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13話 昔話

賑やかな街並みの雰囲気とは異なり、どこか上の空で歩くアサヒ。

知らない街の雰囲気を楽しんでいる感じではなかった。


買い物をしているミアとロキがアサヒに気がついた。

「あれアサヒだよな?」

俯き歩くアサヒを見てロキはミアに確認した。


「アサヒ!!」

ミアの声が街中を通り抜ける。

それでもアサヒは気付かない。


ミア達の前まできたアサヒにもう一度声をかける。

ようやく2人の存在に気が付いた。

そんなアサヒを見て2人は不思議そうな顔をした。

「大丈夫…?」

ミアはどこか不安な気持ちを素直にぶつけた。

もちろん傷は心配だが、ジンと残った時間がなぜか心配になっていた。

ミアの心配を払うようにアサヒは笑顔で頷いた。


「ジン隊長とは何を話ししてたんだ?」

ロキは躊躇することなく尋ねた。

ミアも聞きたかったが、言い出せなかった。

聞いてはいけない何かがあるように感じたから…


ロキの質問にアサヒは少し間を取って答える。

「怪我の心配をされただけだよ」

その間は数秒だがアサヒの中ではジンとの会話を振り返っていた。



「君の名を聞いた時から正直驚いたよ」

「ど、どういうことですか!?」

「アサヒ。君は…」


アサヒの顔に緊張が走る。

そんなアサヒを見ながらジンは続ける。

「君は日本から来たんだね。まさかその言葉をもう一度聞くことになるなんてね」

「日本を知っているんですか!!」

勢いよくジンに尋ねる。動揺は隠せなかった。


少し間を取りジンが答える。

「昔、君以外にも日本から来たという男がいたんだよ」


自分以外にも日本から来た人がいる。その事実に驚いたが、同時にその人がどうなったのか気になった。ちゃんと戻れたのか、それともそのまま…


「その人はいったい…」

「突然姿を消してしまったんだよ。本当に突然…」

ジンにもどこへ行ったかは分からなかった。


「そうですか…」

突然消えたのが戻れたからなのか、それとも全く異なる場所へ行ったのか。

自分のこれからがどうなるか全く分からない不安が急に襲ってきた。


不安げなアサヒの顔を見てジンが話を続けた。

「その男は、アサヒという名前を覚えておいた方がいいと言っていたからね。それにどこか君に似ている人だったよ」


その言葉にアサヒはなぜかあの夢に出てくる父の影を思い出した。

なぜかは分からない。ただこの場所と父が関係しているのではないかと直感的に思ったのかもしれない。


なんだか安心感も出てきた。

「そうだったんですね」

先ほどとは違うその顔にジンも笑顔を見せる。

「いつかその人と、どこかで会えるかもしれないね」


ジンとの話を終え、部屋を出てから昔の父とのことを思い返しながら歩いていた。



そんなことを振り返りながらロキに答えた。

「そうだったのか。とりあえず怪我早く治るといいな。なあミア」

ミアはやはりアサヒから何かを感じている。

「そうね…」


そんな2人を見てアサヒは笑顔を見せる。

「2人ともありがとう!これからもよろしく」

アサヒの笑顔にミアも少し安心した。



街を歩く3人。ロキのお腹から音がする。

「なんだかお腹が空いたな。どこかで飯でも食べようぜ」

「そうね。バタバタしてて何も食べてなかったわね。アサヒもお腹空いたでしょ」


緊張感が和らいだアサヒのお腹も鳴った。

照れ笑いで答える。

「そうみたいだね」


「そうと決まればいつもの店に行こうぜ」

ロキは元気よく先頭を歩き始めた。


少し歩くとその店に着いた。

当然アサヒは見たことないお店であり、どんな料理が出てくるかも分からない。

「この店はなんでも美味いんだぜ。さあ入ろうぜ」


勢いよく店に入るとロキが何かに気づく。

「よう!」

目の前にいたグループに声をかけた。


アサヒにとって新たな出会いとなる。

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