19.遺言
最初はミステリーですが、後に、ヒューマニズム小説となります。
僕は、明治時代の指名手配犯について、また、罪について、気になることが増えた。
僕は指名手配犯の手帳を見て、指名手配犯の人生を追ってみたい、と、とっさに思った。なんとも不思議なことである。
指名手配犯について気になることがあるなんて、初めてであった。
僕は、その指名手配犯の名前について、描かれていなかったため、館長に、聞いてみた。
「ああ、あの明治初期で、貴重な指名手配犯の手帳なんですよ、名前はですね、、ええと、、」
「名前はなかった気がします。彼には、家族がいないんです。捨てられたんです。」
「そうですか・・他に、わかっていることはありますか?」
「はて・・・たった一人の人生ですからねえ・・・ちょっとわからないですね・・」
「そうですか、わかりました。」
立ち去ろうとしたところ、館長が、
「ちょっと待って。その手帳が発見されたところを知っている。」
「どこですか。」
「三種だ。」
「その何百人を、殺し、盗んだ最低で最悪な指名手配犯のボロ家が、ある。そこに行け。今は、私が管理しているが、見る許可をあげるよ。」
「そんな・・ありがとうございます!」
「はは、遠慮せず見ればいい。青年には、旅と冒険をさせたいし、喜ばせたいと、願うものだ。」
僕は、早速、秋田県の三種町へ、行った。そして、指名手配犯の家につき、入った。
かなり経年劣化が進んでいた。
酒がひどい状態になっており、明治時代と変わっていないようだった。匂いがきつく、激臭がしたので、マスクを何重にも重ね、探索した。
すると、テーブルに、何かしらの痕があった。なんだろう。人間が、きれたボールペンで書いたような・・・・
僕は、そうだ、と、ボロい、廊下の障子を開けた。すると、そこに、光が当てられ、文字が見えた。
「意味を与えよ青年よ」
と書かれていた。そして、もうひとつ見えた。
「ありがとう。」
その一言だけが残っていた。指名手配犯の遺言なのだろうか。
では、青年とは何だろうか。書いてあった「ありがとう。」は誰に向けて書いたのだろうか。
それとも、指名手配犯が書いたのだろうか。
謎は深まるばかりである。
僕ははっと気づいた。
「意味を与えよ青年よ」と、「光を見つけよ青年よ」かーーーー
完結まで、6話。完璧に、簡潔に。快く。終わりたいですね。
次の小説は、「飢饉(予定)」です。