2-5 見ーつけた
交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を2話を投稿させて頂きました、赤髪とバトルと主人公が大好きな作者です。ポテトも好きです、ジュースも好きです、コーヒーも好きです。
放課後。その頃には頬の赤みは引き、痛みもすっかり取れていた。
痛みが引くとお腹がすいてくるものである。
実際、今日の朝と昼は頬の痛みのせいで中々食事が進まなかったのだ。
俺は教室でバッグに教科書を詰めながら二人に聞く。
「なあ、美桜、ツグミ。今日は皆で駅前イ〇ンのフードコート行かないか?」
「どうしたの急に?」
「いやさ、俺今日、頬の痛みがあったからあんまり昼ご飯食べられなかったじゃん。だから少し何か食べたいなって。」
言ってお腹を押さえる。お腹からタイミングを読んだかのようなグ~~~という音が鳴る。
マイストマックよナイスフォローだ!
美桜は少し考えた後、
「そうだね、私も今日は演劇部休みだし、せっかくだから行こうかな。」
そう返し、ツグミも
「いいよ。拓斗授業中もお腹の音鳴ってたもんね。」
とクスクス笑う。
やったぜ、無性に山盛りポテトが食べたかったんだよね。
それぞれの同意が得られたことで、俺達はバッグを持ち上げ、駅前のイ〇ンに向かったのだった。
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フードコートは中々の賑わいだった。
ちょうど帰宅時間に被っているからか、多くの学生達が思い思いに会話に花を咲かせている。
そんな中、俺達は何とか席を確保し買ってきたジュースとポテトをつまむ。すると、
「そういえばさ、今度の学期末テスト、どう?」
美桜がストローを口に咥えながら訊ねて来た。
ストローの端がピコピコ上下に揺れて、思わず目で追ってしまう。
「そうだなー、あんま自信ないけど、まあいつも通りって感じかな。」
むしゃむしゃ、ポテト美味しい。
俺がそう答えると、ツグミもコーヒーから口を離し、
「僕もいつも通りかな。」
と返してくる。
ツグミの吐息が漏れる。その様が妙に艶めかしい。
「いやいや、ツグミ君のいつも通りって、学年トップクラスって事じゃん。」
「そうだぞー、ツグミのいつも通りって、俺らとレベルが違うからな。」
「そんなことないよ。まあ、勉強は少しだけ得意なだけだから。」
ツグミは困った顔をして、両手で持った紙コップをクルクル揺らす。
中に入ったコーヒーも合わせて揺れる。
こいつの場合、本当にさらっと学年トップクラスの成績を取ってくるからな。普段俺らといる時は勉強している素振りなんか見せないのに。
多分、頭の中のメモリーカードが俺の数世代上なのだろう。
すると、美桜が咥えていたストローをグラスに戻し名案とばかりに顔を輝かせて言ってくる。
「そしたらさ、皆で勉強会しない?」
「勉強会?」
俺はポテトに手を伸ばしながら怪訝な顔で尋ねる。
「そう、勉強会。私と拓斗は出来るだけ頑張るようにして、どうしても分からない時はツグミ君に聞くってのはどう?」
「でもさ、それじゃツグミにメリットが無いじゃん。」
「そこはほら、普段の部活の時に恩返しをするってことで。」
「むしろいつもツグミに世話になってるじゃん。」
俺は自分がツグミにしてあげられることを考える。
えーと、ジュース買ってくることでしょ、お菓子買ってくること、それと借りていた本を代わりに還しに行くのと、肩を揉むぐらいか。
ん?あれ?これって手伝いって言うより、パシ・・・・。いや、考えるのは止そう。
俺が思考の渦に呑まれていると。
「いいよ、勉強を教えるぐらい。」
ツグミは爽やかに微笑む。
後ろに大仏様が見える。南無南無~。
俺の脳内ではデフォルメされた可愛らしいツグミ大仏様が、
『僕を信じて着いてきてね♪』と仰ってくる。
なんて神々しい。
そのままツグミ大仏様に両手を合わせ、涙を流し五体投地で拝み倒す。
ありがたや~。
「じゃあ、細かい日にち決めようか。」
美桜がそう言ったところで突然、
「ああーーーーーーーーーーーー、やっと見つけたわ。」
よく通る声がフードコートの入り口の方から響き渡ってくるのだった。
まずはこの話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。ついに拓斗君が見つかっちゃいました。気になる方は続きを読んで頂ければ幸いです。




