2-15 模擬戦 VS ノーマル峰さん
交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を2話を投稿させて頂きました、赤髪とバトルと主人公が大好きな作者です。模擬戦も好きです、くっ殺も好きです、舞い踊る髪も好きです。
いつも読んでくださってる方、新しく読んでくださってる方、ありがとうございます!!
今日から題名を変えてみました。よろしくお願いします!
「フハハハハハハハハハは、我は理不尽に抗うもの。ここからは深き闇の時間だ!!!」
ドドン!!!!
そう大声で宣言する。
さらには俺の後ろにダークマテリアライズで効果音も表示する。
高峰さんだけではない。圭さんも東雲さんもその様子を見て唖然として言葉も出ない。
『フハハハハハハハハハハハハ、決まった。』
心の中で自分に拍手喝采を浴びせる。うむ、満足。練習したかいがあった。
いい気分でそんなことを考えていると、高峰さんが遠慮気味に、
「あー、えーっと。うん、いいと思うよ。」
そして、それに追従するように圭さんが、
「・・・・・・そ、そうだ、そうだな。男の子の憧れみたいな変身だった。」
引き攣った笑顔で拍手をし、東雲さんが
「・・・・・・個性的でいいと思います。」
切れ長の目に困惑を浮かべて眼鏡を直す。
最後にまた高峰さんが、
「うん、中二病っぽくてとってもいいと思う。」
と目を泳がせながら言ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は悟った。ああ、これはイタい人を見る時の眼だ、と。
そして俺はその場に膝を着いて崩れ落ちる。
「っく、殺せ。」
思わず悔し気な口調で需要が無い言葉を発してしまう。
言った後に後悔する。これは高峰さんにこそ似合いそうなのに・・・。
それから数分。俺は高峰さん達に慰められ、何とか立ち上がり戦闘開始位置に辿り着く。
くっ、心が重い! なんてダメージだ!!
戦闘が始まる前に既に心理戦と言う戦いが始まっていたのか。
既に俺のMPゲージはレッドゾーン。心の中でミニ拓斗君が血反吐を吐いている。
そこへ、
「大丈夫、拓斗君?」
高峰さんが心配そうな表情で聞いてくる。その顔は、重病人を見る時のそれだ。
今はその優しさが辛い。
重症中二病は薬では治らないんです!!
俺は、もはやヤケクソになって大声で叫ぶ。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハ。いつでも来いや!!!!!」
開始線の上で両腕を広げ、魔力の渦を吹き上がらせる。
それで高峰さんもスイッチが切り替わったようで、
「それじゃ、行くよ!」
その宣言と共に戦闘が始まったのだった。
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空気が緊張をはらみ、ピンと張り詰める。
高峰さんがその紅の瞳を戦意に染めて見つめてくる。
深いルビーの色をした綺麗な眼。その中に隠しきれない興奮が見て取れる。
空中で俺の目線と高峰さんの目線が交差する。
直後、高峰さんは足に力を入れ思いっきり俺の方に突っ込んでくる。
そのしなやかな動きは野生の肉食獣の様だ。
美しい紅の瞳が光の線を引くように走る。
右、左と軽くステップとフェイントを入れながら、高峰さんはボクシングの構えの様な姿勢で俺に肉薄する。
「フッ」
高峰さんが短く息を吐く。まずはジャブ。
ヒュッ!!
素早い左拳が俺の顔面目掛け飛んでくる。
俺はそれを目で見てから避ける。高峰さんのジャブが俺の髪を掠る。
確かに早い。
戦闘が得意と言うのもあながち嘘ではなさそうだ。その辺の暴漢くらいなら難なく返り討ちに出来るだろう。
だが、それは一般人レベルの話。
あのスピードでは絶対に俺には当たらないし、先日の亡者達レベルの相手であっても攻撃を当てるのは難しいだろう。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ
空気を裂く音が響く、
数度の攻撃。ジャブ、ストレート、フック。
そのいずれも素早く、何よりも研鑽された技術が見えた。
しかし、今の俺にはスローモーションの様に見える。
避ける、避ける、避ける。
ここまで差があると少し申し訳ない気分になってくる。
高峰さんもそのことが分かったのか、一瞬悔しそうな表情をした後に、すぐにバックステップで後ろに下がる。
「やるわね、拓斗君。強いだろうとは思っていたけど、まさかここまで差があるとは思わなかったわ。」
「フハハハハハハ、汝もよく鍛えているな。その拳はまるで風の様に鋭い。」
俺は素直に称賛を送る。
だが、俺の言葉を聞いた高峰さんは目泳がせ、
「え、えっと。拓斗君もすごいわね、その言動も含めて。」
なんて言ってくる。
っく、直接攻撃が当たらないと見て精神攻撃に切り替えてきたか。なかなかやりおる。
ボディーブローがミニ拓斗君の腹に拳がめり込む。これは後々効いてくるやつだな。
すると高峰さんの雰囲気が変わった。先ほどよりもさらに張り詰めたように。
そして、
「でもね、私だってまだまだこれからなのよ。」
高峰さんは構えを解き、じっと集中するように目を閉じる。
空気の密度が変わった、そんな錯覚を覚える。
途端、高峰さんを中心に赤い魔力のようなものが立ち昇り、収束していく。
渦巻く赤い風。魔力とは違う力の流れを感じる。
鮮やかな朱色の髪が風で舞い踊る。美しい。
「はあっ!」
高峰さんが気合を入れた声を出す。
そして数瞬後、そこには先よりもはるかに圧力を増し、姿を変えた高峰さんが立っていた。
まずはこの話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。始まりましたノーマル峰さんとの戦闘。え、ノーマルがあるならノーマルじゃないのもあるんですかって?気になる方は続きを読んで頂ければ幸いです。




