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2-14 ちょっと表出ろや

交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を2章14話を投稿させて頂きました、赤髪とバトルと主人公が大好きな作者です。ツーマンセルも好きです、挑発してくるお姉さんも好きです、バトルも好きです。

「狂華のトップは王という名を継承しているんだが、その王が、どうも今回この街に来ているようなんだ。」


 圭さんは両手を組んで深刻そうな表情を作る。

恐らくその王と言う人物は相当に危険なのだろう。


「今代の王は狡猾で狂暴な男だ。力を示すことに溺れ、周囲に不幸と破壊をまき散らす。だが一方でとても用心深く、普段は幹部の前にしか姿を現さないという。そんな奴が今回この街を訪れているんだ。それだけでも今回の件は異常だと判断せざるを得ない。」


 俺はごくりと唾を飲み込む。想像以上にヤバそうなやつだ。

もしそいつらのせいで美桜やツグミ、それに家族に危険が及ぶとしたら、それは決して許してはおけない。

拳に思わず力が入る。わずかな情報も聞き漏らさまいと、圭さんの顔をじっと見つめる。


「でだ、先ほども言ったが、君に協力してほしいのは情報収集だ。

俺達の組織ではリスクも考慮して必ずツーマンセルで動く。しかし、人手が足りないため現状それも難しい。だから君には高峰と組んで街で情報収集をして欲しい。それに、地元民に協力してもらった方が自然に調査が出来るだろ。」


 高峰さんがこちらを見て軽く頷いてくる。俺のことを頼ってくれているのだろうか、ちょっと嬉しくなる。この人一緒ならきっと大丈夫だ。

そう思っていたところに、


「ちなみに先日、高峰を襲っていた奴らは狂華の末端の末端で大した情報は持ってなかった。」


 圭さんがそんなことを言った。その途端、高峰さんの様子が変わる。あの時の怒りを思い出したのか、髪が揺らめき、目には剣呑な光が宿る。

 まさか、さっきの頷きは『よろしく。』ではなく、『ちょっと表出ろや。』ってことだっだの!?

俺が縮み上がっていると、高峰さんは、


「本来であれば、あそこから上役を引っ張り出す予定だったのよ。それを全く。」


 と、ため息をつく。だが、すぐにその怒気も霧散して、


「でも、拓斗君は純粋に私を助けようとしてくれてたわけだし、そのことはもう怒っていないわ。ちょっと悔しいとは思っているけどね。」


こちらに苦笑いを向ける。良かった、許してもらえてはいるようだ。

殺気の怒り、間違った。さっきの怒りは、俺に対してでは無くて、情報を引き出せなかったことに対する怒りだったらしい。

その様子に圭さんも苦笑いを浮かべている。


「それに本来であれば、高峰にその手のサポートはあまり必要ない。これでも高峰の戦闘力は特別対策室の中でもトップクラスだからな。」

「そうそう、さっきも言ったんだけど、私結構強いんだから。」


 高峰さんは圭さんに褒められて機嫌が直ったのか、車の中と同じようにその大きな胸をプルンと張る。

 ありがたやーと心の中でサクランボ頭のミニ拓斗君が拝んでいる。

こら、今はまじめな話をしているんだからサクランボ拓斗君は引っ込んでいなさい。

俺がサクランボ拓斗君をパック詰めしていると、圭さんが提案をしてくる。


「そうだ、もし良かったら、二人で模擬戦をしてみないかい。拓斗君も不思議な力を使うようだし、バディを組むならお互いの力は分かっていた方がいいだろ。」


 ちょっと唐突だな。

俺の能力を計ろうとしている?

それに、模擬戦自体は悪いことではないが、高峰さんに怪我をさせる可能性もある。

俺は難色を示そうとするが、その直前、


「いいわね。あの時、私も本気を出してなかったとはいえ、拓斗君は私から簡単に逃げ切って見せたんだもの。それにあの時の身のこなし、ぜひ一度手合わせをしてみたいわ。」


高峰さんはそう言って、胸の前で掌と拳をパンッと合わせる。

この人、意外に脳筋だな。これは、一度戦っておかないと納得しなささそうな雰囲気である。


(それに俺としても、高峰さんの実力を把握しておくのは悪いことではないか。)


そう思い直し、


「いざという時に、助けに入る必要があるかもしれないしな。」


呟く。だが、その声は高峰さんの耳に届いてしまったようで、


「ふーーん、言うわね、拓斗君。そんなに自信があるんだ。ふーーん。それなら、もしお姉さんが負けたら何でも一つお願いを聞いてあげるわ。」


 燃えるような深紅の瞳でこちらを見つめてきた。やはりその瞳は炎の様に綺麗だ。

だが、なるほど、そこまで言われては俺も引き下がれない。意地があんだろ、男の子には!


「いいですね、じゃあ僕が負けたら高峰さんのお願いを叶えましょう。」


 俺も挑発的な視線を高峰さんに向ける。

お互いの視線が交わり、空中で火花が散る。


「若いっていいねー。それじゃ、地下に訓練場があるからそこで手合わせと行こうか。」


 圭さんの号令で、俺達は4人連れだって地下訓練場へ向かったのだった。

まずはこの話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。この章は1章に比べると戦闘パートが多いです。気になる方は続きを読んで頂ければ幸いです。

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