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1ー22  黒の世界③

交差羽です。『中二病スキルで全てを救う』を22話を投稿させて頂きました、中二病と無双と困難に立ち向かう主人公が大好きな作者です。起こっているルナさんも好きです、頭ポンポンも好きです、照れているルナさんも好きです。

そんなこんなでliberリベルに記載された闇の魔術をほぼ習得し、

演技力も完璧だと自信を持って言えるようになって間もなく事件が起きた。


孤児院に大臣が訪問してきた。


目つきが悪く、病的なほど痩せたその男は王国の財政を管理する大臣らしい。

そしてその大臣は言った、


「光の精霊の加護をロクに持たないものに与える金や食料は無い。援助は打ち切らせてもらう。」

と。

実際、孤児院には多種族とのハーフや、他国からの来たスキルを持たない子供達が集まっていた。


先代国王から最近代替わりをした新国王は、元から評判が悪い男であったが、自分の贅沢を行うために孤児院への援助の打ち切りに踏み切ったそうだ。

以前戴冠式で見たその男の腹はでっぷりと太り、顔にも贅肉が張り付いていた。当然院長は


「光の精霊の元ではみな等しく平等であれ、精霊様のその願いを汲んでいただきたく存じます。」


と訴えたが、大臣は、


「そんなものは何の価値も無い。」


と一顧だにしなかった。

しかし、給仕をしていたルナ現れるとその表情をポカンとさせた後にイヤらしい笑みで、


「だが、私も鬼ではない。そちらの女、名を何という。」

「ルナです。」ヨミは簡潔に答えた。その表情にはわずかに嫌悪感がみられたが、すぐに押し隠す。

「ルナと言うのか。良いだろう、貴様が私のところに奉公に来るのであれば援助は継続しようではないか。なに、悪い話ではあるまい。援助も続けられ、奉公により金も得られる。良い条件だと思うがな。」


奉公とは言っているが、何を狙っているか、それは大臣の獲物を見るようなねっとりとしたイヤらしい視線を見れば一目瞭然だった。


「ご配慮ありがとうございます。しかし、」


そこでルナは一区切りをつける。そして


「私、魔族と人間のハーフですので、ご迷惑をおかけしてしまうと思います。」


と、少し怒気を滲ませながら頭の両側にある捻じれた角を見せた。


その途端、大臣は顔色を真っ青にしてソファーの端まで後ずさり、そのまま後方に倒れた。両手を前に突き出しイヤイヤとかぶりを振りながら、


「ひいいいぃぃぃぃ、殺さないでくれ。」


とみっともなく懇願する。その様子にヨミも溜飲を下げたのか、


「驚かせてしまい誠に申し訳ありません。ですがこのような身の上故、大臣様の威光に傷をつけてしまいかねません。ですので、謹んで辞退させて頂ければと思います。」


そう言って、恭しく礼をした。その姿は洗練されているとは言えなかったが、生来の美しさも相まって非常に品を感じられた。


大臣は我を取り戻したのか、慌てて立ち上がりながら尊大な様子で


「であれば致し方あるまい。援助金に関しては検討して追って沙汰を下す。」


そう言って、護衛を引き連れて逃げるように去って行った。


「はあぁぁ。」


ルナと院長がどっと疲れた声を出す。院長は高齢だが、今回のことでさらに老け込んだようにも見える。すると、ヨミが両手を腰に揃えて、俺と院長に思いっきり頭を下げてきた。


「ごめんなさい!!!思わずあいつがムカついたからあんなことしちゃったけど、本当にすみませんでした。でも、孤児院への援助が無くなるのはまずいよね。どうしよう。どうしようタクト。」


ルナは顔を上げ泣きそうな目をしている。しかし、


「いえ、あれで良かったですよ。例え援助金が無くなったとしても孤児院の子供達を犠牲にするようなことは出来ません。それにあの大臣のことです、一度要求を呑んだらきっとその後もことある毎に脅して来ていたでしょうから。」


そう言って院長が優しく微笑む。


「そうだな。それに俺もあの大臣にはムカついた。ルナを何だと思ってんだ。あのイヤらしい顔、ほんとムカつく。」


俺も内心では腸が煮えくり返っていた。

正直ヨミがあのような対応をしていなかったら俺が魔術で吹っ飛ばしていたと思う。


「大丈夫、その分俺が何とかするから、ルナは安心して孤児院を守っててくれ。」


ルナの頭の上にポンっと手を乗せると、ルナは頬を少し赤くして、


「うん、ありがとうタクト。」


と花が咲くように笑った。俺はその可憐さに思わず顔を真っ赤にして視線を逸らすのだった。

まずは22話を読んでいただいた読者の方にお礼申し上げます。大体悪い大臣が出てくるときはセクハラをかましてくることが多い気がします。ですが今の日本ではアウトです。大臣がどうなるか気になる人は続きを読んでいただければ幸いです。

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