幕間1 彼女の心情。
こういう、ヒロイン視点でも書いてみたかったんですよ!
認めた方が早い事に気づいたので、誤字、誤字があります!
私は小学校の頃から剣道を習っていた。
9歳の頃、大体小学校4年生の頃だろうか?高学年になって、泣き虫の自分が嫌になり、祖父に誘われるように始めたのだった。
正直、習い事をするのはなんでもよかったのだが、父が親戚に相談していると、父方の祖父が声を上げたそうだ。
父親に付いて私が祖父の家にいる時、祖父は質問してきた。
「楓。今までの自分が嫌になったのか?」
「ううん。男の子がからかってくるの。それで時々泣いちゃって、その後もからかわれちゃうから…」
「なにぃ!?」
そう言って祖父が木刀を持った時は怖かった。
「で、でも私が強くなればいいかなって思ったの!」
「…そうか。確かに剣道で心と身体は鍛えられる。でもその分キツいぞ?続けられるか?」
「わかんない…」
「そうか。まあ、それは分からんだろうなぁ…。よし!必要なものはわしが用意しよう!楓。頑張るのだぞ?」
「うん!おじいちゃん大好き!!」
そこから、祖父が指導しているというクラブチームと一緒に練習を始めた。
ちょうど夏休みの期間だったので、時間には余裕があった。
練習を始めてしばらくすると、合同練習があることを祖父から伝えられる。
そのことを聞いたクラブチームは、うへーという顔をした。
毎年、この時期にあるので夏季合同練習と呼ばれて、通常の練習よりも更にキツい。そう同じ習い事をしている子から聞いた。その子も、もれなく嫌そうだった。
私はまだ防具が届いておらず、本格的に練習出来ていなかったので、キツいと言われても実感がなかった。
私の防具が届いて一週間もしないうちに、例の夏季合同練習があった。正直、地獄だった。
熱気のこもった体育館。みんな大きな声を上げながら、指導している祖父や周りの大人たちに向かっていく。
そして、なによりもこの防具だ。重いし、熱を逃がさない。顔も鉄の格子があり、汗が拭けなくて不快感がすごい。
でも、私が成長できるいい機会だと、自分に言い聞かせて頑張った。
しかし、やはりまだ慣れていなかったのか、途中から意識がぼーっとしてきた。そんな時だった。
「あぶない!」
そう急に男の子の声が聞こえた。
瞬間、私の視界がぐるりと回った。優しく抱き包まれているのが分かる。急なことで驚いたけど、なぜか安心してしまう。
そして、少しの衝撃。
私は周囲を見渡し、状況を理解した。
誰かが試合会場から場外へ押し出されたのだろう。
暑さにやられて、ぼーっとしていた私は対応ができなかった。そんなところだろう。
「ご、ごめんなさい!私の不注意で!」
私がもっと気をつけていれば、こんな事にならなかったのだ。そう思って口にしていると、
「ううん。あいつがひどいんだよ…」
私を守ってくれた男の子はそう言って、体の大きな男の子を睨みつけるように見ていた。どうやら、あの体格で無理やり押し出したのだろう。
「怪我はない?」
ふと、男の子は気遣ってくれるようにそう言ってきた。
「はい!大丈夫です!あの神谷さん?は大丈夫ですか?」
私は下を見て、垂ネームに書いてある名前を見ながら答える。少し名前の読み方に自信がなかったのだが。
そうすると、男の子は心配なさそうに答える。
「大丈夫だよ!僕は平気!」
どうやら大丈夫そうだ。そんな彼が私の下の方を見ている事に気づく。私は、まだ垂ネームだけが届いていなかったのである。だから、そのことを伝えようとする。
「まだ入ったばかりで…」
「なら、名前教えてよ!名前!」
男の子は「入ったばかり」と、それで察したのか少し食い気味に私の名前を聞いてきた。隠す必要もないので素直に私の名前を教える。
「うん!私の名前は北条!北条楓って言うの!!」
「それじゃ、もう一度僕も言うよ。僕は神谷大地。これからよろしくね!」
「うん!」
北条楓と、神谷大地の出会いだった。
そこから、本来の目的の「弱虫の自分を克服する」から、「あの男の子に会う」になっている事に、私は後から気づくのだった。
んー?