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1-31  世界の真実①

交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を31話を投稿させて頂きました、中二病と無双と困難に立ち向かう主人公が大好きな作者です。物語の終盤も好きです、フラグ回収してくれる人も好きです。

俺は伊邪那美命の最期を思いながら美桜を抱き上げる。

その顔はとても安らかで、今まであった激闘など嘘のように静かに寝息を立てている。


その寝顔を見て、とても幸せな気分になると共に、俺の中にはようやく大切なものを取り戻せたんだという実感が沸々と湧いてくる。


そんな感慨にふけっていると、



パチパチパチパチ



暗闇の中、乾いた拍手の音が不気味に響いてきた。

俺は緩んでいた気を瞬時に張り直し、その方向に警戒を向ける。


「いやいや、本当にすごいのです。まさかあの常闇の女王を撃破してしまうなんて流石私の友達なのです。」


森の奥、その暗がりから滲み出るように一人の男が手を叩きながら現れる。

しわくちゃで薄汚れた白衣、くすんだ金髪に濁った金眼。その金眼は闇の中で煌々と輝き狂気の光を宿している。

その男は、この事件の元凶であるエプタであった。


「貴様、生きていたのか。」


俺はエプタをきつく睨めつける。

体は既に満身創痍。正直少し動かすのでも辛い。

しかし、エプタが美桜を襲うなら全力を持って迎撃する、その覚悟を固め、美桜を強く抱きかかえる。


「ええ、生きていたのです。拓斗君。」


一方で、エプタは片手を口に当てケタケタ笑っている。

その笑いに嫌悪感がせり上がってくる。相変わらず気味が悪い。

だが、気になることもあった。


「なぜ俺の名前を。」

「これは失礼。先ほどの常闇の女王との会話を聞かせてもらっていたのです。」


エプタは悪びれず宣う。

しかし、それならばあいつは近くに居たのか、あの戦闘の中、俺達に気付かれずに。

そう理解すると背中に冷や汗が滲み、思わず毒づく。


「下種が。」

「しかしですね、友達の名前ぐらい覚えないと失礼と言うものなのです。」

「貴様と友になった覚えなどない。」

「そんな、ひどい。こんなにおしゃべりしているのに友達じゃないなんて。やはり人間との会話は難しいのです。」


よよよと、悲しそうに右手を目元まで持っていくが、その顔にはやはり歪な笑顔が張り付いたままだ。


「貴様、なぜ俺の前に現れた。」

「それはですね。事の顛末を見届けたかったのと、頑張った拓斗君にご褒美をあげないとと思ったからなのです。」


泣き真似をしていたエプタは一転、両手をバッと広げ抱き留めるような姿勢をとる。

それは教師が良く出来た生徒を受け入れようとする時の様子に見えないことも無いが、

いかんせんケタケタ笑うエプタの存在が不気味すぎて、捕獲用の罠にしか見えない。

誰があんな危険な奴のところに飛び込むものか。いちいちリアクションが大きい奴め。

あれ、でもその感想は俺にもブーメランになるような気が・・・。いかんいかん、思考が脇道に逸れた。


だが、実際エプタが俺に何を与えるというのだ。

こいつの事だ、どうせ碌でもないものに決まっている。

俺はいかにも訝しいといった様子でエプタに聞き返す。


「ご褒美だと?」

「そうです、ご褒美です。友達はgive-and-takeでしょ?だから、」


そこでエプタは一呼吸おいて、


「拓斗君の知りたいことを何でも答えてあげようと思ったのです。」


そう言ってエプタはケタケタと笑うのだった。

まずは31話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。伊邪那岐命さんを倒したと思ったら、最後に変な奴が出てきました。白衣の科学者は何を語るのでしょうか。気になる人は続きを読んでいただければ幸いです。

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