1-36 Side 美桜 気付いた気持ち
交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を36話を投稿させて頂きました、中二病と無双と困難に立ち向かう主人公が大好きな作者です。恋も好きです、愛も好きです、鯉も好きです。
そんな中、突然私の中にもう一つの魂が入ってきた。
それは月の煌めきを宿したとても綺麗な色をした魂だった。温かく、優しい。
その魂はそのまま私の前に来ると、一人の黒目黒髪の綺麗な女性の姿に成った。
「助けに来たよ。」
その声を聞いて、私は安心して涙が出た。
その人はルナさんと名乗った。
ルナさんは私に寄り添ってくれた。
だから私は今までのことを話した。攫われてから、神様に守ってもらっていたことを。
ルナさんは少し考えた後、神様と何か話して、そのまま私のそばに居てくれた。
その頃、ちょうど体の外でも変化があったようだ。神様が誰かと戦い始めたみたい。
伝わってくる焦燥、悲しみ。だけど神様の中には憎しみの感情は無くて・・・。
突然、力強い闇色の光が私の中に入ってきた。
とても懐かしい、私が守ってあげなきゃと思っていた人の熱を感じる。その光に触れて何となく分かった。
ああ、これは拓斗なんだって。
私を助けに来てくれたんだって。
私が護らなきゃって思ってた人は、いつの間にか私を護ってくれる人になったんだって。
必死に戦う拓斗の姿が見えた。
その途端、胸の奥がトクンッとなって、体がカッと熱くなる感じがした。それはとても熱くて、でもとても心地よくて。
闇色の光は神様だけに影響したようだった。
その光に触れた途端、神様の魂がさらさらと桜の花びらの様に崩れていく。その様子は綺麗だったけれど物悲しくて。
私は思わずその欠片に手を伸ばした。掌に舞い落ちた一片のかけらがスッと私の中に染み入ってくる感じがある。
私はそっとその手を胸の中に抱き寄せる。
大事な宝物を扱う様に、繊細な心を包み込むように。
だって、それはあの神様が私にしてくれたことだから。
そうして、どれぐらい経っただろうか。
今度はルナさんの魂が私の中にそっと入ってきた。それと共に私は感じる。
ルナさんの記憶と感情を。それはとても悲しい過去だったけれど、この人は最期まであの男の人を愛していたと知った。
あの孤児院で過ごせて幸せだったと知った。
その感情が伝わり、私はそっと涙を流した。
それはとても尊いものだったから。
それから程なく、私は自室のベッドの上で目を覚ました。
何となくだが、朦朧とした意識の中で最後にお父さんの声も聴いた気がする。その声は私の妄想かもしれないけれど
「幸せになりなさい、美桜。大好きだよ。」
そう、言っていた気がする。
混乱する頭で考える。先ほどのことは夢で、私は動物園から普通に自宅に戻ってベッドで寝ていただけではないかと。
でも、違った。
私の格好は動物園に行ったそれとは違っていたし、何より私の胸の中心にルナさんの魂と神様の欠片を感じる。
二人とも特に何も言っては来なかったけれどそれは確かに私の胸の中にあった。
眼を閉じ胸に手を当てて理解する。あれは現実にあったことなんだと。
魂がそう覚えている。
そこで私は最後の闇色の光のことを思い出し、拓斗の顔を思い浮かべる。
そして顔がぼっと赤くなる。
心臓が早鐘の様にドキドキ脈打って、頬も火照る。
「なんだろこれ。何なのさ。」
いや、分かってる。あの時の拓斗はすごく格好良かった。
私を救うために必死になって、あんなに怪我までして。
私はあの時、拓斗に恋をしたのだ。
それを自覚した途端、さらに顔が熱くなる。
私は火照った顔を覚ますために階下に降り、顔を洗いぼーっとしていた。
今まで弟みたいにしか考えていなかったのに、今は拓斗の顔を思い浮かべるだけで動悸が治まらない。
私がクッションを抱いて悶々としていると、お母さんが帰ってきた。
お母さんは私を見ると、涙を流し抱き着いてきた。きっと不安だったんだと思う。
お父さんが亡くなってようやく整理がついてきた時に今回の事件だ。
「ごめんなさい、お母さん。心配かけて。」
そう言って背中を擦ったら、お母さんは抱きしめる力をさらに強くしてしゃくりをあげて泣いてしまった。
「お母さん、大好き。」
私は万感の思いを込めて、お母さんを抱きしめ返した。
その後は警察や病院を回り、GW明けの学校。
まずは36話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。美桜ちゃんが自分の恋心に気が付きました。書いていてドキドキします。美桜ちゃんsideの話はあと一話続きます。気になる人は続きを読んでいただければ幸いです。




