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2-18 ネコ峰さんと呼んでみた

交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を2章18話を投稿させて頂きました、赤髪とバトルと主人公が大好きな作者です。気も好きです、ネコ峰さんも好きです、アハッフンも好きです。

 高峰さんも俺が落ち着いてきたのが分かったのか、話題を逸らすように


「そう言えば、拓斗君って不思議な力を使うけどあれは何?」


 と少し緊張しながら質問してきた。

その様子は普段の高峰さんの様子とは少し異なっている。

緊張の他にやや申し訳なさが含まれている感じ。

圭さんに俺の力の出所を探るようにでも言われたのだろうか。


 まったく、隠し事が下手な人だな。もっと自然に聞けばいいだろうに。

だが、逆にそれがこの人の魅力の一つなんだろう。それを見ているうちに怒りの感情はすっかり消え失せる。

だから、正直に話す。


「そうですね、信じられないとは思うんですが、ある日光る球が俺の中に入って来て、そしたら使えるようになった感じですね。」


 実際誤魔化しても良かったのだが、この人には何故か素直に答えたいと思ったのだ。


「そっか、不思議ね。」


 すると、予想外にも高峰さんはそんな答えを返す。

普通そんなこと言われても最初は疑うだろう。

俺だったら、ヤバい、こいつ中二病仲間だ!って絶対思うのに。


「疑わないんですね。」

「そうね、確かに不思議な話だけど、拓斗君が言うならそうなのかなって思ったのよ。」


 高峰さんは静かな口調で綺麗な紅の瞳を俺に向けながら言う。そこには確かに一片の疑いも無いようだった。

照れくさくなった俺は思わず後頭部をかいて明後日の方向を向く。

頬が赤くなったのは気付かれなかっただろうか。


「そ、そう言えば高峰さんも不思議な力を使いますよね。攻撃の時に拳に揺らめいていた力。」

「あ、やっぱり拓斗君には見えてたのね。そうね、あの力は『気』よ。良くテレビとかアニメにもあるでしょ。仙気とも霊気とも言うけれど、自然から力を吸収して体内で収束・運用しているの。そうすると爆発的に身体能力がアップするのよ。獣人形態になるとそう言ったものも感じやすくなるの。」


 そう言って、高峰さんは拳を見つめ一度グーパーしている。


 恐らく嘘は言っていないだろう。

高峰さんの話であれば『気』は身体強化がメイン。

であれば模擬戦中の不穏な感じ、あれは、『気』による精神系の攻撃ではないということか。

ではあの感覚はやはり俺の内側から来たもの・・・。

ダメだ、これ以上は分からん。後日検証だな。

しかし、『気』か。魔力と違い外部からエネルギーを取り込めるなら無限運用も可能かもしれない。

そんなものが感じ取れるなんて正直羨ましい。

そう思い、


「へー、ネコ峰さんってすごいですね。」


 俺は思わず感嘆の声を上げてしまった。だが、これがいけなかった。


「ん?ネコ峰さん?」


 それを聞いた高峰さんの眉がつり上がる。


「ねえ、拓斗君。まさかネコ峰さんって獣人形態の私の事じゃないわよね?」


 高峰さんの朱色の髪が逆巻き、紅い目がつり上がっていく。先ほどの穏やかな雰囲気とはかけ離れていく。


 背後から『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』と言う効果音まで聞こえてくる。

俺は本能的に身の危険を感じる。

ヤバい、これはマジでヤバい。


「ア、アハハ、アハハ、アハッフン。」


(しまった、噛んだ!?)


 言い訳を言おうと思ったのに、言葉が続かない。

冷や汗が背筋を伝い、体が痙攣する。もはや怒れる猫の前に差し出された哀れな鼠だ。

高峰さんは馬鹿にされたと思ったのかさらに怒りの形相になっていく。

頭からはネコ耳ではなく大きな角が生えている気がする。


「ねえ拓斗君?これからバディを組むんだからしっかりした教育って必要だと思うわよね?」


 ベッドの上の高峰さんはそのスマートな両足をベッドサイドから下ろし足を組む。

健康的な太腿が目に眩しい。


 そして、紅い紅い、燃える様に紅い瞳で俺をねめつけてくる。

これはもはや何を言っても無駄であろう。愛想笑いを浮かべるしかない。

俺は諦めて、


「あー、あはは、お手柔らかに?」


と項垂れる。

そして高峰さんは、怒りのオーラを纏ったまま、とてもいい笑顔で、びしっと床を指さしながら、


「拓斗君、正座!!!!!!」


 そう告げるのだった。


 そこから3時間、俺は硬いリノリウムの床に正座し、みっちりとご指導ご鞭撻を受けたのだった。


************************************


 痺れる両足を引きずって帰宅。

疲れ果て、俺はそのままベッドにダイブした。


(ああ、疲れた。)


 そして、そのまま目を閉じる。

俺の意識はそのまま深い闇に沈んでいき・・・・・・


 その夜、俺は夢を見た・・・・・・


 それは赤い赤い赤い夢。全てがひび割れ乾いた世界。

その世界はだたひたすらに憎悪と憤怒に満ちていた。

そんな救いようがない世界の夢。

そこで俺は・・・・・・・・・。



 その夢は、窓から差し込む朝日によって泡の様に記憶から消えてしまうのだった・・・・・・。

まずはこの話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。ネコ峰さんになら怒られてみたい今日この頃。ちょっとフラグを入れてみました。今後徐々に明かされていきます。気になる方は続きを読んで頂ければ幸いです。

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