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17話 新たなる敵

順調に進んでいた旅も突然現れた二人組によってその様相は一気に変わった。

ジンに話しかけたもう一人は声の感じから男であり大人であると思うが、全身をマントのようなもので覆っているためどんな体格をしているかはわからない。

当然マントの下には武器が隠されているかもしれない…

警戒するアサヒ、ミア、ロキとは対照的にジンが二人組に対していつもと変わらない口調で話しかける。

「私の名前を知っていてくれるのは嬉しいけれど君たちの名前は知らないな」

柔らかい口調で二人組に話かけるジン。

そんなジンに対して大人の男がこちらも同様に敵意のない口調で答える。

「アクアゲートのジン隊長は有名だからな。一度会ってみたかったんだよ。こんな形でないとゆっくり会うこともできないからな」

こんな形で…?

そんな言葉の疑問を抱きながらも男は話を続ける。

「俺の名前はブラット。またどこかで会うかもしれないな」

アサヒ達と変わらないであろうもう一人は特に名乗ることなく静観している。

「またと言わずに今ゆっくり話を聞かせてもらおうか」

そう言いながら一歩ずつ二人組に近づくジン。

男が話を続ける。

「あんた達が会いに行く人と俺が会いに行く人が一緒だからだよ」

それを聞いたジンは顔色を変える。

「それなら尚の事ここでゆっくり話を聞かせてもらわないとね。

一気に二人組に近づくジン。

ブラットのマントが少し揺れ、ジンと二人組の手前で突然空気を裂く音がした。

急いで止まるジン。

ジンと二人組の間の土は何かで斬られたような線がしっかりとできていた。

アサヒ達には何が起きたかはわからなかった。

聞こえたのは空気を裂く音だけ。

だがそこには何かで斬られた跡がしっかりと残っている。

ジンはその斬撃に気付いたから止まった。

もし自分だったら気付かずに走っていた。

そうなったら自分は…

自分に起こり得たかもしれない出来事に恐怖を感じるアサヒ。

ミア、ロキも同様の思いでいた。

そんな三人の異変に気づきながらジンはブラットに話かけた。

「その太刀筋でブラットという名前。君のことも思い出したよ」

「ジン隊長に知ってもらえてるなんて光栄だよ」

ブラットは笑いながら答えた。

「あんたの後ろにいる三人がこれから足手纏いにならないといいな。今のままなら確実に死ぬぞ」

その言葉にアサヒ達は足が震えていた。

そんな三人にジンは振り向き笑顔で伝えた。

「大丈夫。君たちは私が守る」

その笑顔にアサヒ達の震えは止まった。

ジンはブラット達の方を向き告げた。

「やはり君たちにはここで捕まってもらおう」

ブラット達を見るジンの表情は厳しいものに変わっていた。

ジンの身体が動いたことだけはアサヒにも分かった。

しかし何が起きたかはわからない。

ジンの動きに反応したのはブラット。

お互いの斬撃がぶつかり合う刹那、もう一人反応した者がいた。

二人組の子供の方だ。

ジンの斬撃の方が上だと感じたその子は、ブラットに直撃する斬撃を少しだけ軌道修正した。

ブラットは腕に斬撃を受けたが瀕死ではなかった。

その動きにジンは驚いた。

「君は一体何者なんだ」

その言葉に子供は答える。

「私たちの仕事はこれからなので、ブラットさんに死んでもっらたら困るんですよ。この場はここまでとさせてもらいます」

そう言ってブラットに肩をかし、二人はその場から消えていった。

ジンは追う事も出来たが、後ろにいるアサヒ達のことを考え追うことはしなかった。


「大丈夫だったかい」

アサヒ達に問いかけると三人は頷いた。

今起こった出来事に三人とも対応できなった。

それだけならまだしも、ブラットと一緒にいた自分達と変わらないぐらいの子供はジンの斬撃にも対応していたのだ。その事実の三人はショックを隠しきれなかった。

これから同じようなことが起こったら自分達はジン隊長の足手纏いにならないのか、あの子と同じように動くことはできるのだろうか。

そんな三人を見ながらジンは話始めた。

「今回の任務は最初に想定していたものとは違うものになってしまった。一度アクアゲートに戻って別の隊で対応した方がいいのかもしれない…」

アサヒ達は下を向く…

「しかしこの任務はこのまま続けようと思う」

その言葉にアサヒ達は前を向いた。

どうして…とアサヒ達の喉から出かかる言葉を遮るようにジンは続ける。

「君たちにはブラット達のような敵と戦うことから逃げてほしくはないし、君たちなら戦うことができるからだ。あの子供のように対応することも必ずできる」

その言葉に出かかった言葉を飲み込みんだ。

アサヒ達の表情から曇りはなくなった。

その顔を見て笑顔のジン。

君たちはまだまだ強くなる。その想いはアサヒ達に届いていた。




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