが残っていた。)
6月3日
ある絵に見惚れた。「光妖」という絵だった。光妖は、闇の中から、灯している。
光妖によって光を照らしている。いつまでも、いつまでも、光を照らす太陽のようだ。
夜は必ず終わって、朝日が必ずやってくるんだ。
悲しい夜に付きまとう暗闇も、月も、必ず、明るくなる。目を焦がすほどの太陽が、光が、もはや失望して、存在しないなんて嘆いた、あの幻の、光が。
光はやってくるんだ。
光は必ずやってくる。
これを見た僕は、次のことを整理した。
発見されたほうの手帳には、
「世界を信仰しよう」という言葉がある。
そして、殺人鬼のテーブルに、「意味を与えよ青年よ」と書かれており、光妖の落書きの「光を見つけよ青年よ」と類似している。
そして、発見した方の手帳には、殺人鬼が、絵である「光妖」に惚れていることがわかる。(それに、絵の写真も入っていた。)
僕は、この落書きを、殺人鬼によるものではないか、と考えたが、証拠は一切ないので、その考えを捨てた。
うん?これって、なぜこうなのだ?
もしかしたら・・・
そうか、歴史は繋がっているのか。
想いがあるのか。
次回作、「飢饉」を、この作品の最終話とともに、公開予定。
飢饉という飢えに反発する、一人でみんなをまとめ上げ、企む男の物語。