15.終焉 「思想」
ついに、虚無主義へ。
僕はなぜ生きるのだろうか。僕の結論を言おう。生物学的に、人は人を殺す、あるいは自殺するという構造にはなっていない。つまり僕らは生物学的に、支配されている!僕らは生物学の奴隷ともいえる!
では、なぜ自殺する人がいるのか?
それは、突然変異だ。脳の配置がおかしいとも言える。生物学的に考えるとそうなる。
緻密な論理設計をすれば、人は死んだら無になって、生きる意味もなにもない、と考えられる。
というか、生きる意味を定義できない。定義できないことは、そもそも、言葉自体が間違っている。
生きる意味という言葉がおかしい。
生きる意味という言葉はない。つまり、
生きる意味はない!
僕らは生物学の奴隷だ!
地球の奴隷だ!
宇宙の奴隷だ!
世界の奴隷だ!
僕らはつじつま合わせの奴隷に過ぎない。いつだって。いつだって。
こういう結論に至った。知ってしまった。赤いほうの薬を飲んでしまった。
僕はその結論に至った。そこから憂鬱は止まらないし、もうどうせ駄目だ。どうせ無になるんだから我々がすることに意味はないという極めて、悲観的な虚無主義に陥った。
いつまでも身を潜め、木漏れ陽さえも消したためか、精神がひどく弱った。悪化した。ここに何十年も住んでいたのだから、精神疾患を抱えたのかもしれない。
でも、事実は事実だ。
動け。どうせ死ぬ。の板挟み。
耐えがたい罪は今でも消えず。残酷な世界だと、
気付かされて。可哀想だって。
耐えきれない罪は今でも消えず。冷酷な世界だと、また痛みつけるように、悪魔が。悪魔が。自分が。
囁いている!
耐えきれない。
嘔吐、下痢、などの症状は当たり前。統合失調症、不眠症は治らずとも。
木漏れ陽さえも、希望さえも僕を闇に包み込んだ。ふざけるな。
叫び声、慟哭、狂声、怒号のすべての声が、ノイズのようにうるさく聞こえる。
僕は全てを失った。そして、全てを奪った。奪ったかのように見えた。掴もうとしたその何かは、消えていく。消えていく。
朝日はかならず沈む。朝日は今日も、明日も、明後日も、今年も、翌年も、かならず沈む。絶対に沈む。
朝日は掴めない。掴んでも掴んでも届かない。もう終わりだ。もう何もできない。僕はふいに口を開けて、叫ぶ。
「叫べ、世界の終わり。
叫べ、ハードボイルド。
叫べ、世界の終わりよ!
叫べ、世界の終わりを!
叫べ、叫べ、叫べ、叫べ、叫べ、叫べ!!!
叫べ、愚か者よ、
叫べ、愚か者よ、世界の終焉を叫べ!」
息が切れる。
朝日はかならず沈む。
25話完結予定です。次の物語は、「宗教・科学・人間(仮)」です。