お義兄様、あなたが私に関心がない事は重々承知しておりますが
タイトルは本当はまだ「物事には限度というものがございます」と続くのですが、現状でも相当に長いので切りました。
誤字報告ありがとうございます。
義兄の言動がかなり犯罪寄り(日本ならアウト)かつ気色悪いと評判ですので、何でも大丈夫な方のみどうぞ。
一体何故、こんな事態に陥っているのか。
カーテン越しに耳に届く音楽も、人々の喧騒からも切り離されたバルコニーで。
私は手すりまで追い詰められ、そして一人の貴公子に口説かれている。
ありえない。
ありえない。
だってその貴公子は私の義兄なのだから。
王宮で開催されている今宵の夜会は一際華やかだ。ここ数年の懸念の種であった王太子の婚約がようやく整った事を披露するためのものであったから。
隙無く飾り付けられた会場の中央では、綺羅びやかな衣装に身を包んだ男女がくるくると踊っている。それはとても美しい光景ではあるのだが、ひっそりと壁の花と化している私からすると遠い世界の出来事にしか見えなかった。
義父に連れまわされてすっかり疲れ果てているが、夜会、それも舞踏会となれば休憩用の椅子なぞは用意されていないものだ。休みたいのであれば会場を辞して休憩室に行くか、もしくは侯爵家に用意されている客室に向かうかの二択。だがその為には、せっかく離れた義父を探してその意を告げなければならない。そうするとまた、別の人物に紹介されて休憩どころでなくなるのも、私には予測できたことだった。
(今夜は沢山の方に紹介されたもの。もう誰にも会いたくないわ)
私はエルミニア・ファン・ロンゴリア。本日、社交界デビューをしたばかりの十六歳。只今、我が国の売り手市場にて最も注目されている娘だ。ああ、失礼。高位貴族の中で最も婚約者にしたい令嬢として売りに出されている珍獣である。……どうしても皮肉な発想になってしまうのは、義父が私にいかに高値をつけようかと躍起になっているのを日々見ているせいだ。
今から約十年前。この王国に不幸な事件があって、その結果。現在、高位貴族の年頃の令嬢はおそろしく数が少ない。具体的に言うと十五歳から二十歳までの伯爵家以上の未婚かつ婚約者のいない令嬢が極端にいないのだ。そのため、高位貴族家では嫁取りにどこも苦労している。王太子殿下の婚約すら厳しかったのだから、わずかに残された高位貴族令嬢を逃して下位貴族から嫁を迎えることも多くみられた。侯爵令嬢としてデビューした私がいかに希少種か分かるだろう。
さすがの義父も、王家に私を売り込まぬ程には恥を知っていたと思われる。彼が本格的に未婚の息子のいる公爵家や侯爵家を中心に私を紹介し始めたのは今夜から。水面下の交渉はされていたようであるが。
私は侯爵令嬢ではあるが、生まれはしがない子爵令嬢にすぎなかった。不貞関係などの醜聞があったわけではない。単に子爵であった父と死別した母が、侯爵である義父と再婚しただけの話。連れ子の私と共に。
父を亡くして生家に戻された母と私には居場所がなく、早急に身の振り方を考えねばならなかった。縁あって、妻を亡くしたロンゴリア侯爵との母の再婚が決まったのだが、その条件のひとつが私である。十年前の不幸な事件のせいで激減した高位貴族令嬢。大臣でもある義父は政略の駒になる娘がどうしても欲しかったのだ。
十歳で母が再婚して。それまで呑気に子爵家の領地で過ごしていた私は、徹底的な教育の嵐に襲われた。それが侯爵家を追い出されないために必要なのだと母から言い聞かされ、追い出されれば貴族でなくなってしまう事に自分でも危機感を覚えてしまったので、必死に与えられる教育に立ち向かい、立派な侯爵令嬢として認められるに至る。一時期なぞ毎日吐くほどだったから、本当に私はよくやったと思う。
下位ではあるが貴族の血を引いて、母譲りの美貌の片鱗を目覚めさせていたのも、義父のお眼鏡に適った理由である。
背中に垂らされたベビーピンクの髪が視界の端で揺れる。髪よりも少し濃いピンクの長いまつ毛に縁どられた、夢見るようなと表現される少し煙った青い瞳は大きく、その対比のように鼻と口は小振り。子猫か妖精のよう、と称えられることもある。抜けるように白い肌がいかにも貴族令嬢らしい。選ばれるドレスも淡い色合いのものが多く、余計に印象を儚げなものにしていた。実際は、十歳になるまで領地の山野を駆け回っていた健康優良児で、色白なのは侯爵家に入って日に当たらなくなったからでしかない。だがそんなことは言わなければよいだけ。磨かれた外見は間違いなく私の武器なのだから。
周囲の誰にも注目されていないことを確かめてから、私はバルコニーへと滑り出た。飾り付けの関係で夜会の間、バルコニーに続く窓はカーテンが閉められている。鍵がかかっていないのは、熱気の籠りやすい会場に、時折風を送るためと聞いていた。まぁつまり、人がいないということだ。
バルコニーに出ると、夜風の冷たさが火照った肌を冷やしてくれて気持ちが良い。顔・首・肩・背中、そして僅かに覗く二の腕。デビューしたての私に選ばれた衣装は露出を抑えてはいるものの、デコルテは大きく開けられている。肌に馴染んだ首飾りが金属の冷たさを思い出したようだ。あまり長居をするのは風邪をひく危険もあるので、一息ついたら戻らねばならない。
それでも今夜、王宮に到着して以来、ようやく息がつけた気がした。着飾った人人人で溢れる会場は、見知らぬ顔ばかりで緊張の連続だったからだ。貴族名鑑は暗記しているし、個人の特徴も分かる人の分は覚えてきたと言っても、実際に会うとなるとやはり別物で、脳内で勝手に想像していた人物像を修正して上書きしながら微笑む作業はひたすら忍耐を必要とした。
「はあっ」
知らずため息が零れる。もう疲れた。ドレスも化粧もとって、早く寝台に潜り込みたい。頭の中ではそんなことで一杯だった。
「随分と悩ましい声だな」
それまで無人だと油断しきっていた私は、バルコニーへの闖入者を警戒しながら振り向いた。
バルコニーから見下ろせる広大な庭園は、今宵、あちこちに篝火が焚かれ、昼間ほどではないがそこそこ明るい。だからこそ私は、その人物の顔を見ることができた。プラチナブロンドの前髪を上げて礼装に身を包んだ見目麗しい貴公子。
(お義兄様……!?)
義父にもまた、先妻の残した子があった。私よりも三歳年上の息子が。母と共に侯爵家に入った頃にはもう、優秀な跡取りとして評判の人物だった。
義理の兄妹となったわけだが、朝食と夕食を共にするくらいで、特にこれまで会話らしい会話をした記憶はない。義父と母の再婚についても別段反対するでもなく受け入れてくれてはいたが、単に母と私に関心がないだけなのは、侯爵家に入ってすぐに理解した。更に言うと義父にも関心がなさそうなので、高位貴族の家族とはこういうものなのかと思ったものだ。子爵であった実父と暮らしていた頃は家族仲が良かっただけに対照的ですらあった。
闖入者が身内であったことに、私は肩に入った力を抜いた。未婚の男女が二人きりで……なんてことになると問題だが、義理とはいえ兄妹ならば醜聞にもならない。
ただ、その義兄の発した言葉は想像とは違っていた。
「お誘い、ありがとう」
「は?」
「先程、会場で私に微笑んで、ここに来るよう誘っただろう? 王太子殿下の御婚約が決まったので、私も相手を探していたんだよ。これまでは下手に婚約者を定めても王命で覆されて奪われる可能性があったからね。君の微笑みを見て、運命を感じた。こんなに愛らしい女性を見たのは初めてだ」
「なんの、ご冗談でしょう……?」
義兄にこんな一面があったのかと驚かされる。声が上ずったのは衝撃のせいだ。
「君も私を好ましく思って微笑んでくれたのだろう?」
確かに先程、別に会場入りした義兄がいるなと気付いて挨拶代わりに微笑みはした。見知らぬ人ばかりの中で知った相手を見つければ嬉しくて。それがあまり関わりのない義兄であっても。
「アンブロシオ・ファン・ロンゴリア侯爵令息様。意外な一面を見せていただいていますが、正直あまり趣味がよろしくはございませんわよ?」
「ああ、私のことを知っていてくれたのだね! ではどうか、君に一目で恋に堕ちた私に、名を教えてもらえないだろうか? その装いからして、伯爵家以上の令嬢なのだろう?」
ぐいぐいと義兄が近寄って来るので後ずさっているうちに、バルコニーの手すりにまで追い詰められてしまった。この喜劇はそろそろ終幕にして欲しいところ。
だが義兄は私の身体を挟むように手すりに両手をついてきた。身長差があるために、覆いかぶさってこられるような体制だ。しかも軽く身を屈めて更に顔が近づく。思わず仰け反ったのだが。
(あ、落ちる―――!)
さして高くはない手すりからはみ出した私の上半身は支えるもののない空中にあった。
「ひゃっ」
悲鳴が小さく漏れたが、浮いた身体はそれ以上落ちることもなく。
落ちる、死ぬ―――? とまで一瞬で思考が達したため、その恐怖で自然と両手で掴めるものを掴もうとしたのだろう。私の両手は義兄の背中にしがみついており、義兄の両手は私の背にしっかりと回されていた。
恐怖で麻痺した頭であっても、この体勢がよろしくないことは分かっていた。すぐに離れるべきだ。だが、死ぬかもとまで思った私の身体は指先以外に力が入らない状態で、足から崩れてしまいそうなのだ。
「危なかったね。すまない。私が急に近づきすぎたせいだ。君をこんなに怖がらせてしまった」
義兄の手にはさらに力が入り、私の顔は義兄の胸に押し付けられた状態。私たちの間にはいささかの距離もなくなってしまった。
(そうよ! お義兄様のせいよ!)
抗議の声を上げたくとも、口の中までからからで声が出ない。少し早い義兄の心音を聞いているうちに少しずつ落ち着いてはきたのだが、そうなると今度は、がっちりと抱きしめられて身動きもできない事が気に掛かる。かろうじて動かせるのは頭だけだったので、頭上の義兄を睨んでやろうと顔を上げると。
びっくりするほど優しい微笑を湛えたご尊顔が目と鼻の先にあった。
六年。同じ邸に起居して過ごした年数。さすがに毎日ではなかったが、それでも三日にあげず食卓を共にしていた。
いつも無表情。無関心。義父から話を振られても最低限しか返さずに黙々と食事をするだけの、美しい彫像でしかない人。
関わりを持とうともしない相手に対して、こちらとて家族と思うことはできなかった。名義上だけの義兄。単なる同居の他人。だから。
「もう大丈夫だよ。私がいるからね」
事務的な声しか知らなかった。こんな甘い声が出せるなんて知らなかった。ずっと早かった鼓動が、別の意味で早まる。
滲んでいた涙を拭うように唇が寄せられ、湿った温いものが蠢いた。
舐められたのだと、気付くのは一拍以上置いてからだ。そのまま頬を薄くて形の良い唇がなぞっていく。背中がぞくっとして、顔に熱が集まるのが分かった。息が顔にかかる。もう顔が見える距離ではない。
これは義兄妹の域を超えた行動だと。理性が警鐘を鳴らす。頭の片隅では厳しく受けた教育の中にこういった状況への対処方がないのかと目まぐるしく知識が閃いては消えるが、相応しい答えなどひとつも出てこない。
「いい子だ。ほら、目を閉じて」
後頭部に回された手のせいで固定されて顔を逸らすことすら出来ない私に、容赦なく呼吸さえ奪うように唇が触れて来た。
「まって……」
抗議するべく開いた口には、涙を舐めとったばかりのものが侵入し、いかなる抵抗の術もなく蹂躙されるしかなかった。
何度も求められた口づけのせいで、おそらく口紅はすっかり取れてしまっただろう。この姿で会場に戻らなければいけないとは、何という屈辱。扇を持っていることだけが救いだ。
ようやく萎えていた身体に自力で立つだけの力が戻ってきたので、私は怒りを込めて思いっきり細いヒールに体重を乗せ、義兄の靴へと振り下ろして、そして踏みにじった。ぐりぐりと。
さすがに私を閉じ込めていた両手が離されたので、その隙に距離を取る。強烈な痛みに蹲った義兄を見下ろしながら睨みつけた。亡き実父には子猫の威嚇と笑われたものだが。
「乙女の唇は安くはございませんの。それが初めてともなると如何程だと思われます?」
おそらく、足の甲に穴までは開いていないだろう。男性用の靴はかなり丈夫だと聞いている。一応、人を傷つけるのに躊躇いもあったから、全体重は乗せていなかったのには感謝して欲しいくらいだ。
「せ、正式な求婚を……侯爵家から行おう。だがその前に」
さすがに次期侯爵だけあってか、義兄の立ち直りは早かった。痛みを感じているだろうに、それをおくびにも出さず。そして蹲っていた状態から自然な様子で私の前に跪いてみせた。ドレスの裾に口付けて上目遣いで見上げて来られると、美貌による破壊力が増して眩暈がしそうになる。
「愛しの乙女。どうか恋に堕ちたこの哀れな男の求婚を受けていただけないだろうか」
当惑と怒りと。羞恥と歓喜と。綯交ぜになった感情を抑えて見下ろす銀色に輝く髪に縁どられた秀麗な顔。その瞳には熱がある。己すら燃やし尽くす恋情という炎。
この頃にはもう、確信しかなかった。この義兄はきっと―――。
「ええ、よろしくてよ。貴方に傷物にされてしまいましたから。わたくし、本日が社交界デビューでしたのに。せっせと他家との縁談を進めようとされているお義父様への説得は、もちろんお一人でなさってくださいますわよね、お義兄様?」
「はぁっ!?」
「本当にこれまでわたくしを認識されていなかったのは、よーく、よーく理解しましてよ。六年も一緒だった義妹の顔も名前も覚えていらっしゃらないなんて」
「義妹……?」
「改めて教えて差し上げますわ。わたくしの名はエルミニア・ファン・ロンゴリア。貴女の義妹です」
そう告げた後の義兄の顔は、一生忘れられないものになった。
その後。私を侯爵家の客室に送り届けて後、義兄は義父に直談判に走ったそうだ。
当然、義父は怒り狂った。六年掛けて侯爵令嬢として仕上げ、売り込みを始められるようになったばかりなのだ。今のところ、紹介した公爵家・侯爵家のいくつかの相手からの反応も良く、さてどこが一番良い条件を出してくるかとほくほくしていたというのに、よりによって実の息子に台無しにされたのだから。しかももう、手を出した後なのだと言う。
「父上、父上のお怒りはごもっともです。他家への政略に使いたい父上の心情も貴族家の当主として当然とは思います。ただエルミニアが魅力的な淑女に育ちすぎました。これはエルミニアの努力と父上の慧眼のおかげです。
ところで父上は我が家の、私の婚約について何か進められておられましたか? 私の知る範囲ではそちらに関してはまったく動かれておられませんでしたよね? これから話を進めるとなると、私のお相手はかなり幼いご令嬢しかおりません。婚姻が実現する頃には、私は、そして父上はお幾つになられているでしょう? 我が家の後継は私ひとりです。親族を見渡しても養子として迎えられそうな素質のある子はいません。その私に何かあった場合、我が家は断絶を余儀なくされることとなります。
急ぎ、私に子を儲けさせるならば、相手は下位の令嬢となります。伯爵家以上に残されたすぐにも婚姻可能な令嬢の婚約は既にあらかた結ばれておりますので。義母上はよくやってはおられますが、侯爵家次期当主の妻に相応しい教育を受けた下位の令嬢なぞ、知る限り心当たりはありません。
父上、他家との縁より以前に、我が家のことを何よりお考えになってください。エルミニアは我が家の女主人として相応しく育ちました。我が家にこそ必要な、義妹にしておくのは惜しい存在なのです」
義父が義兄の縁談を後回しにしていたこともあって(まだ焦る年齢ではないと考えていた模様)、結局義兄の説得に義父は折れた。
現状、貴族家全体で令息が余っている状態なのだ。年齢が離れていても高位の令嬢たちはほぼ押さえられ、下位の令嬢たちも次々と売れて行っている。以前ならば身分違いと鼻にも掛けられなかった高位貴族に。下位の令息たちは貴族との縁を諦めて裕福な庶民と結ぶ者すら目に付くようになっている。
出遅れた我が家が生き残るために、私を義兄の嫁にするのは理にも適っていた。嫁にする為に養女にされ育てられた娘なら他家にも見受けられたから、さしておかしな話でもない。
義父は縁談を持ち込もうとしていたあちこちの家への謝罪を避けられずに走り回ることになった。子供たちが親の知らぬ間に愛を育てていたと。相手方も鷹揚に謝罪を受け入れた。傷物の令嬢は遠慮したいところであったろうし。もれなく義父に親として監督不行き届きという評判が立ったのは気の毒でもあったが、義兄の育て方に責任はあるのだから甘んじて受けて欲しい。
ところで。この結果を密かに私と母は手を取り合って喜んだ。
義兄といえば家族枠で恋愛対象ではなかったものの、ずっと他人の距離であったことで、私自身も驚くほど抵抗感がなかった。いささか問題の多い相手でもあるが、それはこれから矯正していけば良いだけの話。
そしてこの婚姻が結ばれれば、私たち母子は離されずに済む。納得尽くであったとはいえ、やはり見知らぬ他家との政略に使われ、その先にどんな生活が待っているのか分からないというのは不安しかなかった。それが、住み慣れた家にそのまま暮らせて、やがて母の仕事を引き継げばよいとなれば。ずいぶんと気楽な話になる。母にしてもいずれ義息の嫁に見知らぬ令嬢を迎えることへの不安はあったようだ。それらすべての不安が解消されるのだから。一人割を食った義父が気の毒なので、あくまでも密かに喜ぶに留めたが。
婚約が成って、晴れて義兄から婚約者となったアンブロシオ様は、これまでの無関心は何だったのかと問い詰めたくなる程に私に夢中な恋人になった。
「エルミニア」
私を呼ぶ声は甘い。
けれど私は忘れてはいないのだとの想いを込めて、時折彼をこう呼ぶのだ。
「何でしょう、お義兄様?」
十年前の事件について。本編と違ってハードな悲劇。ちょっとエグイかなあと思うので内容は活動報告の方に裏設定として記載しました。もしくは、お好きにご想像ください。
エルミニア(16)主人公。ベビーピンクの髪にブルーグレイの瞳。子猫か妖精みたいな儚げかつ愛らしい容姿。背も低め。怒っても睨んでも迫力はない。しかし中身は現実的な努力家。優秀な美形の義兄が豹変して、年齢相応にときめきはするが、相手の歪さを今後はばしばし矯正していく所存。
アンブロシオ(19)エルミニアの義兄。プラチナブロンドの髪にアクアマリンの瞳。美人系の美形。エルミニアが小さいだけで身長は普通。関心のないものは目に入らず記憶にも残らないタイプ。数多言い寄る女性もまったく目に入らず無視状態だったのに、夜会会場でのエルミニアだけが目に飛び込んできた。実はこれが初恋。美形だからって手が早いのが許されると思うなよ。こいつを擁護する気は作者にもまったくない。これからエルミニアに尻に敷かれる(確定)。
ロンゴリア侯爵カリスト(39)野心家の大臣。前妻を亡くして家が荒れたのもあって再婚。家族にも冷徹だが、現在の妻と義娘の努力は評価している。まさかの自慢の嫡男に予定を狂わされるが、近い将来孫に骨抜きにされる模様。
ロンゴリア侯爵夫人クラリーサ(33)エルミニアの実母。以前は子爵夫人で実家も子爵家。前夫亡き後、跡継ぎの男子を産んでいないからと婚家を追われる。そちらの家は前夫の弟が継承。縁あってロンゴリア侯爵の後妻となるが、高位貴族夫人としては足りないものが多いと、娘と共に学習に邁進。周囲にも認められるように。低位貴族の生まれながらその美貌は知られていた。ガッツがあり情も深いいい女。