1-33 エピローグ①
交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を33話を投稿させて頂きました、中二病と無双と困難に立ち向かう主人公が大好きな作者です。家族愛も好きです、上げて下げてが上手なお姉さんも好きです、スライムも好きです。
「ああーーーー、疲れたーーーー。」
GW明けの本日、授業が終わり俺は盛大にため息をつく。
休み明けの授業ってなんでこんなに辛いんだ。
これはあれだ、「働いたら負けだ」の精神で学校を休むか、それとも「諦めたらそこで試合終了」の精神で頑張るべきか、非常に迷うところだ。
個人的には働いたら負けだを採用したいが、あの太っちょで髭の先生へのリスペクトも無下には出来ない。
そんなくだらないことで真剣に悩んでいると。
「拓斗―、部活行こうよーー。」
黒髪黒目の可愛らしい少女が、太陽のような眩しい笑顔を俺の方に向けていた。
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エプタが去った後、俺はしばらく周囲を警戒し安全なことを確認してから、美桜をお姫様抱っこで抱えながら街に戻った。
戻った俺は、まずは初めに美桜を自宅に戻すことにした。
美桜の部屋の窓からこっそり侵入し、そのままベッドに寝かせ、最後に布団を掛ければ完璧だ。
そう。脳内シミュレーションでは拓斗君は完璧な仕事が出来るはずだった。
幸い美桜の母親はまだ警察に居るのか帰って来ていないし、無人の家のセキュリティなど闇の魔術を使える俺にとっては赤子の手を捻るよりも簡単に突破できる。
残念ながら動物園に行った時の私服は回収できなかったが、それでも美桜を自宅に戻すのぐらいは容易い。
だから油断していた。
俺は美桜をベッドにそっと寝かせ、布団を被せようとしていた。
とても可愛い寝顔だったし、無防備なその様子にぐっと来たのも事実だ。
だが言わせて欲しい。あれはワザとではない、決してワザとではないのだ。
俺が布団を掛けようとしたその瞬間に美桜が寝返りを打ったのだ。
その結果、俺の肘は美桜の柔らかい双丘にぽよんっとヒットした。そう、ヒットしてしてしまったのだ。
繰り返すがワザとではない。
俺はそのことを理解した瞬間全身が石化した様に固まり、脳内では
『柔らかかった?うんとっても柔らかかったね。ぽよんとしてた?うん、ぽよんとしてたよ。ぽよん、ぽよん、ぽよん、ぽよん。』
と大量のスライムが盆踊りの様相でぽよんぽよんと跳ねていた。
その内、スライム達が肌色に染まり始め・・・
「うーーん。」
一気に現実に引き戻される。
美桜が起きかけている。
やばい、赤くなった顔を思わず腕で隠し、急いで窓から脱出したのだった。
病院に戻る頃には夜の1時を過ぎており、正面玄関は施錠されていたため、救急患者の出入り口から中に入った。
入口の守衛さんに声をかけ、昨日の動物園の事件で入院したこと、どうしても外せない用事で外出していたことなどを話し、病棟のナースさんに連絡を取ってもらった。
ナースさんは大層お怒りになって、ナースステーションで1時間ほど説教を受けた。
その頭には角が生え、後ろには閻魔大王様が見えるようだった。
『正直、黄泉の亡者より怖いぃ。』
と思ったが、それは口に出さず大人しく反省することにした。
そして、お説教が終わった後に伊邪那美命との戦闘で負った火傷の件を相談したら、
「なんでそれを先に言わないの!」
と言ってまた怒られた。ただ、その後はとても優しく丁寧に火傷の処置をしてくれて。
「学生の時は無茶したくなるのも分かるけど、ちゃんと自分を大切にしなさいよ。家族には上手いこと説明しといてあげるわ。」
と、軽く額を小突かれた。
下げて上げてが上手いお姉さまである。あと10年若ければ惚れていたかもしれない。
けれど、それを言うとまたお説教になりそうだったので、やめておいた。
そしてお説教を受けている間、俺は先に飛ばしておいた使い魔を通して美桜の様子も観察していた。
俺が去って間もなく、美桜は目覚めた。
その様子は少し寝ぼけているようで、数分胸に手を当て何かを考えこんでいるような仕草をしていたが、その後の動きはテキパキしていた。
最初に自分の服が違うことに気付いた美桜は怪訝そうな表情をした後に自室用のパーカーに着替えた。
なおこの間、使い魔の映像はoffにしました。
いくら家族の様に思っていても最低限のTPOは弁えている。
そして、その少し後に美桜の母親が帰ってきた。
美桜の母親はすっかりやつれた様子だったが、美桜を見ると両手で顔を押さえ、涙を流し、そして美桜に抱き着いた。
美桜は少し困った様子だったがそのまま母親を抱きしめ返していた。
美桜を無事に家に帰せて本当に良かった。
その後母娘で話し合いが持たれた。
窓越しだったのではっきりとは分からなかったが、美桜は動物園でスィスィアが現れて以降の記憶が無い様だ。
目覚めたら自宅に居たと。
美桜の母親は美桜が攫われたという客の証言を受け、警察に捜索依頼を出し動いていたとのことだった。
美桜の母親はそこで不安を思い出したのかまた涙を流していたが、美桜がそっと寄り添って背中を擦っていた。
俺が見たのはここまでであるが、翌日美桜は母親とともに病院と警察を訪れ、精密検査の結果、晴れて異常なしの結果を頂き、捜索願も取り下げたのだそうだ。
なお、美桜は警察の事情聴取も受けたとのことだが、事件中の記憶が無く被害者側だったため大した取り調べもなく開放となったそうだ。
まずは33話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。ここから2話はエピローグになります。エピローグの後は美桜ちゃんsideの話です。気になる人は続きを読んでいただければ幸いです。
引用:
「働いたら負けだ」:どこかの誰かのインタビュー
「諦めたらそこで試合終了」:スラムダンク




